2026/09/13

公害防止管理者 水質関係第1種、区分の番号は難しさの順ではない

令和7年度の合格率は第1種46.7%で、第2種26.5%・第3種39.7%・第4種31.6%を上回りました。4区分は有害物質排出施設の有無と排出水量1日1万立方メートルで分かれます。科目の重なり方から逆転を読みます。

執筆:ケンテイラボ編集部(資格試験対策アプリ開発・運営)

公害防止管理者の水質関係には、第1種から第4種まで4つの試験区分があります。番号が小さいほど難しい試験だと読みたくなりますが、この番号は難易度の順位ではありません。分かれているのは、資格を取った人が選任できる施設の範囲です。

そして令和7年度の合格率は、最上位である水質関係第1種が46.7%で水質4区分のうち最も高く、第2種が26.5%で最も低いという並びでした。第3種は39.7%、第4種は31.6%で、区分の番号順にも並んでいません。

この記事は、その逆転を制度の作りから読み解きます。数値は一般社団法人産業環境管理協会(公害防止管理者試験センター)が公表する令和7年度国家試験結果、2026年度受験案内、公害防止管理者等の種類と選任ができる資格者の一覧によります。ケンテイラボの水質関係第1種は658問を収録しています。

1種から4種までの番号は、選任できる施設の広さの順

公害防止管理者は、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律に基づく国家資格です。特定工場は公害発生施設の区分ごとに公害防止管理者を選任しなければならず、どの施設にどの区分の有資格者を充てられるかが法令で決められています。

水質関係第1種は、この対応表でいちばん広い位置にあります。第1種の有資格者は水質関係のすべての選任に対応でき、第2種・第3種・第4種が担当する施設もそのままカバーします。逆に第4種の有資格者が選任できるのは、第4種に対応する施設だけです。

つまり番号は、担当できる範囲の広さを表しています。試験の通りやすさを表す番号ではないので、合格率が番号の順に並ぶ理由はもともとありません。受験資格には学歴・年齢・実務経験の制限がなく、どの区分をいきなり受けても構わない点も、番号を難易度と読ませない要因です。

最上位らしさが出るのは、国家試験ではなくもう一方の取得ルートのほうです。公害防止管理者には資格認定講習からの取得ルートもありますが、水質関係第1種は学歴及び実務経験資格での受講申込みができず、技術士や環境計量士(濃度関係)、薬剤師といった技術資格の保有者に限られます。国家試験の入口は誰にでも開いていて、講習の入口だけが狭い、という組み合わせです。

4区分を分けるのは有害物質排出施設の有無と、1日1万立方メートル

具体的な線引きは2つの軸です。ひとつは水質関係有害物質排出施設かどうか、もうひとつは排出水量が1日当たり1万立方メートル以上かどうかです。この2軸の組み合わせが、そのまま4つの区分になっています。

  • 第1種=水質関係有害物質排出施設で、排出水量が1日1万立方メートル以上の工場に設置されるもの
  • 第2種=水質関係有害物質排出施設で、排出水量が1日1万立方メートル未満の工場、または特定地下浸透水を浸透させている工場に設置されるもの
  • 第3種=水質関係有害物質排出施設以外の汚水等排出施設で、排出水量が1日1万立方メートル以上の工場に設置されるもの
  • 第4種=水質関係有害物質排出施設以外の汚水等排出施設で、排出水量が1日1千立方メートル以上1万立方メートル未満の工場に設置されるもの

第2種と第3種を並べると、片方は有害物質を扱う小規模側、もう片方は有害物質を扱わない大規模側で、性格がまったく違います。上下に積み上がった階段ではなく、2軸で切った4つのマス目だと考えるほうが実態に合います。第1種だけが、そのマス目のうち有害物質と大規模の両方に当たる位置にあります。

下位3区分の試験科目は、いずれも第1種の5科目の一部

試験科目もこの構造をそのまま写しています。水質関係第1種は公害総論15問・水質概論10問・汚水処理特論25問・水質有害物質特論15問・大規模水質特論10問の5科目75問です。他の3区分は、この5科目から一部を抜いた形になっています。

  • 水質関係第1種=5科目75問
  • 水質関係第2種=大規模水質特論を除く4科目65問
  • 水質関係第3種=水質有害物質特論を除く4科目60問
  • 水質関係第4種=公害総論・水質概論・汚水処理特論の3科目50問

第2種は第1種から大規模水質特論を、第3種は水質有害物質特論を落とした形で、第4種は両方を落とした形です。各試験科目の問題は試験区分を問わず共通なので、4区分は同じ問題群のうちどれを受けるかが違うだけ、という関係になります。

