2026/09/13

画像処理エンジニア検定エキスパート、公式テキスト17章と659問の往復

エキスパートには級別の細目シラバスがなく、範囲は『ディジタル画像処理[改訂第二版]』の全17章と付録が示します。その章立てを本サイトの8分野659問に対応させ、前期7月・後期11月に合わせた章の配り方まで整理します。

執筆:ケンテイラボ編集部(資格試験対策アプリ開発・運営)

画像処理エンジニア検定エキスパートの学習で最初に決まらないのは、どこまでを範囲とみなすかです。CG-ARTSは検定単位の出題内容を6つの分類で示していますが、ベーシックとエキスパートを分けた細目レベルの一覧は、受験要項の出題範囲欄、受験案内2026のP.4からP.5、FAQ、対応書籍のページを見た範囲では掲載を確認できませんでした。

代わりに範囲の輪郭を与えるのが、エキスパート対応の公式テキスト『ディジタル画像処理[改訂第二版]』です。B5判フルカラー480ページで、目次は本文17章と付録7項目に分かれています。ベーシックの対応テキストは『ビジュアル情報処理 -CG・画像処理入門-』という別の本で、エキスパートの範囲はこちらの目次が示します。

この記事では、その17章と付録を、ケンテイラボが収録している659問の8分野にどう対応させるかを整理し、年2回(前期7月・後期11月)という実施サイクルへの配り方まで書きます。数値は受験要項、受験案内2026、および収録問題の集計によります。

公式が示すのは6分類まで。細目は対応テキストの目次で補う

受験案内2026のP.4からP.5にある画像処理エンジニア検定の出題内容は、次の6分類です。ベーシックとエキスパートで共通の区分で、レベルごとに分けた表にはなっていません。

  • [基礎]ディジタルカメラモデル/ディジタル画像/知覚/画像処理の歴史
  • [画像信号処理]ディジタル画像の撮影/画像の性質と色空間/幾何学的変換/画素ごとの濃淡変換/フィルタリング処理/画像の復元と生成
  • [パターン認識・計測]2値化/領域処理/パターンの検出/パターン認識/特徴点検出/深層学習による画像認識と生成
  • [メディア処理・符号化]移動体検出/動画像処理/3次元空間情報の取得と利用/シーンの復元/画像符号化
  • [画像処理システム]応用/ハードウェアと周辺機器/システム/規格
  • [知的財産権]知的財産権

レベル差として公式に書かれているのは、1文ずつの能力記述だけです。ベーシックが「画像処理の技術に関する基礎的な理解と、プログラミングなどに知識を利用する能力を測ります」、エキスパートが「画像処理の技術に関する専門的な理解と、ソフトウェアやハードウェア、システムの開発に知識を応用する能力を測ります」という書き方で、6分類のどの項目がエキスパート固有かは示されていません。

そこで、実務的には対応テキストの目次を範囲表として使うことになります。エキスパートのテキストは『ディジタル画像処理[改訂第二版]』(定価4,290円、本体3,900円)です。

全17章と付録7項目を、収録659問の8分野に畳み直す

テキストの章立てと、ケンテイラボの8分野の対応は次のとおりです。丸数字はサイト側の分野の並び、章番号はテキストの目次に対応します。

  • 第2章 ディジタル画像の撮影/第3章 画像の性質と色空間 → ① ディジタル画像の撮影と画像の性質・色空間(81問)
  • 第4章 画素ごとの濃淡変換/第5章 領域に基づく濃淡変換(空間フィルタリング) → ② 画素ごとの濃淡変換と領域に基づく濃淡変換(78問)
  • 第6章 周波数領域におけるフィルタリング/第7章 画像の復元と生成 → ③ 周波数領域におけるフィルタリングと画像の復元・生成(84問)
  • 第8章 幾何学的変換 → ④ 幾何学的変換(89問)
  • 第9章 2値画像処理/第10章 領域処理(領域分割処理は10-2節) → ⑤ 2値画像処理と領域処理(85問)
  • 第11章 パターン・図形・特徴の検出とマッチング/第12章 パターン認識/第13章 深層学習による画像認識と生成 → ⑥(81問)
  • 第14章 動画像処理/第15章 画像からの3次元復元(画像と空間の幾何学的関係は15-1節)/第16章 光学的解析とシーンの復元 → ⑦(81問)
  • 第17章 画像符号化/付録a-7 知的財産権 → ⑧ 画像符号化/知的財産権(80問)

第1章のイントロダクションと、付録a-1の画像処理の歴史、a-2の数学的基礎は、8分野のどれか1つに対応するのではなく、各分野の前提として散っています。付録a-3の画像入力、a-4の画像出力、a-5の画像処理の特性測定、a-6の規格は、公式の6分類でいう[画像処理システム]にあたる部分です。

