2026/09/12

介護福祉士の合格率70.1%と、64点に下がった基準点

第38回は受験78,469人・合格54,987人で70.1%でした。第35回の84.3%からは離れており、受験ルート別に見ると58.8%から90.9%まで開きます。11科目群すべてで得点が要る条件とあわせて数字の読み方を整理します。

執筆:ケンテイラボ編集部(資格試験対策アプリ開発・運営)

介護福祉士国家試験は、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが回ごとに受験者数・合格者数・合格率を公表しています。直近の第38回(令和7年度)は、受験者78,469人に対して合格者54,987人、合格率70.1%でした。

7割が受かる試験だと聞けば、通りやすい国家試験という印象になります。ただしこの数字は、過去の回と並べたときと、受験ルート別に分けたときとで見え方が変わります。ここでは公表されている数値の範囲で、70.1%という数字の輪郭を確かめていきます。

70.1%は直近5回でいちばん低い

第38回の合格発表資料には「これまでの試験結果」として過去の回が並んでいます。直近5回を受験者数・合格者数・合格率の順に書き出すと次のとおりです。

  • 第34回(令和3年度) 83,082人/60,099人/72.3%
  • 第35回(令和4年度) 79,151人/66,711人/84.3%
  • 第36回(令和5年度) 74,595人/61,747人/82.8%
  • 第37回(令和6年度) 75,387人/58,992人/78.3%
  • 第38回(令和7年度) 78,469人/54,987人/70.1%

第34回の72.3%から第35回で12.0ポイント上がって84.3%に達し、そこから3回続けて下がっています。第35回と第38回の差は14.2ポイント、直前の第37回との差でも8.2ポイントです。5回のうち最も高い回と最も低い回が3年しか離れていないため、「介護福祉士の合格率はおよそ何%」と一つの数字で言い切りにくい状態にあります。

第39回(令和8年度)は令和9年1月31日に実施され、合格発表は令和9年3月23日の予定です。その結果が出るまで、第38回の70.1%が最新の実績ということになります。

受験者が増えた回で、合格者だけが減っている

合格率の下がり方を、受験者数と合格者数に分けて見ると別の動きが見えます。受験者数は第36回の74,595人を底に、第37回75,387人、第38回78,469人と2回続けて増えました。第36回から第38回で3,874人の増加です。

一方で合格者数は、第35回の66,711人から第36回61,747人、第37回58,992人、第38回54,987人と3回続けて減っています。第35回と比べると11,724人少ない計算です。受験する人は増えているのに、合格する人は減っている、という向きの違いがそのまま合格率の低下になっています。

不合格となった人数で見ると差はさらに際立ちます。第35回は79,151人中12,440人でしたが、第38回は78,469人中23,482人でした。受験者数はほぼ同じ規模なのに、届かなかった人数は1.8倍以上になっています。

合格基準点が64点・70点・67点と回ごとに動く

この試験の合格基準は、固定点ではありません。公表されている条件は「問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点」であることです。出題数は125問、配点は1問1点の125点満点です。

実際に公表された合格基準点は回ごとに次のように違います。

  • 第38回(令和7年度) 64点以上(125点満点の51.2%)
  • 第37回(令和6年度) 70点以上(同56.0%)
  • 第36回(令和5年度) 筆記試験で67点以上(同53.6%)

125点の60%はちょうど75点ですが、3回とも75点より低いところに基準点が置かれています。第38回は11点、第36回は8点、第37回は5点低い水準です。難易度で補正した結果として下振れしているので、基準点が低い回ほど問題が難しかった、という読み方になります。

合格率と並べると関係がはっきりします。基準点が最も低かった第38回(64点)が合格率も最も低い70.1%で、基準点が最も高かった第37回(70点)は78.3%でした。補正は入っているものの、難しい回の取りこぼしを完全には埋めていないことになります。

第39回の合格基準点は、試験実施後に「合格基準及び正答」として公表される運用のため、現時点では確認できません。事前に「何点取れば受かる」と決め打ちできない試験である点は、学習計画を立てるうえで押さえておきたいところです。

