2026/09/10

免除で筆記が減っても実技5問は残る消防設備士乙種第3類

科目免除は6パターンあり、最短で筆記4問・35分まで縮みます。ただし鑑別等5問はどのパターンでも免除されません。免除をどこまで使うかで、合否が実技に寄っていく構造を整理します。

執筆:ケンテイラボ編集部(資格試験対策アプリ開発・運営)

消防設備士乙種第3類は、不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備の整備と点検ができる国家資格です。乙種でできるのは整備までで、工事に当たるには甲種第3類が必要になります。試験は筆記30問と実技(鑑別等)5問の計35問、科目免除なしで1時間45分です。

この試験の準備を考えるとき、最初に決めるべきなのは学習の順番ではなく「科目免除を使うかどうか」です。免除の有無で解く問題数も試験時間も変わり、合否がどこで決まるかまで変わります。本記事はそこから組み立てます。

免除は6パターンあり、最短で筆記4問・35分になる

消防試験研究センターが公開している乙種の一部免除の一覧表では、乙種第3類の免除は6つのパターンに整理されています。持っている資格によって、消える問題数と試験時間が確定します。

  • 甲種3〜5類または乙種4〜7類の免状:法令共通6問が免除。筆記24問・1時間30分
  • 甲種1・2類または乙種1・2類の免状:法令共通6問と基礎的知識5問の計11問が免除。筆記19問・1時間15分
  • 電気工事士または電気主任技術者:電気に関する6問が免除。筆記24問・1時間30分
  • 上記1つ目と電気の資格を併せ持つ:12問免除。筆記18問・1時間15分
  • 上記2つ目と電気の資格を併せ持つ:15問免除。筆記15問・1時間00分
  • 技術士(機械部門または化学部門)または検定協会等職員:20問免除。筆記10問・0時間45分。これに甲種か乙種の免状が加わると26問免除で筆記4問・0時間35分

筆記30問が4問まで縮むというのは、かなり極端な話に見えます。ただし、そのすべてのパターンで実技の鑑別等5問は「免除なし」です。乙種第1類・第2類・第3類の表では、実技の欄が縦書きで免除なしと潰されています。

鑑別等5問だけは、どの資格を積んでも残る

他の類と比べると、この扱いの特殊さが分かります。乙種第4類・第7類では電気工事士の免状で鑑別等が1問免除になり、乙種第5類・第6類では一定の消防団員が実技を全部免除されます。第1類・第2類・第3類にはその道がありません。

合格基準は、筆記が各科目40%以上かつ筆記全体で60%以上、加えて実技で60%以上です。科目免除を受けた場合は、免除された科目を除いた残りの問題でこの基準を満たすかどうかが判定されます。

つまり免除を使うほど、筆記側は母数が小さくなって1問の重みが上がり、実技5問は変わらず残ります。免除を最大まで使った状態は「筆記4問と実技5問で合否が決まる」ということです。取りこぼしの許容量が小さくなる方向に働きます。

免除は権利であって義務ではありません。筆記の問題数が多いほうが1問あたりの取りこぼしを吸収できる、という考え方も成り立ちます。時間を短くしたいのか、母数を確保したいのか。この判断を先にしておくと、あとの学習計画がぶれません。

免除の効きは「類の近さ」で決まり、甲乙の上下では決まらない

免除の組み合わせで直感に反するのが、上位資格を持っていても免除が増えるとは限らない点です。消防法施行規則第33条の11第4項第2号の表は、乙種の第一類・第二類・第三類を1つのグループとし、このグループ内の免状があれば基礎的知識を免除します。

そのため乙種第1類か第2類を持っていれば、乙種第3類の筆記は30問から19問に減り、時間も1時間45分から1時間15分になります。一方、東京の試験案内の科目免除一覧では、上位である甲種第3類を持っている場合の免除は法令共通の6問だけです。

免除の設計が「どの類に近いか」で組まれていて、甲種と乙種の上下関係では組まれていない、ということです。手持ちの資格から免除の範囲を判断するときは、上位かどうかではなく類の並びを見ることになります。

技術士で認められる部門が機械部門または化学部門である点も、同じ発想で説明がつきます。規則第33条の11第1項の表では、機械部門が第1・2・3・5・6類、電気部門が第4・7類、化学部門が第2・3類、衛生工学部門が第1類です。ガスと粉末という消火剤の性質を扱う類なので、化学部門が入っています。

ケンテイラボに収録している乙種第3類の対策問題559問は、次の8つの区分に分けてあります。これはケンテイラボ側の整理で、本試験の科目区分そのものではありません(本試験の内訳は消防関係法令10問・基礎的知識5問・構造機能整備15問・実技5問です)。どこにどれだけ手を動かせるかの目安として見てください。

収録問題8分野の内訳と比重

ケンテイラボでは消防設備士乙種第3類の収録問題を8の分野に分けて整理しています (学習しやすさを優先した本サイト独自の区分で、実施団体が公表している 出題区分そのものではありません)。収録している559問を分野別に集計すると、 最も問題数が多いのは「① 機械系基礎(水理・力学・材料)」の90問(全体の16.1%)、 最も少ないのは「⑥ 規格①弁・噴射・警報装置」の34問(同6.1%)です。上位3分野だけで全体の47.1%を占めるため、 ここを先に固めるかどうかが得点の土台になります。

収録問題では機械系基礎が90問、規格の電源・操作系が86問、不活性ガス・ハロゲン化物の消火設備が87問と厚くなっています。免除で基礎的知識が消える人は、機械系基礎と電気系基礎の166問を飛ばして構造機能と規格に寄せる、という使い方ができます。

