2026/09/13

データサイエンス数学ストラテジスト中級、電卓ありの自宅IBTで問われるもの

試験日は24時間365日、受験期間は申し込みから30日。白紙の計算用紙と電卓、必要なら表計算ソフトまで手元に置けます。収録762問のうち選択肢がすべて数字で始まるのは269問、5桁以上の数が出るのは17問でした。

執筆:ケンテイラボ編集部(資格試験対策アプリ開発・運営)

データサイエンス数学ストラテジスト中級は、会場に行かない試験です。インターネットに接続した環境でオンライン上で解答するIBT形式で、自宅などのPC・タブレット・スマートフォンから受験します。申込と受験のシステムは、株式会社CBT-Solutionsが管理運営する「CBTS 資格・検定IBT」が担っています。

手元には筆記用具のほかに、白紙の計算用紙、電卓または関数電卓、そして必要に応じて表計算ソフトを用意して臨みます。会場型の試験ではまず認められないのは、このうち表計算ソフトの使用です。試験日はシステムメンテナンス時をのぞいて24時間365日で、申込期間も試験実施期間も随時です。

本記事は、この受験形態そのものを扱います。何を手元に置けるのか、その条件が「何を測る試験なのか」をどう変えているのか、自宅で受けるがゆえに自分で背負う部分はどこか、を順に見ていきます。制度面の記述は公益財団法人日本数学検定協会の受験案内ページとCBT-Solutionsの受験案内、問題の内訳はケンテイラボが収録している762問によります。

会場も座席もない代わりに、申し込んだ日から30日が自分の試験期間になる

試験日は24時間365日と案内されています。例外は定期メンテナンスで、毎月第2・第4火曜の18時30分から21時30分まで(祝日の場合は翌営業日の同じ時間帯)がそれにあたります。深夜でも早朝でも、自分の都合のよい時間に始められる形です。

ただし、いつまでも待てるわけではありません。受験期間は申し込みから1か月間で、注意事項では「試験有効期限(受験のお申し込みの日から30日)」までに受験することとされています。この期限を過ぎると受験できず、受験料の返還もありません。

加えて、1回の申し込みにつき受験は1回だけです。支払いはクレジットカード・コンビニ・Pay-easyから選べますが、決済が完了したあとのキャンセルと返金はできません。会場型の試験なら他人が決めた試験日が学習計画の締切を作ってくれますが、この試験では申し込みボタンを押した日が締切を決めることになります。

この30日という枠は、試験勉強の期間そのものではありません。準備を終えてから申し込めば30日をまるごと余裕として使えますし、先に申し込んで自分を追い込むこともできます。どちらにしても、日程を他人に決めてもらえない試験である以上、「いつ受けるか」を決める作業が学習計画の一部になります。

なお、自宅で受ける試験でも団体申込は用意されています。高等学校、大学などの学校教育機関で3人以上でまとめて申し込む場合は、通常の受験料から1人につき500円引きになります。

用意するのは白紙の計算用紙と電卓または関数電卓、そして表計算ソフト

公式の受験案内は、受験にあたって用意するものとして次の4つを挙げています。会場で貸し出されるのではなく、受験者が自分でそろえる形です。

  • 筆記用具
  • 計算用紙(白紙のもの)
  • 電卓または関数電卓
  • 表計算ソフト(必要に応じて)

「計算用紙(白紙のもの)」というただし書きは、書き込み済みの紙は想定していないという意味に読めます。裏を返せば、白紙であれば自分で用意した紙を机に置いて構いません。電卓についても機種の限定はなく、関数電卓まで認められています。

表計算ソフトが「必要に応じて」認められている点は、さらに踏み込んだ条件です。関数電卓に加えて表計算まで許すのであれば、測っているのは筆算の速さや正確さではない、と考えるのが自然です。

電卓が働いてくれるのは、何を計算するかが決まったあとだけ

ケンテイラボは中級の範囲で762問を収録しています。このうち、4つの選択肢がすべて数字で始まるもの(単位や記号が付いたものを含む)を数えると269問でした。値を選ぶ以上、手を動かさないと答えが決まらない設問ということになります。以下この記事では、この数え方を「数値を選ばせる設問」と呼びます。

ただし、道具が働くのは「何を計算するか」が決まったあとの区間だけです。収録問題では、式そのものを取り違えたときに出る値が、そのまま別の選択肢として置かれている設問が並びます。

たとえば収録問題の1つは、売上高44,560,000円・売上原価21,010,000円・販売費及び一般管理費9,450,000円から営業利益を求めさせます。正解は14,100,000円ですが、売上原価を引いた段階で止めた23,550,000円も選択肢に置かれています。電卓の叩き方は同じで、引き算をどこまで続けるかだけが違います。

続きにあたる設問も同じ構造です。営業利益12,620,000円・営業外収益4,370,000円・営業外費用1,710,000円から経常利益を求める設問では、正解の15,280,000円のほかに、収益と費用の符号を逆にした9,960,000円と、費用まで足してしまった18,700,000円が選択肢に置かれています。足し算と引き算の向きを決めているのは電卓ではなく、利益の段階の定義のほうです。

