2026/09/12

1級電気工事施工管理 第一次検定、応用能力6問中3問の壁

全体60%以上のほかに、施工管理法(応用能力)50%以上という基準が別に掛かります。〔No.55〕〜〔No.60〕の6問はここだけ五肢択一で全問必須。全体点が足りていても落ちる仕組みを確かめます。

執筆:ケンテイラボ編集部(資格試験対策アプリ開発・運営)

1級電気工事施工管理技術検定の第一次検定には、合格基準が2つあります。全体の得点が60%以上であることと、施工管理法(応用能力)の得点が50%以上であることです。この2つは別々に判定されるため、全体で6割を超えていても、応用能力の6問のうち3問を落とすと不合格になります。

60問を解答する試験で、この2本目の基準が掛かるのはわずか6問です。60分の6にしか当たらない問題群が、残り54問とは切り離された枠で合否を決めます。しかもその6問は、解答形式まで他の問題と違います。

本記事の合格基準は国土交通省が公表する令和8年度技術検定の合格基準、出題構成と解答形式は一般財団法人建設業振興基金が公表する令和8年度第一次検定の検定問題および受検の手引で確認しました。制度改正の経緯は国土交通省の報道発表によります。

合格基準が「全体60%」と「応用能力50%」の2本立てになっている

国土交通省が定める令和8年度技術検定の合格基準では、電気工事施工管理の一級について、第一次検定(全体)の得点が60%以上、(施工管理法(応用能力))の得点が50%以上と定められています。第二次検定は得点が60%以上という1本の基準だけです。

  • 第一次検定(全体)… 得点が60%以上
  • 第一次検定(施工管理法(応用能力))… 得点が50%以上
  • 第二次検定 … 得点が60%以上

第一次検定に並んでいる2つは、どちらか一方を満たせばよいというものではありません。両方を満たして初めて合格になります。全体60%は60問中36問に、応用能力50%は6問中3問にあたります。

実際に適用された確定値も公表されています。令和8年度と令和7年度の第一次検定はいずれも「60.0点(100点換算)、施工管理法(応用能力)6問中3問以上」、令和6年度と令和5年度は「60問中36問以上正解(応用能力:6問中3問以上正解)」でした。書き方が変わっても、要求されている水準は同じです。

なお国土交通省の合格基準にも受検の手引にも、試験の実施状況等を踏まえて変更する可能性がある旨が付記されています。受検する年度の合格基準は、その年度の公表資料で確かめることになります。

〔No.55〕〜〔No.60〕だけが五肢択一で、しかも全問必須

令和8年度の第一次検定では、午後の部の冒頭にあたる〔No.55〕から〔No.60〕までの6問題が施工管理法の応用能力問題で、全問解答と指定されています。この6問がそのまま、2本目の合格基準が掛かる範囲です。

受検の手引の検定科目ごとの解答形式表では、電気工学等が四肢択一、施工管理法(知識)が四肢択一、施工管理法(能力)が五肢択一、法規が四肢択一と示されています。応用能力問題だけが五肢択一です。

この違いは問題冊子の表紙にも表れていて、午前の部には「問題は,四肢択一式です」、午後の部には「問題は,四肢択一式 又は 五肢択一式です」と書き分けられています。解答方式は第一次検定の全問がマークシートです。

選択肢が1つ増えるということは、内容を絞り込めなかったときに当たる確率が4分の1から5分の1に下がるということです。独自の合格基準が掛かる6問が、選択肢の多い側に置かれている形になります。

89問出題・60問解答という選択制でも、この6問だけは避けられない

令和8年度の第一次検定は、89問出題のうち60問を解答する試験で、各問題1点の60点満点です。必須問題と選択問題の内訳は次のとおりです。

  • 午前〔No.1〕〜〔No.6〕… 6問題すべてに解答(必須)
  • 午前〔No.7〕〜〔No.12〕… 6問題のうち4問題を選択
  • 午前〔No.13〕〜〔No.44〕… 32問題のうち14問題を選択
  • 午前〔No.45〕〜〔No.52〕… 8問題のうち5問題を選択
  • 午前〔No.53〕〔No.54〕… 2問題すべてに解答(必須)
  • 午後〔No.55〕〜〔No.60〕… 施工管理法の応用能力問題。6問題すべてに解答(必須)
  • 午後〔No.61〕〜〔No.67〕… 7問題すべてに解答(必須)
  • 午後〔No.68〕〜〔No.76〕… 9問題のうち6問題を選択
  • 午後〔No.77〕〜〔No.89〕… 13問題のうち10問題を選択

