2026/09/13

公害防止管理者 水質関係第1種、5科目を3年に割る科目別合格制

合格した年を含めて3年間有効な科目合格の免除と、期限のない区分合格の免除があります。令和7年度は免除申請あり3,407人が65.1%、なし2,634人が22.9%。母集団の違いと申請制の落とし穴も並べます。

執筆:ケンテイラボ編集部(資格試験対策アプリ開発・運営)

水質関係第1種公害防止管理者の国家試験は、公害総論・水質概論・汚水処理特論・水質有害物質特論・大規模水質特論の5科目75問で構成されます。この試験の合否は、5科目まとめて何点、という出し方をしません。科目ごとに合否が出て、それを全部そろえた人が試験区分の合格者になります。

この仕組みが科目別合格制で、第36回(平成18年度)に実施した試験から適用されています。合格した科目は次の年以降の受験で免除を申請でき、令和7年度の水質関係第1種では、受験した6,041人のうち3,407人が何らかの科目免除を申請していました。

本記事は、この科目別合格制と科目免除だけを扱います。免除の2つの経路、有効期間、申請の要否、そして免除申請の有無で分けて公表されている合格率を並べます。数値は一般社団法人産業環境管理協会の2026(令和8)年度受験案内、令和7年度公害防止管理者等国家試験結果、および合格者発表のページによります。

合否は試験区分ではなく、5科目それぞれに出る

令和7年度に公表された合格基準は、科目別合格が「当該試験科目において60%以上の正解率を得た者」、試験区分合格が「当該試験区分に必要な試験科目の全てに合格した者」でした。前者が科目の線引き、後者が区分の線引きです。

この形だと、得意な科目で稼いだ分を苦手な科目に回すことはできません。水質関係第1種なら、公害総論15問・水質概論10問・汚水処理特論25問・水質有害物質特論15問・大規模水質特論10問の5つに、それぞれ別々の線が引かれます。

なお各科目の合格基準は毎年、試験終了後に開かれる公害防止管理者等国家試験 試験員委員会で決定され、合格発表のときに公表されます。事前の公表は行われないため、60%という数字は令和7年度の実績値として扱うことになります。

一方で、5科目のうち一部だけ基準を満たした年があっても、その科目の合格が消えてなくなるわけではありません。ここから先が科目免除の話になります。

免除の経路は2つあり、出願で書く番号は10桁と8桁で違う

受験案内が説明している科目免除は2種類です。どちらを使うかで、出願時に記入する番号も、免除が続く期間も変わります。

  • 科目合格に基づく免除=一部の科目だけ合格して区分には至らなかった人が、同一の試験区分を受け直すときに使う。出願時に管理番号(10桁)を記入して申請する
  • 区分合格に基づく免除=平成18年度以降に区分合格した人が、別の試験区分を受けるときに使う。出願時に合格証書番号(8桁)を記入して申請する
  • 前者には、合格した年の初めから3年以内という期限がある
  • 後者には、3年という期限がない
  • どちらも受験者本人の申請によるもので、申請しなければ免除されない

番号の桁数が違うのは、根拠になる書類が違うからです。科目合格のほうは区分としてはまだ合格していないので合格証書が手元になく、科目合格に対して発行される10桁の管理番号で紐づけます。管理番号は試験区分ごとに異なり、頭2桁が試験区分の番号(01〜13)です。区分合格のほうは、交付された合格証書の番号を書きます。

つまり、手元にどちらの番号があるかで使える免除が決まります。過去に受けたことがある人は、出願を始める前に、通知に載っている管理番号と合格証書のどちらが自分の根拠になるのかを確かめておくことになります。

科目合格の免除は「合格した年の初めから3年以内」、しかも同一区分に限られる

科目合格に基づく免除の期間は、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律施行規則第15条の2第1項が「その合格した国家試験の行われた年の初めから三年以内に……その者の申請により、その合格した科目を免除する」と定めており、受験案内も同じ「合格した年の初めから3年以内」という言い方をしています。産業環境管理協会のよくある質問はこれを「合格年を含め3年間」と言い換えています。合格した年そのものを数に入れるので、その科目の免除を使って受験できるのは、合格した年の翌年と翌々年の2回ということになります。