距離も分散も、式を取り違えたときの答えが選択肢に並んでいます

同じ作りは、機械学習寄りの分野でも見られます。収録問題には、平面上の点A(9, 6)と点B(13, 14)のユークリッド距離を問うものがあります。正解は8.9ですが、選択肢には縦横の移動距離を足した12.0と、平方根を取る前の80.0が並んでいます。

分散も同様です。24, 42, 37, 35, 45 の5つのデータから不偏分散を求める設問では、正解の65.3のほかに、同じ2乗和をn-1ではなくnで割った52.2が置かれています。どちらも電卓なら正確に出せる値で、割る数を選び間違えたほうが選択肢として用意されている形です。

代表値でも同じことが起きます。1、2、3、4、100 という5つのデータの平均値を問う設問では、正解の22と並んで、中央値である3が選択肢に入っています。外れ値を1つ混ぜたデータで、平均と中央値のどちらを聞かれたのかを確かめる作りです。

指標が複数出てくる設問では、この作りがさらに分かりやすくなります。真陽性30件・偽陽性5件・偽陰性15件・真陰性50件から、適合率0.857と再現率0.667を与えたうえでF値を求めさせる設問では、正解の0.75と並んで、与えられたはずの0.857と0.667がそのまま選択肢に入っています。どの値を答えるべきかを取り違えると、計算をせずに間違えられる形です。

これらはいずれも、電卓にも表計算ソフトにも判断できない部分です。持ち込みが認められている道具は、式が決まったあとの手間を消してくれますが、式を選ぶところは代わってくれません。持ち物の条件は、その部分に採点の重心を置いた結果だと読めます。

桁の大きい計算が出てくるのは、収録762問のうち17問だけ

では、電卓そのものが要る場面はどれだけあるのでしょうか。収録762問のうち、問題文に5桁以上の数が出てくるのは17問です。内訳は⑧ ビジネス数学が13問、③ 式と方程式・関数が3問、⑦ アルゴリズム関連が1問でした。

先ほどの営業利益の設問はここに入ります。売上高や販売費を千万円単位で並べた計算で、暗算では桁を落としやすい一方、電卓なら数秒で片づく種類の手間です。

逆にいえば、残る745問は桁の大きさで手が止まる設問ではありません。電卓を用意する意味は「大きな数を扱えるようにする」ことよりも、小数の割り算や平方根を時間をかけずに終わらせることのほうにあります。距離や不偏分散、適合率・再現率から求めるF値のように、答えが小数になる設問がその対象です。

数値を選ばせない493問のほうが、収録問題では多くを占めます

数値を選ばせる269問を762問から引くと、残りは493問になります。こちらは用語の定義や手順の説明を選ばせる設問で、電卓にも計算用紙にも出番がありません。分野ごとの収録数と構成比は次の表のとおりです。

収録問題8分野の内訳と比重

ケンテイラボではデータサイエンス数学ストラテジスト[中級]の収録問題を8の分野に分けて整理しています (学習しやすさを優先した本サイト独自の区分で、実施団体が公表している 出題区分そのものではありません)。収録している762問を分野別に集計すると、 最も問題数が多いのは「③ 式と方程式・関数」の142問(全体の18.6%)、 最も少ないのは「⑥ 分類・クラスタリングとモデル評価」の80問(同10.5%)です。上位3分野だけで全体の45.8%を占めるため、 ここを先に固めるかどうかが得点の土台になります。

収録数が最も多いのは③ 式と方程式・関数の142問ですが、この分野で数値を選ばせるのは25問だけです。比率でいちばん高いのは⑥ 分類・クラスタリングとモデル評価の80問中43問、次いで① 数と計算の基礎の112問中61問で、④ 図形・三角比と確率も95問中42問がこれに当たります。

電卓を持ち込める試験だという条件から「計算力を測る試験」を想像すると、この偏りを見誤ります。道具を使う場面は特定の分野に寄っていて、それ以外では言葉の意味を知っているかどうかが答えを決めます。

分野ごとの「数値を含む問題の割合」と問題文の長さで、道具の置き場所を決める

もう1つ、収録問題から分野ごとに「数値を含む問題の割合」と「問題文の平均文字数」を集計した表があります。こちらの「数値を含む」は、問題文か選択肢に数字が1つでも入っているかという別の数え方なので、上で見た「数値を選ばせる設問」より広くなります。前者は手を動かす場面の多さ、後者は条件を読み取る負荷の目安として読めます。

分野別の学習タイプ(収録762問の集計)

ケンテイラボに収録しているデータサイエンス数学ストラテジスト[中級]の問題を分野別に集計し、 「問題文または選択肢に数値が登場する問題の割合」と「問題文の平均文字数」を出しました。 数値の割合が高い分野は具体的な数字の暗記が得点を左右しやすく、 低い分野は用語の理解や文章の読み取りが中心になる傾向があります。

