2026/09/13

事業承継アドバイザー3級、5事例10問と画面上電卓から組む学習設計

2026年度から紙の全国一斉公開試験がなくなり、問題用紙を持ち帰る受け方は選べなくなりました。残るのはスコアレポートと出題項目一覧です。基本知識40問と技能・応用10問をどう分けて回すか、収録426問の12分野と対応づけて組み立てます。

執筆:ケンテイラボ編集部(資格試験対策アプリ開発・運営)

事業承継アドバイザー3級は、銀行業務検定協会が実施する銀行業務検定試験の一種目です。公式の試験概要では「営業店の渉外担当者が、事業承継における取引先の状況把握から情報収集・整理、承継手法に関するアドバイスを行うための基本知識や実務知識について、その習得程度を測定します」と説明されており、金融機関の行職員に向けた実務検定という位置づけになっています。実施・運営は株式会社経済法令研究会、CBT方式の運営は株式会社CBTソリューションズが担っています。

出題形式はCBT四答択一式〈一部事例付〉50問(各2点)、試験時間は120分です。内訳は基本知識40問と、技能・応用の「5事例10問」。合格基準は100点満点中60点以上で、公式の概要に科目別の基準の記載はありません。受験資格はなく誰でも申し込めます。受験料は5,500円(10パーセント消費税込)で、これに1申込あたり事務手数料330円(税込)が加わります。

本種目は遅くとも2021年度から、全国一斉公開試験とCBT方式のどちらでも受けられました。2025年度をもって紙の全国一斉公開試験が終わり、2026年度からはCBT方式のみになっています。実施期間は2026年4月27日から2027年3月31日まで、申込期間は2026年4月24日10時から2027年3月28日23時59分までです。本記事では、この形式に合わせて何をどの順で回すかを、ケンテイラボが収録している426問の12分野と対応づけながら組み立てます。制度の数値は公式の試験概要と銀行業務検定協会の公表資料、問題数は収録問題の実数によります。なお税務や法務の記述は制度の解説であり、個別の判断は専門家への相談が前提です。

よく似た名前の試験が3系統あり、形式ではなく主催団体名で見分ける

学習を始める前に片付けておきたいのが、試験の取り違えです。「事業承継アドバイザー」という名前、あるいはよく似た名前の検定が、別の団体から複数出ています。主催団体も教材も別なので、ここを間違えると買った問題集がそのまま無駄になります。

  • 銀行業務検定協会の「事業承継アドバイザー3級」。四答択一式〈一部事例付〉50問・120分、受験料5,500円(税込)、合格基準は100点満点中60点以上。本記事と収録426問はこれを対象にしています
  • 金融検定協会の「事業承継アドバイザー認定試験(BSA)」。五答択一式50問・受験料8,580円(税込)で、級位の表記がありません。合格基準は60点以上としつつ、試験委員会が決定するとされています
  • 金融財政事情研究会(きんざい)の「金融業務2級 事業承継・M&Aコース」「金融業務3級 事業承継・M&Aコース」。3級は四答択一式50問・試験時間100分・受験手数料5,500円(税込)・合格基準60点以上で、法令基準日を7月1日と明示しています

並べるとわかるとおり、きんざいの3級は選択肢の数も「3級」の表記も受験料も銀行業務検定協会の試験と同じで、形式からは区別できません。確かめるのは、試験概要に書かれた主催団体名が銀行業務検定協会か金融財政事情研究会か、試験名に「金融業務」の冠が付くかどうかです。補助的には、科目に「技能・応用(5事例10問)」の区分があり試験時間が120分なら銀行業務検定協会のものと判断できます。

基本知識40問と技能・応用10問では、教材の使い方を分ける

公式に示されている出題範囲は「事業承継の基本知識/事業承継と金融実務/その他関連知識等」の3区分だけです。3行では学習の設計図になりません。そこで実務上の地図になるのが、銀行業務検定協会が編集した『事業承継アドバイザー3級 対策問題集』の目次です。2026年度受験用はA5判336頁、2026年3月30日発行、2,970円(税込)で、CBT方式に合わせた構成と説明されています。

その目次は、基本知識を6区分、技能・応用を3区分に分けています。基本知識側は「事業承継対策の基本と必要性」「事業承継関連の制度」「各承継方法共通」「親族内承継に関わる基本知識」「親族外承継(従業員)に関わる基本知識」「親族外承継(第三者)に関わる基本知識」。技能・応用側は「親族内承継に関わる基本知識」「親族外承継(第三者)に関わる基本知識」「その他」です。ケンテイラボの12分野は、この区分にほぼ一対一で対応する形で並べています。