もう一つの条件が試験区分です。この免除は同一の試験区分を受験する場合に限られます。水質関係第1種で科目合格した人がこの免除を使えるのは、次も水質関係第1種を受けるときだけです。途中で別の区分に切り替えると、この経路では持ち込めません。

注意が要るのは、この3年が受験者ごとに1本だけ走るのではなく、科目合格1件ごとに別々に走るという点です。ある年に取った科目の期限が切れても、その後の年に取った科目の免除はそれぞれ自分の3年を持ったまま残ります。区分合格までの年数に制度上の上限があるわけではありません。

受験案内9ページの公式の例がそのことを示しています。2023年度に水質4種を受けて公害総論に合格(2025年度まで免除可)、2024年度に汚水処理特論に合格(2026年度まで免除可)、2025年度で公害総論の3年が切れるので2026年度は公害総論を受け直し、その年に水質4種の区分合格に至る、という4年がかりの例です。期限が切れるのは早く取った科目から順で、切れた科目だけを受け直せばよく、後の年に取った科目の免除は生きています。なお、免除申請をせずに受験した科目に合格した場合も「新たな科目合格」として扱われ、その年の初めから3年間の免除権が付きます。

区分合格に基づく免除のほうには、3年の期限がない

これに対して、区分合格に基づく免除には3年の期限がありません。平成18年度以降に取得した区分であれば、何年後に別の区分を受けるときでも、その区分に含まれていた科目は免除を申請できます。

これが成り立つのは、各科目の問題が試験区分を問わず共通で作られているからです。区分が違っても、公害総論は公害総論として同じ問題が配られます。だから他の区分で通した科目は、そのまま通したものとして扱えます。

ただし平成17年度以前の合格は対象外です。科目別合格制が平成18年度に実施した試験から適用されたものであるため、受験案内は合格証書番号の項に「平成17年度以前(科目別合格制度導入前)に取得した資格での免除申請はできません」と書いています。手元の合格証書が古い場合は、この年度の線を先に確認することになります。

昭和46年度の第1回から令和7年度の第55回までで、水質関係第1種の合格者は累計137,198人です。全13区分の中で最も多い区分で、すでに何らかの区分を持っている人が別の区分を足しにくるという受け方も、この期限のない免除があるから成り立っています。

免除されるかどうかは本人の申請次第。書き忘れた科目は欠席扱い

受験案内は、この制度を「受験者本人の申請により免除する」ものと書いています。要件を満たしていても自動では適用されません。出願のときに番号を記入して、はじめて免除されます。

ここで起きうるのが取り違えです。免除されているつもりで当該科目を受験しなかった場合、その科目は免除ではなく欠席の扱いになります。欠席した科目は合格になりませんから、その年に試験区分の合格が成立することはありません。ただし受験案内は「一部の試験科目を欠席した場合でも、受験した科目については採点を行います」としており、その年に受けた他の科目は科目合格になりえます。1年を丸ごと失うわけではなく、区分合格だけが1年先送りになる形です。

申請の期限は、出願そのものの期限と同じです。令和8年度でいえばインターネット申込の受付が7月1日9時から7月31日17時までなので、この期間内に免除の番号まで入れ切る必要があります。締切後に「あの科目は免除だったはず」と申し出ても間に合いません。

確認すべきタイミングは受験票が届いたあとではなく、出願のときです。協会のよくある質問は「申込受付期間を過ぎてしまった場合は、いかなる理由でも免除申請することはできません」としており、締切を過ぎた時点で確定します。受験案内も、免除申請を忘れたり誤ったりした場合の直しは「仮申込受付期間内であれば、再ログインした後、免除申請の追加・変更ができます」までで、申込受付期間を過ぎると再ログインもできません。申込画面の最後に免除科目が表示されるので、そこで確かめておくことになります。

65.1%と22.9%は、同じ土俵に立った数字ではない

令和7年度の試験結果は、水質関係第1種の受験者を科目免除申請の有無で分けて公表しています。申込6,772人の内訳は免除申請あり3,624人・なし3,148人、受験6,041人の内訳は免除申請あり3,407人・なし2,634人でした。