この[画像処理システム]は、収録問題では手薄です。規格・ハードウェア・入出力機器のいずれかに触れる問題を659問から数えると1問もありません。ここは演習で埋まらない範囲なので、テキストの付録を直接読む扱いにしてください。

8分野の収録数と構成比、分野ごとの中身は次の表のとおりです。章を読む順を決める前に、どの分野に何問あるかを見ておくと配分を組みやすくなります。

収録問題8分野の内訳と比重

ケンテイラボでは画像処理エンジニア検定エキスパートの収録問題を8の分野に分けて整理しています (学習しやすさを優先した本サイト独自の区分で、実施団体が公表している 出題区分そのものではありません)。収録している659問を分野別に集計すると、 最も問題数が多いのは「④ 幾何学的変換」の89問(全体の13.5%)、 最も少ないのは「② 画素ごとの濃淡変換と領域に基づく濃淡変換」の78問(同11.8%)です。上位3分野だけで全体の39.1%を占めるため、 ここを先に固めるかどうかが得点の土台になります。

第2章・第3章と①の81問は、設定値を入れ替える練習に寄せる

①は撮影と色空間で81問です。レンズ絞り値と被写界深度、ISO感度、露光時間の関係、ガウスのレンズ公式による結像位置、透視投影の消失点、標本化定理と縮小時のエイリアシング、HSIとYCbCr、ベイヤ配列、PSNRとMSEの対数計算までが入ります。

この分野は、章を読み終えてから解くより、読みながら数字を入れ替えて解くほうが向いています。露光時間を4分の1にしたら絞り値をどこへ動かすか、焦点距離を2倍にしたら像の大きさはどうなるか、という形で条件だけを振った設問が並ぶためです。

取り違えやすいのは関係の向きです。絞り値を大きくすると被写界深度は深くなるという向きと、HSIのIとYCbCrのYで輝度の求め方が異なる点は、テキストの式に戻って確認しておくところになります。

第4章から第7章と②③の162問は、係数の総和とスペクトルの形の両方から見る

②の78問と③の84問を合わせると162問です。②は空間領域のフィルタ、③は周波数領域のフィルタと画像の復元で、同じ処理を別の座標系から見る関係にあります。章でいえば第4章から第7章までがここに入ります。

②では、収録78問のうち51問がフィルタに言及しています。平均化、ラプラシアン、ソーベル、プリューウィット、LoG、DoG、アンシャープマスキング、バイラテラル、メディアンを、係数の総和が1なら明るさが保たれ、0なら平坦部が0になるという性質で仕分けると整理が早くなります。

③では、収録84問のうち36問がフーリエ変換または振幅スペクトルに触れています。中心が直流成分、縦縞のテクスチャは横方向にピークが出る、原画像を回した角度だけスペクトルも回る、という対応を図として覚え、空間領域の畳み込みが周波数領域の積になる関係で②とつなぎます。

復元側は第7章です。点拡がり関数の総和が1になること、等速直線運動によるぶれが振幅スペクトルに周期的なゼロを作ること、正則化を強めると復元画像がぼけることが軸になります。

第8章と④の89問は、未知数3・6・8と対応点2・3・4組を先に固定する

④は89問で、8分野のうち最も多い分野です。テキストでは第8章の1章分ですが、変換の種類ごとに数字が決まっていて問いにしやすいため、問題数が積み上がります。収録89問のうち40問が行列に、21問が補間に言及しています。

順序としては、ユークリッド変換・アフィン変換・射影変換の未知数が3・6・8、必要な対応点が最低2組・3組・4組という数字を先に固定してから、回転・鏡映・スキューの行列成分を個別に確認する流れが取り違えにくくなります。

合成変換は、列ベクトルに右から順に作用するため、適用したい順序と行列を並べる向きが逆になります。画像中心を軸にした回転で平行移動を前後に挟む手順も、テキストの式を書き写して手を動かしておく箇所です。

補間は、ニアレストネイバー・バイリニア・バイキュービックの参照画素数と画質・速度の順序に加えて、内分点の実数計算まで求められます。試験では計算機などの電子機器を使えないため、小数の掛け算を紙で回す練習が要ります。

第9章から第13章と⑤⑥の166問は、数え方の規則と距離の測り方が土台

⑤の85問と⑥の81問で166問です。⑤は2値化と領域処理、⑥は検出・マッチングと識別で、章でいえば第9章から第13章にあたります。

⑤では、しきい値・判別分析・連結・オイラー数のいずれかに触れる問題が85問中37問、モルフォロジー系(膨張・収縮・オープニング・クロージング)が17問です。モード法・p-タイル法・判別分析法の前提の違い、4連結と8連結の使い分け、オイラー数が連結成分数から穴数を引いた値になることを、まとめて押さえます。