40問側と10問側では、同じ教材を同じように使っても伸びません。基本知識40問は、制度の名前と条件、期限、数値を結び付ける作業が中心です。誰が認定するのか、いつまでに何を出すのか、何パーセントなのか。一問一答として何度も回すのが素直です。一方の技能・応用10問は、事例文から前提を抜き出して当てはめる読解と計算で、解いた回数より前提の読み落としを潰した回数が効きます。

配点は1問2点と公表されており、基本知識40問が80点分、技能・応用10問が20点分です。合格点の60点から逆算すると、落とせるのは40点分、つまり20問までです。20点分の技能・応用を問題数の比だけ見て技能・応用を軽く扱うと、次の節で述べるとおり失点がまとまって出ます。

1事例2問という構造が、失点の単位を2問にする

技能・応用は「5事例10問」です。5つの事例に対して10問なので、1事例あたり2問がぶら下がっています。これが、この試験の学習設計でいちばん影響の大きい構造です。事例文に書かれた前提を1か所読み違えると、その事例に属する2問がまとめて崩れます。5事例のうち2事例でそれが起きれば4問、つまり10問の4割にあたる8点分が消えます。

読み違えやすい前提は、条件分岐が細かい制度に多く付いてきます。たとえば小規模宅地等の特例のうち特定同族会社事業用宅地等は、株式の所有割合要件と役員要件を満たすかどうかで結論が変わり、さらに限度面積(400平方メートル、減額割合80パーセント)を超える土地なら按分の計算が必要になります。事例文にある面積と所有割合をどちらも正しく拾わないと、計算の入口で間違えます。

会社法の手続も同じで、事業譲渡で株主総会の特別決議が要るかどうかは、譲渡する資産の規模や対価の額で変わります。

対策として現実的なのは、事例文を読んだらいきなり設問に行かず、前提を短い箇条書きに起こす手順を固定することです。株主構成と持株割合、代表者の年齢と役員かどうか、対象が株式か事業か個人資産か、譲渡先が法人か個人か、土地の面積と用途。この5点を先にメモへ落としてから設問を読むと、2問まとめて外す事故が減ります。会場では筆記用具とメモ用紙が貸与されるので、本番でもそのまま使える手順です。

収録426問を12分野に割ると、どの承継方法に偏っているか

次の表は、ケンテイラボが収録している426問を12分野に分けたときの、分野名・収録問題数・構成比と、各分野が実際に扱っている内容の説明です。公式が公表しているのは3区分の出題範囲だけなので、これは収録問題を分類した自社データとして読んでください。

収録問題12分野の内訳と比重

ケンテイラボでは事業承継アドバイザー3級の収録問題を12の分野に分けて整理しています (学習しやすさを優先した本サイト独自の区分で、実施団体が公表している 出題区分そのものではありません)。収録している426問を分野別に集計すると、 最も問題数が多いのは「⑫ 技能・応用②(親族外承継)」の50問(全体の11.7%)、 最も少ないのは「⑩ その他(個人事業主・廃業支援)」の23問(同5.4%)です。上位3分野だけで全体の31.5%を占めるため、 ここを先に固めるかどうかが得点の土台になります。

収録問題は親族外承継の側に重心があります。技能・応用に対応する⑪と⑫だけで82問、うち⑫「技能・応用②(親族外承継)」は50問で12分野のなかで最も多い分野です。基本知識側でも、⑧「親族外承継(第三者)①M&A法務」34問と⑨「同②評価・財務」41問を合わせると75問。親族内承継の⑤35問・⑥40問と並べると、第三者承継の比重が小さくないことがわかります。

もうひとつ目立つのは、③「各承継方法共通①(会社法・株式)」の42問と④「各承継方法共通②(現状把握・計画)」の28問です。この2つは承継の方法によらず前提になる知識で、後ろの分野を読む土台になります。構成比をそのまま優先順位に読み替えないほうがよい理由は、後の節で整理します。

紙の試験がなくなり、手元に残る復習材料はスコアレポートと出題項目一覧だけになった

本種目は遅くとも2021年度から、10月の全国一斉公開試験とCBT方式のどちらでも受けられました。随時受験や即時判定、スコアレポートの発行は以前からある仕組みです。2026年度に変わったのは、紙の全国一斉公開試験という選択肢がなくなった点だけです。影響は、日程の組み方と受験後に残るものの2つに出ます。