本当の関門は総得点ではなく「11科目群すべてで得点」

合格者とされるのは、基準点以上を取った人のうち「11試験科目群すべてにおいて得点があった者」です。つまり1科目群でも0点だと、総得点が基準点を超えていても不合格になります。結果通知には総得点と各科目群の得点、そして無得点科目群が示される仕組みです。

ここで紛らわしいのが、科目の数と科目群の数が一致しないことです。試験科目は4領域12科目に総合問題1科目を加えた13科目ですが、採点上の科目群は11です。「人間の尊厳と自立、介護の基本」のように複数の科目を束ねた科目群があるためで、科目群のまとめ方や並び順は回によって変わります。

この条件が効くのは、特定の科目を完全に捨てて総得点だけで押し切ろうとした場合です。基準点が51.2%まで下がる回があることを考えると、総得点を積むこと自体は難しくない年もあります。それでも1科目群の無得点で外れる可能性が残るため、全科目群に最低限の手を入れておく必要があります。

どの科目群が手薄になっているかは、総得点を眺めていても見えてきません。分野を分けて解き、分野ごとの正答数として確かめる必要があります。

収録問題8分野の内訳と比重

ケンテイラボでは介護福祉士の収録問題を8の分野に分けて整理しています (学習しやすさを優先した本サイト独自の区分で、実施団体が公表している 出題区分そのものではありません)。収録している616問を分野別に集計すると、 最も問題数が多いのは「① 人間の尊厳と自立/介護の基本」の90問(全体の14.6%)、 最も少ないのは「④ 生活支援技術1(居住環境・身じたく・移動)」の55問(同8.9%)です。上位3分野だけで全体の40.9%を占めるため、 ここを先に固めるかどうかが得点の土台になります。

同じ試験でも受験ルートで32.1ポイント開く

第38回の結果は、受験資格の区分別にも公表されています。同じ問題を解いているのに、合格率は区分によって大きく違います。

  • 総数 78,469人/54,987人/70.1%
  • 福祉系高等学校(専攻科を含む) 2,024人/1,839人/90.9%
  • 訪問介護員等 9,706人/7,985人/82.3%
  • 社会福祉施設の介護職員等 48,612人/33,893人/69.7%
  • 医療機関の看護補助者等 5,355人/3,631人/67.8%
  • 介護老人保健施設・介護医療院の介護職員等 4,892人/2,989人/61.1%
  • 介護福祉士養成施設 7,824人/4,603人/58.8%

最も高い福祉系高等学校の90.9%と、最も低い介護福祉士養成施設の58.8%とでは32.1ポイントの開きがあります。訪問介護員等の82.3%と養成施設の差でも23.5ポイントです。総数の70.1%は、これらを人数で加重して均した値にすぎません。

人数の内訳も見ておく必要があります。社会福祉施設の介護職員等が48,612人で全体の約6割を占めており、この区分の合格率69.7%が総数の70.1%をほぼ決めています。養成施設ルートは7,824人で全体の約1割です。

受験資格そのものが8区分に分かれており、実務経験ルートは「3年以上」だけでは受験できません。従業期間3年以上(1,095日以上)と従事日数540日以上を満たしたうえで、実務者研修の修了が必要です。この要件は平成28年度(第29回)試験から加わりました。

第38回から不合格でも次に持ち越せるものができた

第38回からは、125問が3つのパートに分割されました。Aパートが科目群①から④の60点、Bパートが科目群⑤から⑨の45点、Cパートが科目群⑩⑪の20点です。125点のうちAが48%、Bが36%、Cが16%を占めます。

全体の合格基準を満たさなかった人でも、各パートの合格基準点以上を取り、かつそのパートに含まれる全科目群で得点していれば「パート合格」となります。第38回のパート合格者は、Aパート3,935人、Bパート1,509人、Cパート6,181人でした(一部重複があります)。

第38回で不合格だったのは23,482人です。そのうちCパート合格に該当したのが6,181人なので、約26%が20点ぶんの範囲を次に持ち越したことになります。同じ不合格でも、次回の負担が違う状態が生まれたということです。

パート合格は、合格した試験の翌年・翌々年まで有効です。その期間に再受験する場合は、全パートを受けるか不合格パートだけを受けるかを選べます。ただし不合格パートの一部だけを受けることはできず、第39回で申込パートを選べるのは第38回でパート合格に該当した人だけです。