距離の扱いは分野をまたぎます。ユークリッド距離・市街地距離・チェス盤距離を扱う⑤、識別のためにマハラノビス距離などを扱う⑥、被写体までの距離が出てくる①まで含めると、収録659問のうち86問が距離に言及しています。同じ言葉でも測る対象が違うので、何と何の距離かを書き添えて読むと混ざりません。

⑥のうち、深層学習そのもの(ニューラルネットワーク、パーセプトロン、学習率、活性化、畳み込み層)に触れる問題は8問です。第13章は章としては独立していますが、収録問題の重心は第11章の特徴検出とマッチング、第12章のパターン認識の側にあります。

第14章から第16章と⑦の81問は、カメラの幾何と光の反射を分けて置く

⑦は81問で、第14章の動画像処理、第15章の画像からの3次元復元、第16章の光学的解析とシーンの復元をまとめた分野です。1つの分野の中に、幾何の話と光の話という性格の違う2系統が同居しています。

幾何の側は、透視投影行列の未知数11と対応点6組、アフィンカメラの8と4組という数字の区別、視差と奥行きが反比例する関係、基線長を長くすると視差が大きくなること、エピポーラ線の向きです。ステレオ・視差・エピポーラ・キャリブレーションのいずれかに触れる問題は81問中15問あります。

光の側は、収録81問のうち32問が反射・偏光・放射輝度・拡散のいずれかに触れています。均等拡散面の放射輝度がカメラからの距離に依存しない理由、フォンのモデルの指数、反射特性を表す関数の変数が均質な物体で4・不均質な物体で6という区別、偏光板を回して得た最大値と最小値から拡散反射成分と鏡面反射成分を分ける式が並びます。

動画像は、背景差分とフレーム間差分で必要なデータが違うこと、3枚の差分の論理積、オプティカルフローの拘束式が中心です。④の幾何学的変換を終えてから第15章に入ると、座標変換の説明を二度読まずに済みます。

第17章と付録a-7、⑧の80問は符号化の計算と保護対象の切り分け

⑧は80問です。テキストでは第17章の画像符号化と、付録a-7の知的財産権という離れた場所にある2つを、サイト側では1分野にまとめています。収録80問を数えると、エントロピー・ハフマン・符号長・圧縮・DCTのいずれかに触れる問題が27問、著作・意匠・商標・特許・実用新案・不正競争のいずれかに触れる問題が39問です。

符号化は計算が中心です。階調数からビット数を出す、縮小と減色でデータ量が何分の1になるかを出す、一様分布でエントロピーが最大になる、ハフマン符号の平均符号長を出す、といった手順を、値を変えて何度か通します。8×8ブロックのDCTとブロックノイズ、モスキートノイズも同じ章です。

権利側は、何を守る仕組みかで切り分けます。著作権の無方式主義と保護期間、私的複製の例外、写り込み、引用の要件、依拠、著作隣接権に加えて、意匠法・商標法・特許法・実用新案法・不正競争防止法がそれぞれ何を保護対象にしているかを対応させます。テキストでは付録の扱いですが、収録問題の分量では本文の章と変わりません。

前期7月・後期11月。申込締切から本番までは37日しかない

2026年度の日程は、前期が7月12日(日)、後期が11月29日(日)です。申込期間は前期が4月1日(水)から6月5日(金)まで、後期が9月1日(火)から10月23日(金)まで。エキスパートは午後の実施で、1検定のみを受験する場合は13時00分から14時20分までの80分です。

この日付を引き算すると、前期も後期も、申込の締切から本番までは37日です。申込を済ませてから始めても17章は終わりません。前期なら4月、後期なら9月の申込開始の時点で章の配分を決めておくことになります。

配分の目安は、章数と収録問題数の両方が多いところに時間を割くことです。②③にあたる第4章から第7章の162問と、⑤⑥にあたる第9章から第13章の166問で合わせて328問あり、収録659問のおよそ半分を占めます。ここを後回しにすると、締切後の37日で取り返せません。

直前期は過去問ですが、CG-ARTSのサイトで公開されている過去問は過去2回分のみで、検定実施後1週間程度で更新されます。回数をこなしたい場合は、エキスパート4回分を収録した公式問題集[第五版]を併用することになります。解答は検定日の週の水曜日以降に公開され、合否発表は約30日後、合否結果の通知と合格証の送付は約60日後です。

合格基準点は100点満点で70点ですが、受験案内には「難易度により多少変動します」という注記が付いています。受験資格はなく、ベーシックに合格していなくてもエキスパートから受けられるので、テキストの章立てを基準に、どの章が手つかずのまま残っているかで受験の時期を決めるという考え方ができます。

実際に問題を解いて知識を定着させよう

ケンテイラボでは画像処理エンジニア検定エキスパートの問題を無料で練習できます。

問題を解く →
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