午前の解答数が31問、午後が29問で合計60問です。選択問題を合わせると、どの問題に答えるかを自分で決められる余地がかなりあります。苦手な設備分野を外して別の問題に振り替える、という調整ができる試験です。

その調整が効かないのが応用能力の6問です。必須問題なので外すという選択肢がなく、外した分を他の問題で埋め合わせることもできません。全体60%のほうは選択で組み立てられるのに、応用能力50%のほうは指定された6問で勝負するしかない、という非対称があります。

また、選択問題の解答数が指定数を超えた場合は減点となります。迷ったからといって多めにマークすると、選択できるという利点そのものが損なわれます。

「6問中3問以上」は50%という比率を6問に当てはめた数字

2つの基準は数字が近いので取り違えやすいところです。全体は60%、応用能力は50%で、同じ割合ではありません。そして「6問中3問以上」は、応用能力の50%という比率を6問という出題数に当てはめた具体値です。

分母が6しかないため、応用能力では1問の重みが大きくなります。3問正解でちょうど50%、2問正解では33.3%となり基準を下回ります。基準を満たすかどうかが、1問の正誤で切り替わります。

一方の全体基準は60問中36問で、1問あたりの比重は60分の1です。同じ1問でも、応用能力の問題は全体の1点として数えられると同時に、6問の枠でも数えられます。1つの正解が2つの基準の両方に効く、というのが二重基準の実際の姿です。

不合格通知には、応用能力で落ちた人のための文言が用意されている

この仕組みは、成績通知の書き方にも表れています。受検の手引によると、第一次検定の不合格者への通知は次のように書き分けられます。

  • 全体の得点が合格基準未満の場合 …「◯◯問 正解」
  • 全体は合格基準以上でも施工管理法(応用能力)の得点が合格基準未満の場合 …「◯◯問 正解(施工管理法(応用能力)の得点が合格基準未満のため不合格)」

後者の括弧書きがあらかじめ用意されているということは、全体の点数は足りていたのに応用能力で不合格になる受検者が、制度上はっきり想定されているということです。36問以上正解した通知に、不合格の理由が添えられる形になります。

その先も途切れます。受検の手引には、第一次検定の合格基準を満たさなかった場合は第二次検定を受検できないと明記されています。第一次・第二次を同時に申請していても、同じ年度の第二次検定(令和8年度は令和8年10月18日)には進めません。

この基準は令和3年4月1日施行の制度改正で入った

応用能力の基準は、昔からあったものではありません。建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律(令和元年法律第30号)に伴う技術検定制度の改正が令和3年4月1日に施行され、従来の学科試験・実地試験が第一次検定・第二次検定に再編されました。

この改正では、第一次検定の合格者に技士補、第一次・第二次の両方の合格者に技士の称号が付与されることになりました。1級電気工事施工管理でいえば、第一次検定に合格すると1級電気工事施工管理技士補になります。

新制度の初年度である令和3年度の第一次検定から、合格基準に応用能力の科目別基準が適用されています。令和3年度の合格基準は「60問中36問以上正解(応用能力:6問中3問以上正解)」で、国土交通省の報道発表によれば受検者数15,001人、合格者数7,993人、合格率53.3%でした。

紛らわしいのが、受検資格の改正が別にあることです。1級の第一次検定を19歳以上であれば受検できるようになったのは令和6年度からで、こちらは受検できる人の範囲を変えた改正です。応用能力の基準が入ったのは令和3年度、受検資格が変わったのは令和6年度と、年度を分けて覚えておくと混乱しません。

同じ1級でも、応用能力の基準は種目ごとに違う

国土交通省が定める令和8年度の合格基準では、1級第一次検定の施工管理法(応用能力)の水準が種目ごとに分かれています。全体60%は共通ですが、応用能力の側は次のようにばらついています。

  • 土木施工管理 … 60%
  • 建築施工管理 … 60%
  • 電気工事施工管理 … 50%
  • 管工事施工管理 … 50%
  • 電気通信工事施工管理 … 40%
  • 造園施工管理 … 30%

土木と建築は応用能力も60%で、全体基準と同じ水準です。電気工事は50%なので、全体基準よりは低く設定されている代わりに、独立した関門として別に残っているという位置づけになります。

同じ「1級施工管理技士」という呼び方でも、応用能力に要求される割合はこれだけ違います。他種目を受けた人の体験や、種目を特定しない一般的な説明をそのまま当てはめると、必要な正解数を読み違えることになります。電気工事の数字は50%、6問中3問以上です。