解く問題数だけを見れば第1種がいちばん多く、75問と50問では25問の差があります。それでも令和7年度に合格率が最も高かったのは第1種でした。

令和7年度は第1種46.7%と第2種26.5%で20.2ポイントの開き

令和7年度の試験区分別の結果(表1)から、水質4区分と全体を抜き出すと次のようになります。

  • 水質関係第1種:申込6,772人/受験6,041人/合格2,821人/合格率46.7%
  • 水質関係第2種:申込1,458人/受験1,327人/合格352人/合格率26.5%
  • 水質関係第3種:申込643人/受験574人/合格228人/合格率39.7%
  • 水質関係第4種:申込2,821人/受験2,501人/合格790人/合格率31.6%
  • 全13区分の合計:申込22,227人/受験19,845人/合格7,175人/合格率36.2%

第1種と第2種の差は20.2ポイントで、科目が1つ少ない第2種のほうが低くなっています。受験者の規模も違い、第1種6,041人に対して第2種は1,327人と4分の1以下です。大分類でまとめた水質関係全体の合格率は40.1%で、第1種の46.7%はそれも上回っています。

昭和46年度の第1回から令和7年度の第55回までの累計合格者は、水質関係第1種が137,198人で、全13区分の中で最も多い区分です。人が集まるのは最上位区分のほうだという傾向は、単年度ではなく長期でも同じでした。

大規模水質特論を受ける2区分が、令和7年度の上位2つを占めた

科目の側から見ると、もう一つの手がかりがあります。令和7年度に公表された試験科目別の合格率で最も高かったのは大規模水質特論の70.0%、次いで公害総論の69.2%でした。低いほうでは大気概論が27.0%です。

ただしこの科目別合格率は全13区分をまたいで集計した数字で、水質関係第1種の受験者だけを取り出したものではありません。区分ごとの内訳ではない、という前提を置いて読む必要があります。

そのうえで並べると、大規模水質特論を受けるのは第1種と第3種で、令和7年度の合格率は46.7%と39.7%。この2つが水質4区分の上位2つです。受けないのは第2種と第4種で、26.5%と31.6%で下位2つでした。科目が1つ多いことが、少なくともこの年度では不利に働いていません。

科目数がいちばん少ない第4種が31.6%で、1科目多い第2種の26.5%を上回っている点も同じ方向を示しています。受ける科目の数と合格率は対応しておらず、どの科目を受けるかのほうが数字に効いた形です。

受験手数料の設定も、番号順ではなくこの線で分かれています。水質関係第1種と第3種が12,300円、第2種と第4種が11,600円(いずれも非課税)で、大規模水質特論を受ける区分とそうでない区分で額が変わります。手数料の側から見ても、4区分は上下の階段ではなく科目の組み合わせで区切られていることが分かります。

46.7%という数字には、科目免除を申請した3,407人が入っている

合格率を区分どうしで比べるときに、外せない前提がもう一つあります。この試験には科目別合格制があり、令和7年度の水質関係第1種の受験者6,041人のうち3,407人が科目免除を申請していました。受験者の半数以上です。

免除申請ありの合格率は65.1%、免除申請なしは22.9%で、全体の46.7%はこの2つを合わせた数字です。免除の要件や申請の手続きはこの記事では扱いませんが、公表されている区分別合格率が「その日に5科目すべてを解いた人の通過率」ではないことは押さえておきたいところです。

そのため、46.7%を「4割強は通る試験」と読み替えるのは早すぎます。免除申請者の比率は区分ごとに違いうるので、第1種と第2種の20.2ポイント差をそのまま区分の難しさの差と受け取ることもできません。

同じ第1種でも、令和4年度27.2%から令和7年度46.7%まで振れる

区分どうしの比較の前に、同じ区分でも年度で数字が動きます。水質関係第1種の直近5年は次のとおりです。

  • 令和3年度:受験6,767人/合格2,602人/合格率38.5%
  • 令和4年度:受験6,521人/合格1,774人/合格率27.2%
  • 令和5年度:受験6,610人/合格2,085人/合格率31.5%
  • 令和6年度:受験6,379人/合格1,971人/合格率30.9%
  • 令和7年度:受験6,041人/合格2,821人/合格率46.7%

令和4年度から令和6年度までは3割前後で並び、令和7年度だけが46.7%に跳ねています。この動きは第1種に限りません。全13区分の合計も令和6年度25.9%から令和7年度36.2%へ、10.3ポイント上がりました。区分の性格ではなく、その年度全体の事情が効いているように見えます。

受験者数のほうは6,767人から6,041人へ緩やかに減っており、大きく動いているのは合格者数です。令和7年度の46.7%は最新の実績ですが、平常時の水準として扱う根拠にはなりません。他の区分と比べるときも、同じ年度どうしで並べる必要があります。

ここで並べたのは令和3年度以降の5年分です。協会サイトの試験結果ページに現在載っているのは令和7年度分で、それ以前の年度の数値はウェブ上の保存記録に残っていた各年度の試験結果PDFによりました。

合格基準は事前に公表されない。令和7年度の実績は各科目60%以上の正解率

合格率が年度で動く背景の一つに、合格基準の決め方があります。各科目の合格基準は毎年、国家試験の終了後に開かれる公害防止管理者等国家試験 試験員委員会で決定され、合格発表時に公表されます。受験前に基準が示される仕組みではありません。