  • 免除申請あり:受験3,407人/合格2,219人/合格率65.1%
  • 免除申請なし:受験2,634人/合格602人/合格率22.9%
  • 合計:受験6,041人/合格2,821人/合格率46.7%

差は42.2ポイントあります。ただしこの2つを並べて「制度を使えば受かりやすい」と読むと、順序が逆になります。免除を申請できるのは、前の年までに一部の科目を通した人か、他の区分にすでに合格している人です。つまり免除申請ありの側には、この試験に一度は通用した人だけが集まっています。

対する免除申請なしの側には、初めて受ける人が多く含まれます。しかもその年に5科目すべてを取り切らないと合格になりません。受ける科目数も、これまでの通過実績も違うので、2つの合格率は母集団の性質が違う数字として読む必要があります。

この2つの数字が示しているのは、5科目を1年で取り切るのはそれなりに難しく、複数年に分けた人が後の年に合格者として現れる、という流れのほうです。免除そのものが得点を押し上げているわけではありません。

受験者19,845人のうち10,805人が免除申請者という前提で読む

この構図は水質関係第1種に限った話ではありません。令和7年度の全13区分では、申込22,227人のうち科目免除を申請した人が11,519人で51.8%、受験19,845人のうち10,805人で54.4%を占めました。受験者の半数以上が免除申請者です。

合格率も分けて公表されていて、全13区分では免除申請あり53.9%、なし14.9%、合計36.2%でした。水質関係第1種の46.7%も、この構造の上に乗っている数字です。

したがって、公表されている試験区分ごとの合格率は「初めて5科目を受ける人が合格する割合」ではありません。免除で1科目や2科目だけを受けにきた人と、5科目を初めて受ける人が、同じ分母に入っています。

自分がどちらの立場かによって、参考にすべき数字が変わります。今年が初受験で5科目すべてを受けるなら、目安として見ておくのは免除申請なしの22.9%のほうです。

複数年に割るとき、区切りは科目の境目にしか置けない

科目合格を使って複数年で仕上げると決めた場合、何年目にどの科目を取りにいくかを先に決めることになります。区切りは科目単位でしか置けないので、途中まで進めた科目を持ち越すことはできません。ここで効いてくるのが、科目ごとの中身の量の差です。

ケンテイラボの公害防止管理者 水質関係第1種は658問を収録しています。10の分野に分けていますが、公式の5科目に寄せると、公害総論=①②の133問、水質概論=③④の125問、汚水処理特論=⑤⑥⑦の197問、水質有害物質特論=⑧⑨の122問、大規模水質特論=⑩の81問という配分になります。分野ごとの収録数と構成比は次の表のとおりです。

収録問題10分野の内訳と比重

ケンテイラボでは公害防止管理者 水質関係第1種の収録問題を10の分野に分けて整理しています (学習しやすさを優先した本サイト独自の区分で、実施団体が公表している 出題区分そのものではありません)。収録している658問を分野別に集計すると、 最も問題数が多いのは「⑩ 大規模水質特論」の81問(全体の12.3%)、 最も少ないのは「⑨ 水質有害物質特論2 有害物質の測定」の50問(同7.6%)です。上位3分野だけで全体の34.1%を占めるため、 ここを先に固めるかどうかが得点の土台になります。

出題数が25問で最も多い汚水処理特論は、収録数でも197問で最も多い科目です。この科目を初年度から後回しにすると、2年目以降に一番重い塊が残ります。逆にここを最初の年に通しておけば、残る2回は軽い側の科目だけで組めます。

中身の性格も科目で違います。汚水処理特論には、BOD容積負荷やSVI、向流多段洗浄の段数のように、式に数値を当てはめて解く問いが並びます。大規模水質特論にもプランクトン態炭素のCOD換算や濃縮倍数の計算が入ります。一方で公害総論は、環境基本法の条文や公害防止組織の選任期限のように、条文と数字の対応を覚えて答える問いが中心です。