応用能力は施工管理法の科目に属し、収録619問では⑦施工管理が84問

施工技術検定規則に定める第一次検定の検定科目は、電気工学等、施工管理法、法規の3つです。応用能力はこのうち施工管理法に属し、その検定基準は「監理技術者補佐として、電気工事の施工の管理を適確に行うために必要な応用能力」と示されています。

ここが「監理技術者補佐として」と書かれているのが第一次検定の特徴で、第二次検定の能力の基準は「監理技術者として」の水準で書かれています。第一次検定の応用能力は、現場で監理技術者を補佐する立場に求められる水準として設定されている、ということです。

一方で、公式資料は問題番号ごとの必須・選択の区分は示していても、電気工学等が何問、法規が何問という検定科目単位の出題数対応表までは示していません。明示されているのは、応用能力が〔No.55〕〜〔No.60〕の6問であることです。そのため準備としては、施工管理法の範囲そのものを厚く当たることになります。

ケンテイラボの1級電気工事施工管理技士(第一次検定)は619問を収録していて、そのうち「⑦ 施工管理」が84問です。分野ごとの収録数と構成比は次の表のとおりです。

収録問題8分野の内訳と比重

ケンテイラボでは1級電気工事施工管理技士(第一次検定)の収録問題を8の分野に分けて整理しています (学習しやすさを優先した本サイト独自の区分で、実施団体が公表している 出題区分そのものではありません)。収録している619問を分野別に集計すると、 最も問題数が多いのは「⑦ 施工管理」の84問(全体の13.6%)、 最も少ないのは「② 電気工学Ⅱ(電力系統・電気応用)+発電設備」の71問(同11.5%)です。上位3分野だけで全体の40.1%を占めるため、 ここを先に固めるかどうかが得点の土台になります。

収録問題の⑦施工管理には、ネットワーク工程表のトータルフロートやフリーフロートを求めるもの、度数率や強度率を計算するもの、1日短縮あたりの費用増加額を出すものなど、条件を読んでから数値を導く問題が含まれています。次の表は、分野ごとに数値を含む問題の割合と問題文の平均文字数を集計したものです。

分野別の学習タイプ(収録619問の集計)

ケンテイラボに収録している1級電気工事施工管理技士(第一次検定)の問題を分野別に集計し、 「問題文または選択肢に数値が登場する問題の割合」と「問題文の平均文字数」を出しました。 数値の割合が高い分野は具体的な数字の暗記が得点を左右しやすく、 低い分野は用語の理解や文章の読み取りが中心になる傾向があります。

この試験でもっとも数値の比率が高いのは「⑧ 法規」で79%、 もっとも低いのは「② 電気工学Ⅱ(電力系統・電気応用)+発電設備」で23%でした。 また問題文がもっとも長いのは「⑧ 法規」の平均51字で、 設問を読み解く負担が大きい分野といえます。

  • ① 電気工学Ⅰ(電気理論・電気機器)75問/数値を含む問題 31%/問題文 平均47
  • ② 電気工学Ⅱ(電力系統・電気応用)+発電設備71問/数値を含む問題 23%/問題文 平均44
  • ③ 変電・送配電設備/構内電気設備 共通事項75問/数値を含む問題 45%/問題文 平均43
  • ④ 受変電・自家発電・動力・電灯設備75問/数値を含む問題 60%/問題文 平均35
  • ⑤ 防災・通信・監視・避雷・配線・省エネ・耐震75問/数値を含む問題 65%/問題文 平均44
  • ⑥ 電車線・その他の設備+関連分野80問/数値を含む問題 30%/問題文 平均50
  • ⑦ 施工管理84問/数値を含む問題 51%/問題文 平均47
  • ⑧ 法規84問/数値を含む問題 79%/問題文 平均51

数値の比率が高い分野は、数字を単独で覚えるより 「どの制度の・何の基準か」とセットで整理すると定着しやすくなります。 比率が低い分野は、似た用語同士の違いを説明できる状態を目指すと得点が安定します。

全体60%だけを目標にして学習を組むと、得意な分野で点を集めた結果、応用能力の6問が手薄なまま本番を迎えることになりかねません。施工管理法の範囲を先に固めてから、選択問題で解答先を選べる分野へ広げる順にすると、2つの基準を別々に見ながら進められます。

第一次検定は午前2時間30分、午後2時間の計4時間30分で、午前だけ、午後だけの受検はできません。応用能力の6問は、その午後の部の最初に置かれています。二重基準という制度の形は、当日の時間の使い方にもそのまま表れています。

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