2026/09/07

35問しかない試験|第三種冷凍機械責任者で何問まで落とせるか

設備の実務経験がある人と、文系・未経験から入る人とでは、詰まる場所が違います。講習による科目免除を使うかの判断材料、第二種・第一種への距離、二級ボイラー技士との負荷の差を並べます。

執筆:ケンテイラボ編集部(資格試験対策アプリ開発・運営)

第三種冷凍機械責任者は、高圧ガス保安法にもとづく高圧ガス製造保安責任者免状のひとつです。1日の冷凍能力100トン未満の製造施設で、冷凍保安責任者に選任されうる資格として位置づけられています。試験を実施するのは高圧ガス保安協会(KHK)で、年1回11月に行われ、免状の交付は都道府県知事が行います。年齢・学歴・実務経験による受験制限はないため、冷凍空調の仕事に就いたばかりの人でも、まったくの未経験者でも受験できます。

この試験の難易度を語るとき、多くの解説はまず合格率の数字を並べます。ただ、第三種冷凍機械責任者には、合格率より先に理解しておいたほうがよい構造があります。試験が「法令」と「保安管理技術」という2つの科目に分かれていて、それぞれに合格基準が置かれている、という点です。総得点で合否を判定する試験であれば、得意な分野で稼いで苦手な分野の失点を埋めることができます。この試験では、その埋め合わせが原理的にできません。

しかも、2科目あわせても出題は35問しかありません。科目ごとに基準があり、かつ問題数が少ないという二つの条件が重なると、「苦手科目を作れない」という構造がはっきりと表に出てきます。本記事では、この構造を軸に、第三種冷凍機械責任者の難易度を落ち着いて分解していきます。

結論:難しさは「1問あたりの重さ」と「科目ごとの合格ライン」に集約される

まず試験の形を確認します。出題は択一式のマークシートで、科目は「法令」20問と「保安管理技術」15問の2科目、合計35問です。試験時間は法令が60分(9時30分から10時30分)、保安管理技術が90分(11時10分から12時40分)に設定されています。合格基準は、各科目とも満点の60パーセント程度とされています。受験手数料は、令和8年度の電子申請の場合で9,800円(非課税)です。振込手数料は受験者の負担になります。

ここで効いてくるのが「各科目とも」という条件です。法令で高得点を取っても、保安管理技術が基準に届かなければ合格にはなりません。逆もまた同じです。冷凍サイクルの計算が得意な人が法令の暗記を後回しにした場合も、法令の条文整理が得意な人が計算問題を避けた場合も、同じように基準割れの危険が残ります。得意科目の貯金を苦手科目に回せないというのが、この試験の設計です。

さらに、その基準を判定する母数が小さいことが効いてきます。法令は20問なので1問がおよそ5パーセント、保安管理技術は15問なので1問がおよそ6.7パーセントの重みを持ちます。100問前後で総合判定する試験なら1問の取りこぼしはほとんど誤差ですが、15問しかない科目では、数問の失点がそのまま合否の判定ラインを揺らします。難しさの正体は、範囲の広さそのものよりも、この1問あたりの重さのほうにあります。

総合的な難易度としては、国家資格のなかでは標準よりやや取り組みやすい部類に入ります。範囲が「冷凍装置の技術」と「高圧ガス保安法まわりの法令」に明確に区切られていて、何を学べばよいかが最初からはっきりしているためです。ただしそれは「やさしい」という意味ではなく、「範囲は絞れるが、その範囲のなかに穴を残せない」という意味です。

公表されている合格率をどう読むか──数字が複数並ぶ理由

令和7年度の合格率として公表されているのは、全科目受験者が45.0パーセント、保安管理技術の免除者が87.9パーセント、そして全体で51.6パーセントという数字です。同じ試験について3つの数字が並ぶのは、後述する講習による科目免除の制度があるためです。免除者は法令1科目だけを受験するので、そもそも解く問題の数も範囲も違います。

この構造を知らずに「合格率は50パーセント台」という全体の数字だけを見ると、自分が受ける試験の手ごたえを見誤ります。講習を受けずに2科目とも受験するのであれば、参照すべきは45.0パーセントのほうです。逆に、講習を修了して免除を得たうえで法令1科目に絞るなら、87.9パーセントという数字が実感に近くなります。全体の51.6パーセントは、その2つの集団を混ぜた平均であって、どちらの受験者の実像でもありません。