日程については、全国のテストセンターで随時受験でき、何回でも受験予約が可能とされています。個人申込はインターネット受付のみで、申込日より3日目以降の日程を予約でき、受験日や会場の変更・キャンセルは受験日の3日前までです。10月の実施日を締切代わりにする進め方が取れなくなったので、自分で受験日を先に押さえて期限を作る必要があります。

もう一つは受験後に残るものです。経済法令研究会は、全国一斉公開試験なら問題用紙を持ち帰れる一方、CBT方式ではスコアレポートと出題項目一覧が配布されると案内しています。CBT方式では会場で貸与された筆記用具とメモ用紙は試験終了後に回収され、問題そのものを持ち帰ることができません。結果は即時判定で、合格者は受験日の翌日以降にマイページから合格証書をダウンロードできます。

紙の試験を選べなくなった2026年度からは、再受験に向けた復習の材料が必ず「自分が解いた問題」ではなく「どの項目から出たかの一覧」と「分野ごとの得点」になります。分野名を見て「この項目は何を問われるか」を言えるところまで作っておけば、スコアレポートを受け取った時点で次に開く教材が決まります。

教材の側も確認しておきます。経済法令研究会のCBT方式対応書籍一覧には、他の3級種目にあるような書籍の公式テキストが本種目については見当たらず、公式の学習教材欄に並ぶ参考書籍は『対策問題集』です。ただし同じ欄には関連通信講座「営業店の事業承継支援コース」も案内されており、この講座にはB5判3分冊のテキストが付きます。通読型の教材から入りたいなら通信講座、書籍で進めるなら問題集の解説を読み物として使う、という二択で計画を立てると迷いません。

電卓を持ち込めないので、計算は画面上の電卓に合わせて練習する

CBT方式では電卓を持ち込めません。計算問題では試験画面上に表示される電卓を使います。銀行業務検定協会は、全国一斉実施試験では本種目で電卓1台の持込が可能だったが、CBT方式では持込不可と案内しています。

そして、この試験には計算がそれなりに出ます。収録426問のうち「計算」という語に触れているのは40問、「万円」を含むものは18問あり、後者の内訳は⑫が6問、⑪が5問と技能・応用側に集まっています。扱われる計算の種類も一つではありません。

  • 非上場株式の評価。類似業種比準方式の比準要素、純資産価額方式で評価差額に対する法人税等相当額を控除する計算、大会社での評価方式の選択
  • 土地の相続税評価。小規模宅地等の特例の按分、相当の地代や無償返還の届出書がある土地の評価
  • 企業価値の評価。EV/EBITDA倍率法の計算と中小企業向けの調整、DCF法の算定手順
  • M&Aに伴う金額。レーマン方式による報酬、年倍法、買収に必要な調達額の内訳、のれんの算出根拠と償却
  • 遺留分の計算。算定の基礎となる財産の範囲と侵害額

画面上の電卓にどの機能が備わっているかは公式の概要に書かれていないので、括弧やメモリ機能に頼らずに済む計算順をあらかじめ決めておくのが安全です。具体的には、途中の数値をメモ用紙に一度書き出して、電卓には単純な四則計算だけを投げる形に分解します。類似業種比準価額のように要素が多い計算は、要素ごとに数値を書き出してから最後に掛け合わせる手順を、練習の段階で型にしておきます。練習でも紙に途中式を残すところまでを1セットにすれば、本番のメモ用紙の使い方がそのまま再現できます。

期限が答えになる論点は、教材の年度が古いとまとめて外れる

この試験で古い教材が危険なのは、制度の期限そのものが答えになる問題があるからです。収録426問のうち「期限」という語に触れているのは11問で、そのうち5問が⑤「親族内承継①(税制・贈与・相続)」に属します。数は多くありませんが、隣接する制度の期限と1年ずれている組み合わせがあり、取り違えやすい論点です。

  • 法人版事業承継税制(特例措置)の特例承継計画の提出期限は令和9年(2027年)9月30日まで
  • 同税制で納税猶予の対象となる贈与・相続の適用期限は令和9年(2027年)12月31日まで。こちらは延長されていません
  • 個人版事業承継税制の個人事業承継計画の提出期限は令和10年(2028年)9月30日まで
  • 個人版事業承継税制そのものの適用期限は令和10年(2028年)12月31日まで。こちらも延長されていません
  • 暦年課税の生前贈与加算(持ち戻し)が完全に7年以内となるのは、令和13年(2031年)1月1日以後に開始する相続から