試験時間もパートで分かれます。第39回で全パートを受ける場合は午前のAパートが10時00分から11時45分、午後のB・Cパートが13時40分から15時35分です。Cパートのみの受験なら13時40分から14時20分で終わります。

パートの基準点は試験が終わってから按分で決まる

パート合格の基準点は、あらかじめ決められた数字ではありません。全パートを受験した全受験者の各パートの平均得点の比率を使い、全体の合格基準点を按分して算出されます。そのため小数点の付いた値になります。

  • Aパート 32.23点(60点満点の53.7%)
  • Bパート 20.43点(45点満点の45.4%)
  • Cパート 11.33点(20点満点の56.7%)

3つを足すと63.99点で、全体の合格基準点64点とほぼ重なります。按分である以上そうなるのは当然ですが、パートごとの割合には差が出ています。Bパートは45.4%で通過できた一方、Cパートは56.7%を要しました。

この差は、その回の受験者がどのパートで点を取れたかによって生まれます。平均点が低いパートでは基準点も下がるので、パート別の数字も回ごとに動くと考えておくのが妥当です。第38回の3つの値を次回の目標としてそのまま使うことはできません。

実技試験が消えた代わりに置かれたもの

第36回までは、一部のルートで筆記試験と実技試験の2段階でした。第36回では筆記が令和6年1月28日に35都道府県で、実技が令和6年3月3日に2都府で行われています。第37回(令和6年度)からこの実技試験は廃止され、筆記試験のみになりました。

ただし対象ルートの負担がなくなったわけではありません。平成20年度以前に福祉系高等学校に入学して卒業した人、特例高等学校を卒業して9か月以上介護等の業務に従事した人などは、資格登録を申請するまでに「介護過程Ⅲ」を受講し、登録申請時に修了証明書を提出する必要があります。実務者研修を修了していれば、その修了証明書で足ります。

試験そのものは筆記のみ、五肢択一を基本とする多肢選択形式で、図・表・イラスト・グラフ・写真が使われることがあります。実技の有無が合否を分ける段階は無くなり、125問をどう取るかに一本化されたと言えます。

206万人の登録者と、1回ぶんの54,987人

介護福祉士の登録者数は、令和8年1月末現在で2,061,643人です。第38回の合格者54,987人は、この登録者数の約2.7%にあたります。年1回しか実施されない試験の1回ぶんが、全体のなかで占める割合はその程度だということです。

合格しても、登録をしなければ介護福祉士の名称を使うことはできません。新規登録には登録免許税9,000円と登録手数料3,320円が必要で、書類に不備がなければ1か月半程度で登録証が発送されます。

費用面では、第39回から受験手数料が改定されている点も確認しておく必要があります。第38回は18,380円でしたが、第39回は20,510円です。受験申し込みは令和8年7月22日から9月2日までで、申し込み後に申込パートや希望試験地を変更することはできません。

70.1%をどこまで自分に当てはめるか

ここまでの数字を、判断材料として使うときの注意点にまとめると次のようになります。

  • 70.1%は第38回(令和7年度)の実績で、直近5回では最も低い。第35回の84.3%とは14.2ポイント離れている
  • 合格基準点は第38回64点・第37回70点・第36回67点と動き、いずれも125点の60%にあたる75点を下回っている
  • 受験ルート別では58.8%から90.9%まで開き、総数はそれを人数で均した値にすぎない
  • 総得点を満たしても、11科目群のいずれかが無得点なら不合格になる
  • 第38回以降は、全体で不合格でもパート単位の合格が翌年・翌々年まで残る

合格率そのものは自分の点数を教えてくれません。判断に使えるのは、11科目群のうちどこで得点できていないかという自分側の数字のほうです。基準点が回ごとに動く以上、総得点の余裕よりも、手つかずの科目群を無くすことが先に来ます。

ケンテイラボには介護福祉士の対策問題を616問収録しています。分野別に解けるので、生活支援技術と医療的ケアのどちらで取りこぼしているかを、合格率ではなく自分の正答数として確かめる用途に使えます。

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