なお、合格率は年度によって変動します。本記事では裏づけの取れる令和7年度の数字だけを扱い、他の年度については触れません。最新の実施結果や受験案内は高圧ガス保安協会の公式サイトで公表されているので、出願前に必ず一次情報を確認してください。

35問しかない試験で、何問まで落とせるのかを先に把握する

合格基準は各科目とも満点の60パーセント程度です。これを問題数に置き換えると、法令は20問なので12問前後、保安管理技術は15問なので9問前後を正解する必要がある、という計算になります。逆に言えば、許容される失点は法令でおよそ8問、保安管理技術でおよそ6問です。ただし基準は「60パーセント程度」という表現なので、この数字はぎりぎりを狙うための目標ではなく、余裕を測るための目安として使うべきものです。

  • 法令20問:正解の目安は12問前後。落とせるのはおよそ8問
  • 保安管理技術15問:正解の目安は9問前後。落とせるのはおよそ6問
  • 法令で満点近くを取っても、保安管理技術の不足を埋めることはできない
  • 計算が得意でも、法令を後回しにすると同じ理由で足元をすくわれる
  • 基準は「60パーセント程度」なので、ちょうど基準に届く点数を目標にしない

この「6問」という数字を、出題分野の数と並べてみると、状況がはっきりします。ケンテイラボの収録問題では、冷凍サイクル・伝熱と物性・圧縮機・熱交換器・自動制御機器・配管と安全装置・圧力容器・運転保守という8つの分野が保安管理技術側の内容にあたります。8分野に対して出題は15問ですから、単純に割れば1分野あたり2問前後です。丸ごと捨てた分野が1つあるだけで、許容失点の3分の1が最初から消える計算になります。

法令側も事情は同じです。高圧ガス保安法の基本と製造の許可、容器の貯蔵と移動、冷凍保安責任者と保安教育、変更手続きと各種検査、技術上の基準と認定指定設備という5つの領域から20問が出ます。KHKは分野別の出題数を公表していないため正確な配分は分かりませんが、この5領域に機械的に割り振れば1領域あたり4問前後という計算になります。「容器の塗色は細かいから飛ばす」といった判断をすると、その領域まるごとの失点を覚悟することになります。捨て分野を作る戦略が成立しないのは、基準が科目別だからというだけでなく、そもそも1分野あたりの出題が薄いからでもあります。

文系・未経験から入る人がつまずく三つの場所

p-h線図と冷凍サイクル──図が読めないと計算が始まらない

最初の関門は、蒸気圧縮式冷凍サイクルをp-h線図(モリエル線図)の上で追えるようになることです。圧縮・凝縮・膨張・蒸発という4つの工程が図のどこにあたるのかを把握し、各状態点から比エンタルピーを読み取って、冷凍能力・圧縮動力・成績係数(COP)を求める、という一連の流れが保安管理技術の得点源になります。ここが曖昧なままだと、後続の分野の問題文に出てくる用語がすべて宙に浮きます。

つまずきやすいのは、理論値と実際値の使い分けです。理論断熱圧縮動力を求める問題と、体積効率・断熱効率・機械効率を加味した実際の成績係数を扱う問題は、見た目が似ているのに使う式が違います。あわせて、キロジュール毎キログラム、キロワット、冷凍トンといった単位の換算も混乱の元になります。線図に状態点を書き込みながら追う習慣をつけておくと、この段階の負荷はかなり下がります。

伝熱と物性の用語──似た言葉が三つ以上並ぶ

次に負荷が高いのが、熱の移動と流体の性質を扱う分野です。熱伝導・熱伝達・熱放射という伝熱の三形態は、名前が似ているうえに日本語の語感からは違いが読み取りにくく、熱伝達率と熱通過率のように一文字違いの用語も混在します。平板や円筒壁の熱伝導、熱通過率と伝熱面積と温度差から交換熱量を求める計算まで含めて、用語の定義をあいまいにしたまま進むと途中で必ず詰まります。

冷媒とブラインの性質も、暗記の対象が多い割に手がかりが少ない領域です。フルオロカーボンとアンモニアの性質比較、冷媒とともに循環する冷凍機油の役割と溶解性、水分の混入による障害、無機系と有機系のブラインの凍結温度と腐食性などが問われます。とくに、アンモニアには銅や銅合金を使えないといった冷媒と材料の相性は、条件を落として覚えると正誤が逆転します。冷媒ごとに一覧化して、横並びで比較する形で整理するのが安全です。