計画の提出期限は令和8年度税制改正で延びましたが、適用期限のほうは動いていません。法人版と個人版で1年ずれており、しかもどちらも「計画の期限」と「適用の期限」で3か月ずれています。4つの日付をまとめて表に書き出しておくのが、いちばん間違いが少ない覚え方です。

生前贈与加算は経過措置の途中にあるため、もっと厄介です。加算期間は令和6年1月1日以後の贈与について相続開始前7年以内に延長されましたが、相続開始日が令和8年12月31日までなら3年以内、令和9年1月1日から令和12年12月31日までなら令和6年1月1日から死亡の日までが対象で、完全に7年以内になるのは令和13年1月1日以後の相続からです。相続時精算課税も令和6年1月1日以後の贈与から特別控除2,500万円とは別に年110万円の基礎控除が設けられており、改正前の教材とは答えが変わります。

出題の法令・税制の基準日については、実施要項にも書籍紹介にも明示を確認できませんでした。確認したのは公式の試験概要、銀行業務検定協会の検定試験要項、2026年度の実施日程、対策問題集の書籍ページです。過去には、2021年度のCBT受験案内で本種目に「原則として2021年4月1日現在で施行されている法令等」に基づく出題と示されていたことがあります。現行の案内で基準日が読み取れない以上、年度版として毎年刊行されている教材を使うのが実務的な防御になります。

120分50問の時間配分は、事例10問の読む時間から逆算する

試験時間は120分、問題数は50問です。単純に割れば1問あたり2分24秒ですが、この試験で均等割りは機能しません。基本知識40問は知っていれば即答できる代わりに、技能・応用の5事例は事例文を読む時間が先に必要になります。読む時間を最初から確保しておかないと、事例に入った時点で時間が足りなくなります。

割り振りの一例としては、基本知識40問に60分(1問90秒)、技能・応用5事例10問に45分(1事例9分)、見直しに15分という形が考えられます。1事例9分のうち、前提を箇条書きに起こすのに2分、設問2問に3分ずつ、計算の検算に1分という配分です。

途中で前の問題に戻れるかどうかは公式の概要に書かれていないので、後から見直す前提を置かない設計にしておくほうが無難です。

学習の後半に、収録問題を⑪⑫の10問前後を含む50問に区切り、120分で解く回を入れると配分を実測できます。

確認できる回次の合格率と、平均点が50点台という結果の読み方

合格率は、全国一斉公開試験として実施されていた回について銀行業務検定協会の事務局報で公表されています。事務局報で本種目の成績表を確認した回次は次のとおりです。

  • 第141回(2018年10月28日実施)応募者2,511名・受験者2,199名・合格者862名、合格率39.20パーセント、平均点54.27点
  • 第147回(2020年10月25日実施)応募者812名・受験者712名・合格者260名、合格率36.52パーセント、平均点54.61点
  • 第150回(2021年10月24日実施)応募者1,005名・受験者875名・合格者489名、合格率55.89パーセント、平均点60.21点
  • 第153回(2022年10月23日実施)応募者754名・受験者646名・合格者168名、合格率26.01パーセント、平均点51.44点、最高点82点
  • 第156回(2023年10月22日実施)応募者455名・受験者386名・合格者148名、合格率38.34パーセント、平均点55.57点、最高点84点
  • 第159回(2024年10月27日実施)応募者343名・受験者300名・合格者63名、合格率21.00パーセント、平均点50.77点
  • 第162回(2025年10月26日実施)応募者245名・受験者206名・合格者43名、合格率20.87パーセント、平均点51.41点

注意が必要なのは、第150回の55.89パーセントという数字の背景です。この回から技能・応用が事例付記述式を廃して択一式のみ(事例付を含む)の出題に変わりました。協会の講評にも「今回から択一式のみの出題(事例付を含む)となったこともあってか、全体としてはとても良好な結果となりました」とあります。第141回の講評には本種目が「〈四答択一式〉と〈記述式〉で構成」と書かれ、第147回の講評にも記述式問題の出来への言及があります。中古で流通する古い年度の問題集には、この記述式時代の問題が残っている可能性があります。