この試験でもっとも数値の比率が高いのは「③ 式と方程式・関数」で91%、 もっとも低いのは「⑤ 機械学習の基礎とニューラルネットワーク」で46%でした。 また問題文がもっとも長いのは「⑥ 分類・クラスタリングとモデル評価」の平均65字で、 設問を読み解く負担が大きい分野といえます。

  • ① 数と計算の基礎112問/数値を含む問題 84%/問題文 平均31
  • ② 記述統計とデータの表現80問/数値を含む問題 61%/問題文 平均49
  • ③ 式と方程式・関数142問/数値を含む問題 91%/問題文 平均40
  • ④ 図形・三角比と確率95問/数値を含む問題 84%/問題文 平均36
  • ⑤ 機械学習の基礎とニューラルネットワーク80問/数値を含む問題 46%/問題文 平均50
  • ⑥ 分類・クラスタリングとモデル評価80問/数値を含む問題 78%/問題文 平均65
  • ⑦ アルゴリズム関連92問/数値を含む問題 55%/問題文 平均44
  • ⑧ ビジネス数学81問/数値を含む問題 64%/問題文 平均63

数値の比率が高い分野は、数字を単独で覚えるより 「どの制度の・何の基準か」とセットで整理すると定着しやすくなります。 比率が低い分野は、似た用語同士の違いを説明できる状態を目指すと得点が安定します。

問題文が長い設問では、計算を間違えるより先に、どの数値が何を指しているかで詰まります。真陽性・偽陽性・偽陰性・真陰性を並べた設問や、売上高と売上原価と販売費を並べた設問がその典型です。白紙の計算用紙が認められているのは、この読み取りを書き出して整理するためにも使えます。

表計算ソフトのほうは、複数の値をまとめて扱う設問に効きます。収録問題では移動平均に触れるものが10問あり、うち9問は数値を選ばせる形です。一方、標準偏差の9問は数値を選ばせるものが1問、相関係数の10問にいたっては0問で、こちらは用語や性質を問う設問が中心でした。表計算ソフトが効く場面はさらに限られるということです。数としても多くないので、当日いきなり使うより、練習の段階で手計算と突き合わせておく道具と考えたほうが実際的です。

推奨環境はWindows 11とiOS 18以降で、Macは非推奨と書かれている

自宅で受ける以上、受験環境は自分で整えることになります。CBT-Solutionsの受験案内が挙げる推奨環境は次のとおりです(いずれも日本語版のみ)。

  • OS:Windows 11/Android 13以降/iPhone iOS 18以降/iPad iPadOS 18以降。Macおよびその他のOSは非推奨
  • ブラウザ:EdgeまたはChromeの最新版(AndroidはChrome、iPhone・iPadはSafariの最新版)
  • 設定:JavaScriptとCookieを有効にしておく
  • 回線:速度5Mbps以上、Wi-Fi接続を推奨

Macが非推奨に置かれている点は、申し込みの前に確かめておく価値があります。データ分析の学習でMacを使っている人ほど、当日になって手元の端末が推奨外だと気づく形になりやすいためです。

回線は5Mbps以上・Wi-Fi接続が推奨されています。90分を通して接続を保つことになるので、余裕をみておきたいところです。試験日と時間帯を自分で選べるということは、回線が混みやすい時間を避けられるということでもあります。電卓と計算用紙を机に出し、表計算ソフトを開いておく机の広さも、事前に用意しておく側の条件に含まれます。

終了直後に画面で合否が出て、そのあと動かせるものはありません

解答を終えると、合否結果はその場で画面に表示され、マイページからも確認できます。成績はスコアレポートとして発行され、マイページから出力できます。会場型の試験のような発表待ちの期間はありません。

合格基準に達した場合、合格証は紙ではなくオープンバッジで交付されます。試験日から3週間程度、案内としては約3週間以内にメールで発行の案内が届き、記載されたURLから自分で取得する形です。資格に有効期限はなく、更新制度も設けられていません。

一方で、受験者の側から動かせない部分もはっきり書かれています。試験問題の内容についての問い合わせや、採点結果・合否結果への異議申し立てには一切応じない、とされています。結果がその場で出る代わりに、そのあとの交渉の余地はありません。

禁止事項も明示されています。受験者本人以外の第三者に受験させることは禁止で、試験内容の一部または全部を複製・公開・送信・頒布・譲渡・貸与したり、SNSなどインターネット上に掲載したりすることも禁止です。発覚した場合は失格、認定の取り消し、以後の受験のお断りといった対応がとられます。

監督者が横にいない部屋で、電卓も計算用紙も表計算ソフトも手元に置いて解く。その自由度と釣り合いを取っているのが、この禁止事項と、道具では埋まらない式の立て方で差がつく出題のほうだと読めます。

実際に問題を解いて知識を定着させよう

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