分野ごとに、数値を含む問題の割合と問題文の平均文字数を集計すると次のようになります。1年あたり何科目を割り当てるかを決めるときの材料になります。

分野別の学習タイプ(収録658問の集計)

ケンテイラボに収録している公害防止管理者 水質関係第1種の問題を分野別に集計し、 「問題文または選択肢に数値が登場する問題の割合」と「問題文の平均文字数」を出しました。 数値の割合が高い分野は具体的な数字の暗記が得点を左右しやすく、 低い分野は用語の理解や文章の読み取りが中心になる傾向があります。

この試験でもっとも数値の比率が高いのは「③ 水質概論1 法規制と汚濁の現状・発生源」で57%、 もっとも低いのは「⑨ 水質有害物質特論2 有害物質の測定」で20%でした。 また問題文がもっとも長いのは「⑥ 汚水処理特論2 生物処理法と装置の維持管理」の平均49字で、 設問を読み解く負担が大きい分野といえます。

  • ① 公害総論1 環境法規と公害防止組織65問/数値を含む問題 48%/問題文 平均38
  • ② 公害総論2 環境問題全般と環境管理手法68問/数値を含む問題 40%/問題文 平均42
  • ③ 水質概論1 法規制と汚濁の現状・発生源70問/数値を含む問題 57%/問題文 平均45
  • ④ 水質概論2 汚濁の機構・影響・防止対策55問/数値を含む問題 27%/問題文 平均47
  • ⑤ 汚水処理特論1 処理計画と物理・化学的処理法72問/数値を含む問題 46%/問題文 平均41
  • ⑥ 汚水処理特論2 生物処理法と装置の維持管理65問/数値を含む問題 48%/問題文 平均49
  • ⑦ 汚水処理特論3 水質汚濁物質の測定技術60問/数値を含む問題 53%/問題文 平均44
  • ⑧ 水質有害物質特論1 有害物質の性質と処理72問/数値を含む問題 32%/問題文 平均38
  • ⑨ 水質有害物質特論2 有害物質の測定50問/数値を含む問題 20%/問題文 平均37
  • ⑩ 大規模水質特論81問/数値を含む問題 23%/問題文 平均42

数値の比率が高い分野は、数字を単独で覚えるより 「どの制度の・何の基準か」とセットで整理すると定着しやすくなります。 比率が低い分野は、似た用語同士の違いを説明できる状態を目指すと得点が安定します。

式を使う科目は、受験の年に短期間で詰めても手が動くようになりにくい部類です。条文や用語が中心の科目のほうが、直前の追い込みは効きやすくなります。複数年に割るなら、計算の重い科目を前の年に置いたほうが、後の年の負担を読みやすくなります。

全科目免除の年は受験手数料がかからず、申込みの経路も変わる

免除を積み上げていくと、受験するはずの科目がすべて免除になる場合があります。受験案内は、その場合の申込方法を通常と別に定めています。

このときの申込みは、通常のインターネット申込の画面からは行えません。「全科目免除受験願書」による申込みになり、令和8年度の申請期限は7月17日です。インターネット申込の締切である7月31日より2週間ほど早く設定されています。

受験手数料も原則として不要です。水質関係第1種の受験手数料は通常12,300円(非課税)で、指定期日までに指定の銀行口座へ振り込む形ですが、全科目免除で申し込む場合はこの振込自体が発生しません。ただし受験案内は「既に取得した資格で選任できる公害防止管理者の資格区分を受験する場合」を除くとしており、すでに持っている資格で選任できる区分を受け直すときは対象外です。

経路も期限も通常と別なので、免除の積み上げで全科目に届きそうな人は、出願の前にどちらの願書を使うのかを確かめておくことになります。7月31日を締切だと思い込んでいると、その時点で2週間前の期限を過ぎていることになります。

科目別合格制は、1年で5科目を取り切れなかった受験を無駄にしないための仕組みです。ただし効くのは、期限のうちに同じ区分を受け直し、出願時に番号を書いた人に限られます。制度の側は自動では何もしてくれない、という一点だけは押さえておきたいところです。

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