第153回以降の4回は、平均点が51.44点、55.57点、50.77点、51.41点と、いずれも合格点の60点に届いていません。協会は正解率の低かった問題も公表しており、直近2回のうち第162回は事業承継関連の金融支援、株式の集約、法人版事業承継税制、M&Aアドバイザリー契約、MBO(LBO)ファイナンス、第159回は事業承継関連のガイドライン、役員退職金の税務、ファイナンシャル・アドバイザーの留意点、法人成りの税務上の取扱い、非上場株式の評価(計算)が挙げられています。学習の後半で総点検する項目として、この10項目はそのまま使えます。

一方、CBT方式で受験した場合の受験者数・合格者数・合格率は、本稿執筆時点では公表を確認できませんでした。確認したのは銀行業務検定協会の事務局報一覧(全ページ)と直近の成績結果、お知らせ欄、経済法令研究会の検定試験ページ、公式の試験概要です。したがって、上に挙げた過去回の数字をCBT方式の合格率として扱わないでください。なお経済法令研究会は、全国一斉公開試験とCBT方式で出題範囲や問われるテーマ、難易度の水準は同じと案内しており、学習量の見積もりの目安としては使えます。

対策問題集の目次を地図に、12分野をこの順で回す

収録問題数の多い分野から始めたくなりますが、この試験では前提になる分野を先に固めたほうが後が速くなります。順番の案は、③→④→⑤⑥→⑧⑨→②→⑦⑩→⑪⑫です。理由を分野ごとに整理します。

起点を③「各承継方法共通①(会社法・株式)」に置くのは、ここで扱う機関設計と株式の種類が、後ろの分野の前提になっているからです。取締役や監査役の資格と任期、株主総会と取締役会の決議要件、議決権制限株式や拒否権付株式、譲渡制限株式の承認機関、株式併合や特別支配株主の株式等売渡請求によるスクイーズアウト。これらを知らないまま⑥の株式評価や⑧の譲渡制限の論点を読むと、用語の説明で止まります。

次に④「各承継方法共通②(現状把握・計画)」を置くのは、ローカルベンチマークの財務指標が計算の練習台になるからです。収録426問のうちローカルベンチマークに触れる9問のうち6問がこの分野に属します。売上の持続性、営業利益率、労働生産性、EBITDA有利子負債倍率、営業運転資本回転期間の算出式は、⑨の企業価値評価に入る前の助走になります。

②「事業承継関連のガイドライン」を中盤に置くのは、ここが用語の出所をまとめている分野だからです。収録426問のうち「ガイドライン」に言及する24問のうち15問、「経営者保証」に言及する15問のうち10問がこの分野に集まっています。事業承継ガイドライン、中小M&Aガイドライン、中小PMIガイドライン、そして経営者保証に関するガイドラインとその事業承継時の特則。文書ごとの対象範囲を先に押さえておくと、他の分野に出てくる引用が読めます。中小M&Aガイドラインは2024年8月30日公表の第3版が最新です。

⑦と⑩は他分野の理解を待たずに取りに行ける独立性の高い分野なので、学習の隙間に差し込みます。最後に置く⑪⑫は「1周目の最後にまとめて」ではなく「各分野を終えるたびに関連する事例を数問ずつ」が現実的です。⑤⑥の直後に⑪、⑧⑨の直後に⑫へ触れると、知識と当てはめが離れずに済みます。2周目は⑪⑫から逆走して、間違えた事例に紐づく分野へ戻る形が使えます。

登録も更新もない試験。AFP・CFP認定者は関連通信講座を継続教育の単位にできる

公式の試験概要では「試験後の手続」が「なし」とされています。合格後の登録制度や更新手数料、継続教育の義務は設けられておらず、合格証書の発行だけで完結します。維持コストがかからない資格です。

日本FP協会のAFP・CFP認定者に限っては、前述の通信講座「営業店の事業承継支援コース」を受講すると継続教育の単位になります。受講期間3か月、添削3回、受講料16,980円(税込)で、日本FP協会の継続教育研修講座としてAFP7.5単位、CFP15単位(相続・事業承継設計)とされています。単位の対象はこの有料講座の受講であり、試験の学習や合格そのものではありません。カリキュラムは現状把握から承継の方法、税務、親族内・従業員・第三者への承継まで、試験の出題範囲とかなり重なります。

全体を通して効くのは、事例の前提を箇条書きに起こす手順、計算をメモ用紙と四則演算に分解する手順、期限や版の数値を新しい年度の教材で確かめ直す習慣の3点です。収録426問は、この3点を確認するための材料として使ってください。

実際に問題を解いて知識を定着させよう

ケンテイラボでは事業承継アドバイザー3級の問題を無料で練習できます。

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