1つの免状で3種類の消火設備を扱うので、数値が枝分かれする

第3類は不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備という3つの設備を1つの免状で扱います。基準が3本立てになるので、似ているのに数値が違う箇所が出てきます。

たとえば移動式のホース接続口までの水平距離は、不活性ガス消火設備が15メートル以下(消防法施行令第16条第三号)、ハロゲン化物消火設備が20メートル以下(同第17条第二号)、粉末消火設備が15メートル以下(同第18条第二号)で、ハロゲン化物だけ数値が違います。

一方で噴射ヘッドの設置については、ハロゲン化物も粉末も「不活性ガス消火設備の例による」と条文で参照されています(令第17条第一号、令第18条第一号)。共通で処理される部分と、設備ごとに分かれる部分が入り組んでいます。

この試験の暗記が面倒になるのは、3設備を横に並べて「どこが共通でどこが違うか」を押さえないと、数値が混ざるからです。設備ごとに縦に覚えるより、項目ごとに3設備を並べた表の形で覚えたほうが、取り違えが減ります。

配管が業務範囲に入るのは第3類の特徴

消防法施行令第36条の2第1項は、屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・屋外消火栓設備については電源・水源・配管の部分を除くとしています。これに対して不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備では、除かれるのは電源の部分だけです。

つまり第3類では配管が消防設備士の独占業務の範囲に入ります。第1類との違いがここに出ます。センターが公開している実技の過去問題に、粉末消火設備(全域放出方式)の配管構成がトーナメント形式である理由を記述で問うものがあるのも、この扱いと表裏一体です。

業務範囲の条文は消防法施行規則第33条の3第3項の表で、乙種の指定区分「第三類」に対応する消防用設備等は「不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備」と定められています。センターの案内では、これにパッケージ型消火設備・パッケージ型自動消火設備が加わります。

公式のテキストは存在せず、出る問題も一部しか公開されない

消防試験研究センターは受験用のテキストや問題集を発行していません。公式が受験参考として出しているのは「過去に出題された問題」のPDFだけで、乙種は全類まとめて1本、乙種第3類として載っているのは類別法令1問・規格1問・構造機能1問と実技の鑑別等1問です。

令和8年6月更新版に載るのも、令和7年度以前に出題されたものの一部にとどまります。試験問題の著作権はセンターが保有し、教育目的(非営利)以外の二次利用は禁止されています。過去問を大量に集めて傾向を掴む、というやり方が取りにくい試験です。

そのぶん、条文と規格の数値を自分で押さえる比重が上がります。公開されている4問は少ないですが、問われ方の形式(記述式で理由まで書かせる)を知る材料にはなるので、実技対策の入口として先に見ておく価値があります。

受験機会が年2回しかない地域がある

試験は消防法第17条の8第3項により「毎年一回以上、都道府県知事が行う」とされていて、実際の回数や時期は都道府県ごとに違います。東京(中央試験センター)の令和8年度の日程では、乙種第3類は乙種第1・2・5類とひとまとめの枠で、令和8年5月31日と令和8年10月12日の年2回だけです。

同じ東京でも乙種第6類は年9回、乙種第4類・第7類は年5回、甲種第4類は年11回あります。第3類は受験機会そのものが少ない部類に入ります。さらに同一試験日に違う種類の試験は受けられないので、乙種第3類を受ける日は同じ枠の第1類・第2類・第5類を諦めることになります。

回数が少ないということは、1回の失敗で半年待つ可能性があるということです。免除を使って試験時間を短くするより、確実に受かる準備をしてから申し込むほうが、結果的に早いという考え方も成り立ちます。

合格したあとに必要な手続きと講習

合格しただけでは免状は手元に来ません。受験した道府県のセンター支部(東京都は中央試験センター)に、免状交付申請書と試験結果通知書、既に持っている危険物取扱者免状・消防設備士免状、免状送付用封筒(460円分の簡易書留切手を貼付)、手数料の納付証明を提出します。手数料は1種類につき2,900円です。

免状を交付するのは都道府県知事です(消防法第17条の7)。試験日後6か月以上経ってから申請する場合は、写真1枚が別途必要になります。

交付を受けたあとは講習の受講義務があります。免状交付を受けた日以後における最初の4月1日から2年以内に都道府県知事が行う講習を受け、その後は受講日以後の最初の4月1日から5年以内ごとに受け続けます(消防法第17条の10、消防法施行規則第33条の17)。

講習の区分は4つあり、第3類は第1類・第2類と同じ「消火設備」区分です。科目は工事整備対象設備等関係法令および防火に関する他法令等に関する事項が2時間30分以上、工事整備対象設備等の工事または整備等に関する事項が4時間以上で、修了後に30分間程度の効果測定があります。

収録559問をどう配分するか

免除を使わない場合、筆記の内訳は消防関係法令10問(共通6問・類別4問)、基礎的知識5問(機械3問・電気2問)、構造機能整備15問(機械8問・電気4問・規格3問)です。構造機能整備が半分を占めます。

各科目40%以上という足切りがあるので、基礎的知識5問のように問題数の少ない科目ほど注意が要ります。5問中2問しか取れなければ40%で、そこで止まります。問題数が少ない科目を捨てる判断はできません。

収録559問は分野別に解けるので、まず構造機能と規格に相当する区分を厚く回し、基礎的知識に当たる機械系・電気系は足切りを割らない水準を確保する、という順序が現実的です。実技の鑑別等については、別記事で3設備の見分け方を扱います。

実際に問題を解いて知識を定着させよう

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