圧力容器の計算──記号の意味を飛ばして式だけ覚えてしまう

計算問題の比重がとくに高いのが、材料の強さと圧力容器を扱う分野です。引張応力と許容引張応力の関係、設計圧力の考え方、円筒胴に生じる円周方向の応力が長手方向の応力の2倍になること、鏡板の形状と必要厚さ、腐れしろ、溶接継手の効率といった論点が並びます。式を丸暗記しようとすると、記号が何を指しているのかが分からないまま数字を当てはめることになり、問題文の条件が少し変わっただけで対応できなくなります。

この分野には、試験の名称を取り違えやすいという別の落とし穴もあります。冷凍保安規則では、気密試験は許容圧力以上、耐圧試験は液体を使って許容圧力の1.5倍以上(液体で行うことが困難な場合は気体で1.25倍以上)と定められています。数値と試験の目的をセットで覚えないと、倍率だけが記憶に残って、どちらの試験の話だったのかが分からなくなります。ここは法令分野と論点が重なるので、両方の科目で得点に効いてきます。

設備の実務経験がある人がつまずく二つの場所

現場では意識しない、許可・届出・検査の手続き体系

冷凍空調設備の施工や保守に携わっている人は、機器の構造や運転の勘どころについてはすでに知識を持っています。一方で、事業所として誰が何をいつ届け出るのか、どの検査を誰が主体となって行うのかという手続きの体系は、担当していなければ触れる機会がありません。ここが実務経験者にとっての盲点になります。

検査は種類ごとに主体も頻度も異なります。保安検査は冷凍保安規則第40条により特定施設について3年に1回、定期自主検査は同規則第44条により1年に1回以上行い、選任した冷凍保安責任者に監督させて検査記録を作成することとされています。加えて、製造施設の位置・構造・設備を変更するときの許可や届出、軽微な変更工事の扱い、変更後の完成検査を要する場合と要しない場合の区分があります。現場感覚では区別がつきにくいので、検査名ごとに「誰が・いつ・何を」の3点を書き出して整理するのが近道です。

現場の呼び名と、試験が求める定義とのズレ

もうひとつは用語のズレです。現場では通称や略称、メーカーごとの呼び方が定着していることが多く、試験で使われる教科書的な名称と一致しないことがあります。液分離器とアキュムレータ、受液器、油分離器のように、役割が近くて設置位置が異なる機器は、通称のまま覚えていると出題時に取り違えます。

自動制御機器はとくに紛らわしい領域です。温度自動膨張弁の感温筒と均圧管の働き、過熱度による制御の仕組み、内部均圧形と外部均圧形の使い分けは外せません。ケンテイラボの収録615問では、膨張弁に触れる問題が39問あります。さらに、蒸発圧力調整弁・吸入圧力調整弁・凝縮圧力調整弁のように名前が似た弁が並びます。「どの圧力を、どこで、何のために保つのか」を弁ごとに一行で書き出して比較すると、実務の感覚と試験の定義を突き合わせられます。

法令は暗記科目に見えて、実は「トン数で場合分けする」構造科目

法令20問は、条文を丸暗記する科目のように見えます。しかし実際に問われているのは、条文の文言そのものよりも「1日の冷凍能力が何トンで、扱うガスが何かによって、手続きがどう切り替わるか」という場合分けです。この軸をつかむと、法令はむしろ整理しやすい科目に変わります。

起点になるのが製造の許可と届出の区分です。ここは本則と政令の二段構えです。高圧ガス保安法第5条が原則として1日の冷凍能力20トン以上を許可、3トン以上を届出の対象と定め、施行令第4条がこれを上回る値をガスの種類ごとに置きます。施行令第4条により、第一種ガスは50トン以上が許可、20トン以上が届出。アンモニアや燃焼性の基準に適合しないフルオロカーボンは50トン以上が許可、5トン以上が届出です。ガスの種類が変わると境界のトン数が変わる、という点が出題の核心です。