令和7年度に公表された基準は、科目別合格が「当該試験科目において60%以上の正解率を得た者」、試験区分合格が「当該試験区分に必要な試験科目の全てに合格した者」というものでした。60%はあくまで令和7年度の実績値で、次年度も同じという保証は公式には示されていません。

この形だと、合計点で苦手科目を埋めることはできません。第1種は5科目すべてで基準を越える必要があり、第4種なら3科目です。越えるべき壁の数という意味では、第1種の条件がいちばん厳しくなります。合格率の順位と、区分ごとに課される条件の重さは別に見ておくのが安全です。

難しさの手がかりは番号ではなく、収録658問がどこに寄っているか

最後に、範囲の重さを収録問題の側から見ます。ケンテイラボの水質関係第1種は658問を10分野に分けて収録しています。分野ごとの収録数と構成比、それぞれの分野で何を扱うかは次の表のとおりです。

収録問題10分野の内訳と比重

ケンテイラボでは公害防止管理者 水質関係第1種の収録問題を10の分野に分けて整理しています (学習しやすさを優先した本サイト独自の区分で、実施団体が公表している 出題区分そのものではありません)。収録している658問を分野別に集計すると、 最も問題数が多いのは「⑩ 大規模水質特論」の81問(全体の12.3%)、 最も少ないのは「⑨ 水質有害物質特論2 有害物質の測定」の50問(同7.6%)です。上位3分野だけで全体の34.1%を占めるため、 ここを先に固めるかどうかが得点の土台になります。

第4種が受けない範囲、つまり水質有害物質特論にあたる⑧の72問と⑨の50問、大規模水質特論にあたる⑩の81問を合わせると203問で、658問のおよそ3割にあたります。第1種を選ぶというのは、この203問を上乗せで抱えるという意味です。

ただし上乗せ分の性格は一様ではありません。⑩は閉鎖性海域の生態系モデルや濃縮倍数の計算、製鉄所や製油所といった工場ごとの排水事例が中心で、⑧と⑨はシアン・クロム(VI)・ひ素・ふっ素などの物質ごとに、処理法と分析法を対応づける内容が中心です。暗記の仕方も演習の仕方も変わってきます。

分野ごとに、数値を含む問題の割合と問題文の平均文字数を集計すると次のようになります。計算に寄っている分野と、用語と条文の対応づけに寄っている分野を見分ける材料になります。

分野別の学習タイプ(収録658問の集計)

ケンテイラボに収録している公害防止管理者 水質関係第1種の問題を分野別に集計し、 「問題文または選択肢に数値が登場する問題の割合」と「問題文の平均文字数」を出しました。 数値の割合が高い分野は具体的な数字の暗記が得点を左右しやすく、 低い分野は用語の理解や文章の読み取りが中心になる傾向があります。

この試験でもっとも数値の比率が高いのは「③ 水質概論1 法規制と汚濁の現状・発生源」で57%、 もっとも低いのは「⑨ 水質有害物質特論2 有害物質の測定」で20%でした。 また問題文がもっとも長いのは「⑥ 汚水処理特論2 生物処理法と装置の維持管理」の平均49字で、 設問を読み解く負担が大きい分野といえます。

  • ① 公害総論1 環境法規と公害防止組織65問/数値を含む問題 48%/問題文 平均38
  • ② 公害総論2 環境問題全般と環境管理手法68問/数値を含む問題 40%/問題文 平均42
  • ③ 水質概論1 法規制と汚濁の現状・発生源70問/数値を含む問題 57%/問題文 平均45
  • ④ 水質概論2 汚濁の機構・影響・防止対策55問/数値を含む問題 27%/問題文 平均47
  • ⑤ 汚水処理特論1 処理計画と物理・化学的処理法72問/数値を含む問題 46%/問題文 平均41
  • ⑥ 汚水処理特論2 生物処理法と装置の維持管理65問/数値を含む問題 48%/問題文 平均49
  • ⑦ 汚水処理特論3 水質汚濁物質の測定技術60問/数値を含む問題 53%/問題文 平均44
  • ⑧ 水質有害物質特論1 有害物質の性質と処理72問/数値を含む問題 32%/問題文 平均38
  • ⑨ 水質有害物質特論2 有害物質の測定50問/数値を含む問題 20%/問題文 平均37
  • ⑩ 大規模水質特論81問/数値を含む問題 23%/問題文 平均42

数値の比率が高い分野は、数字を単独で覚えるより 「どの制度の・何の基準か」とセットで整理すると定着しやすくなります。 比率が低い分野は、似た用語同士の違いを説明できる状態を目指すと得点が安定します。

どの区分を受けるかは、まず職場のどの施設で選任されるかで決まります。そのうえで試験の重さを見積もるなら、区分の番号を難易度の目盛りとして読むのではなく、受ける科目の範囲がどれだけ計算と数値に寄っているかを見るほうが、実際の負担に近い見方になります。

実際に問題を解いて知識を定着させよう

ケンテイラボでは公害防止管理者 水質関係第1種の問題を無料で練習できます。

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