同じ考え方が、人の選任にも適用されます。冷凍保安規則第36条により、冷凍保安責任者は1日の冷凍能力300トン以上なら第一種、100トン以上300トン未満なら第一種または第二種、100トン未満なら第一種・第二種・第三種のいずれかの免状を持つ者から選任します。加えて所定の製造経験が必要で、100トン未満の場合は1日の冷凍能力3トン以上の施設で1年以上の経験が求められます。免状の区分だけでなく、経験年数の条件がセットになっている点が問われます。

検査の側にも同じ構造があります。定期自主検査の対象となる冷凍能力は、アンモニアや難燃性でないフルオロカーボンでは20トンが基準です。そして、その前提となるトン数そのものが計算で決まります。冷凍能力の算定は冷凍保安規則第5条に定めがあり、遠心式圧縮機を使う設備では原動機の定格出力1.2キロワットを1トン、吸収式冷凍設備では1時間の入熱量27,800キロジュールを1トンとして換算します。設備の方式ごとに換算の基準が違うので、ここも表にする対象です。

  • ガスの種類(第一種ガス/アンモニア・燃焼性の基準に適合しないフルオロカーボン/施行令第4条の表に無いガス)
  • 1日の冷凍能力のトン数(3・5・20・50・100・300といった境界値)
  • 手続きの種類(許可・届出・完成検査・保安検査・定期自主検査)
  • 選任できる冷凍保安責任者の免状区分と、必要な製造経験
  • 冷凍能力の算定方法(遠心式は定格出力1.2キロワット、吸収式は入熱量27,800キロジュールで1トン)

覚える対象は条文の順番ではなく、この5つの軸で作ったマス目です。マス目が埋まっていれば、問題文が「アンモニアを冷媒とする1日の冷凍能力30トンの設備」と提示した時点で、許可か届出か、誰を選任できるか、どの検査の対象かが芋づる式に決まります。法令が「暗記量が多くてつらい科目」から「表を1枚作れば安定して取れる科目」に変わるかどうかは、この整理をしたかどうかで分かれます。

なお、容器に関する規定のように、トン数とは別の軸で覚える論点も残ります。容器保安規則第10条の塗色は、酸素が黒色、水素が赤色、液化炭酸ガスが緑色、液化アンモニアが白色と定められています。こうした対応関係は場合分けの構造とは無関係なので、割り切って個別に暗記する対象として分けておくと、学習の見通しが立てやすくなります。

収録615問を分野別に分解するとどう見えるか

ケンテイラボが第三種冷凍機械責任者向けに収録している615問を、出題分野ごとに分けたのが次の表です。分野名・収録問題数・全体に占める構成比とあわせて、その分野で何が問われるのかの解説を載せています。前半の8分野が保安管理技術側、後半の5分野が法令側の内容にあたるので、2科目それぞれの内訳としても読めます。

収録問題13分野の内訳と比重

ケンテイラボでは第三種冷凍機械責任者の収録問題を13の分野に分けて整理しています (学習しやすさを優先した本サイト独自の区分で、実施団体が公表している 出題区分そのものではありません)。収録している615問を分野別に集計すると、 最も問題数が多いのは「⑦ 材料の強さと圧力容器・圧力試験と試運転」の57問(全体の9.3%)、 最も少ないのは「③ 圧縮機」の40問(同6.5%)です。上位3分野だけで全体の26.7%を占めるため、 ここを先に固めるかどうかが得点の土台になります。

分野ごとの学習負荷を、問題文の実データから見る

次の表は、収録問題そのものを集計したデータです。分野ごとに「数値を含む問題の割合」と「問題文の平均文字数」を出しています。数値を含む問題の割合が高い分野は、トン数・倍率・周期といった数字そのものを覚えているかが問われる領域です。割合が低い分野は、用語の定義や現象の因果関係を理解しているかを問う設問が中心になります。

分野別の学習タイプ(収録615問の集計)

ケンテイラボに収録している第三種冷凍機械責任者の問題を分野別に集計し、 「問題文または選択肢に数値が登場する問題の割合」と「問題文の平均文字数」を出しました。 数値の割合が高い分野は具体的な数字の暗記が得点を左右しやすく、 低い分野は用語の理解や文章の読み取りが中心になる傾向があります。

この試験でもっとも数値の比率が高いのは「⑨ 高圧ガス保安法・製造の許可・冷凍能力の算定」で83%、 もっとも低いのは「⑤ 自動制御機器・附属機器」で9%でした。 また問題文がもっとも長いのは「⑨ 高圧ガス保安法・製造の許可・冷凍能力の算定」の平均50字で、 設問を読み解く負担が大きい分野といえます。

  • ① 冷凍の原理と冷凍サイクル44問/数値を含む問題 27%/問題文 平均40
  • ② 熱の移動・冷媒・ブライン・冷凍機油44問/数値を含む問題 30%/問題文 平均40
  • ③ 圧縮機40問/数値を含む問題 18%/問題文 平均37
  • ④ 凝縮器・蒸発器44問/数値を含む問題 23%/問題文 平均39
  • ⑤ 自動制御機器・附属機器45問/数値を含む問題 9%/問題文 平均32
  • ⑥ 冷媒配管・安全装置43問/数値を含む問題 44%/問題文 平均44
  • ⑦ 材料の強さと圧力容器・圧力試験と試運転57問/数値を含む問題 39%/問題文 平均41
  • ⑧ 冷凍装置の運転・保守管理47問/数値を含む問題 26%/問題文 平均43
  • ⑨ 高圧ガス保安法・製造の許可・冷凍能力の算定47問/数値を含む問題 83%/問題文 平均50
  • ⑩ 容器による貯蔵・移動・充てん容器51問/数値を含む問題 45%/問題文 平均45
  • ⑪ 販売・機器製造・保安教育・冷凍保安責任者56問/数値を含む問題 41%/問題文 平均36
  • ⑫ 変更手続き・完成検査・保安検査・定期自主検査・危害予防規程49問/数値を含む問題 29%/問題文 平均48
  • ⑬ 技術上の基準・認定指定設備48問/数値を含む問題 29%/問題文 平均35

数値の比率が高い分野は、数字を単独で覚えるより 「どの制度の・何の基準か」とセットで整理すると定着しやすくなります。 比率が低い分野は、似た用語同士の違いを説明できる状態を目指すと得点が安定します。

この2つの指標は、学習の順番を決める材料になります。数値の比率が高い分野は、直前期に集中して詰め込み直す効果が出る領域です。逆に、問題文が長く数値が少ない分野は、理解に時間がかかるぶん早い時期に手をつけておいたほうが安全です。科目別の合格基準がある以上、両方の科目で同じ判断をする必要があります。

講習による科目免除を使うか、2科目とも受験するか

高圧ガス保安協会が実施する資格講習を修了し、講習の検定に合格すると、試験のうち「保安管理技術」が免除されます。免除を受けた場合、試験当日は法令1科目だけを受けることになります。この免除に有効期限は設けられていないため、いったん取得しておけば、受験年度を先送りしても効力が残ります。

令和7年度の合格率で、全科目受験者の45.0パーセントに対して免除者が87.9パーセントと大きな差がついているのは、この制度によるものです。ただし、この差をそのまま「免除を受ければ合格率が倍近くになる」と読むのは正確ではありません。免除者は講習を受けて検定に合格した層であり、その時点で保安管理技術の内容を一度通しで学んでいます。制度の効果と、受験者層の違いの両方が数字に含まれていると考えるのが妥当です。

判断の材料になるのは、費用と時間の天秤です。試験そのものの受験手数料は令和8年度の電子申請で9,800円(非課税)ですが、講習にはこれとは別に受講の費用と日程がかかります。講習の受講料や開催日程は年度ごとに設定されるため、本記事では金額を示しません。高圧ガス保安協会の公式案内で、その年度の受講料・会場・申込期限を確認してください。

  • 計算問題に強い不安がある、または独学でp-h線図を扱う時間が取りにくい場合は、免除の検討価値が高い
  • 熱や計算に抵抗がなく、受験まで時間の余裕がある場合は、2科目受験でも十分に射程に入る
  • 免除に有効期限がないため、受験する年度を決める前に講習を受けるかどうかを決めておくと、学習計画が崩れにくい
  • 免除を受けても法令の負担は変わらないため、法令の学習量を減らす理由にはならない

第二種・第一種への距離──三種で作った土台はどこまで効くか

冷凍機械責任者の免状が三種・二種・一種に分かれているのは、選任できる製造施設の規模が違うためです。冷凍保安規則第36条の区分でいえば、1日の冷凍能力100トン未満の施設は第三種でも冷凍保安責任者に選任できますが、100トン以上300トン未満では第二種以上、300トン以上では第一種が必要になります。上位の免状は「別の分野を扱う資格」ではなく、「同じ分野でより大きな規模の施設まで担当できる資格」という位置づけです。

したがって、三種で身につける冷凍サイクルの読み方、伝熱と物性の基礎、圧力容器の考え方、そして高圧ガス保安法の骨格は、上位区分でもそのまま土台として使えます。三種の学習が無駄になることはありません。

一方で、上位区分の試験がどの程度難しいのか、出題の性格がどう変わるのかについては、本記事では断定を避けます。科目構成や免除の条件は区分ごとに定められており、年度によって変更されることもあるためです。二種・一種を視野に入れている場合は、高圧ガス保安協会が公表している各区分の受験案内を直接確認したうえで、三種の学習計画を立ててください。

二級ボイラー技士や第二種電気工事士と、負荷のかかり方がどう違うか

第三種冷凍機械責任者は、設備系の国家資格として二級ボイラー技士や第二種電気工事士と並べて語られることがあります。ただし、この3つは試験の形が大きく違うため、単純に難易度を比べても意味がありません。どこに負荷がかかるかが違う、と捉えたほうが実際の対策に役立ちます。

二級ボイラー技士は科目数が多く、科目ごとの最低ラインと全体の合計点の両方を満たす方式です。科目数が多いぶん、それぞれの深さよりも全体を落とさない配分が求められます。第二種電気工事士は、筆記の対策に加えて、工具を使って実際に配線する技能試験の練習時間を確保しなければなりません。手を動かす練習が必須という点で、学習の質そのものが違います。

これに対して第三種冷凍機械責任者は、科目が2つだけで実技もありませんが、そのぶん1問あたりの重みが大きく、科目ごとに基準を越える必要があります。範囲は狭いのに取りこぼしが許されない、という性格です。どれが上でどれが下という話ではなく、自分にとって時間を確保しやすいのがどのタイプの負荷なのかで選ぶのが現実的です。

受験機会の頻度も見落とせない違いです。第三種冷凍機械責任者の試験は年1回、11月に実施されます。不合格になった場合、次の機会は約1年後です。複数回のチャンスがある試験と比べると、1回の受験に対する準備の重みが違ってきます。この点も、講習による科目免除を受けるかどうかを考えるときの判断材料になります。

収録615問を「到達度の測定」として使う

ケンテイラボでは、第三種冷凍機械責任者向けに615問を無料で公開しています。この量を単純に周回するだけでも知識は増えますが、科目別の合格基準がある試験では、解いた問題数よりも「どの分野がまだ基準に届いていないか」を測るほうが有効です。全体の正答率は、この試験に関してはほとんど指標になりません。得意分野の高い正答率が、苦手分野の低さを隠してしまうからです。

実際の試験と同じ切り方で集計するのが基本です。冷凍サイクルから運転保守までの8分野を保安管理技術の側、高圧ガス保安法から技術上の基準までの5分野を法令の側としてまとめ、それぞれで正答率を出します。そのうえで、どちらか一方でも基準を安定して超えられていなければ、そこが次に手をつける場所です。

  • 1周目は分野ごとに解き、正答率が明らかに低い分野を洗い出す
  • 2周目は間違えた問題だけを解き直し、なぜ間違えたのかを用語の定義まで戻って確認する
  • 3周目は保安管理技術側と法令側を分けて通しで解き、科目ごとの到達度を確認する
  • 合格基準は各科目60パーセント程度なので、余裕を見て安定して7割を超える状態を目標にする

第三種冷凍機械責任者の難しさは、範囲の広さでも計算の複雑さでもなく、科目ごとに基準が置かれ、しかも1問の重みが大きいという構造そのものにあります。裏を返せば、どの分野にも穴を残さない状態さえ作れれば、範囲が明確なぶん到達しやすい資格でもあります。学習の初期から分野別に到達度を測っておくことが、この試験ではもっとも効率のよい進め方です。

なお、試験日程・受験手数料・申込方法・講習の実施要領は年度ごとに更新されます。出願の前には、必ず高圧ガス保安協会が公表している最新の受験案内書で確認してください。本記事に記載した数値は、公表資料および高圧ガス保安法関係法令にもとづくものです。

実際に問題を解いて知識を定着させよう

ケンテイラボでは第三種冷凍機械責任者の問題を無料で練習できます。

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