1級造園施工管理技術検定の第一次検定は、全65問がすべて必須で、1問1点の合計で採点されます。ただし合格の条件は、その合計だけではありません。全体の得点が60%以上であることに加えて、検定科目〔施工管理法(応用能力)〕の得点が30%以上であることが求められます。
令和7年度の合格発表資料では、この二つが実数で示されています。「解答する必須問題65問につき、1問1点としてその合計の得点が60%以上(39問以上正解)かつ施工管理法(応用能力)の6問の内その合計の得点が30%以上(2問以上正解)を合格とする」という書き方です。
本記事は、この6問と30%だけを扱います。6問が試験のどこに置かれているか、解答の仕方がほかの問題とどう違うか、ほかの種目と比べて30%がどの位置にあるか、そして基準に届かなかったときに何が通知されるかを順に見ます。数値は全国建設研修センターの令和8年度受検の手引、令和7年度の合格発表資料、令和8年度の試験問題Bおよび正答肢、国土交通省「令和8年度技術検定の合格基準について」によります。
合格基準は「かつ」でつながっている。60%と30%は両方が要る
受検の手引の「(5) 合格基準」は、第一次検定について「全体の得点が60%以上 かつ検定科目(施工管理法(応用能力))の得点が30%以上」と書いています。二つの条件が「かつ」で結ばれているので、片方だけを満たしても合格にはなりません。
科目ごとの最低基準が置かれているのは応用能力だけです。〔土木工学等〕にも〔法規〕にも科目別の下限はなく、この二つは全体60%という一つの器の中で互いに補い合えます。応用能力の6問だけが、全体とは別に単独で数えられる扱いになっています。
6問に対する30%を実数に直すと2問です。1問だけの正解では16.7%で届かず、2問で33.3%となって基準を満たします。分母が6しかないため、1問の増減で割合が16.7ポイントずつ動く計算になります。
なお手引には「ただし、試験の実施状況等を踏まえ変更する可能性があります」という但し書きが付いています。60%と30%という数字そのものが固定されているわけではない、という前提で読むことになります。
その6問は試験問題Bの問題24〜29に固めて置かれている
第一次検定は、午前の試験問題Aが36問、午後の試験問題Bが29問という構成です。令和8年度の正答肢の公表資料には「問題24から問題29は施工管理法(応用能力)の問題です」と明記されており、応用能力にあたる6問は試験問題Bの末尾6問だと分かります。
つまりこの6問は、散らばっているのではなく午後の最後にまとまっています。試験問題Bは前半23問と後半6問という配置で、後半に入った時点から採点の性格が変わる形です。前半に時間を使い切ってしまうと、合否を単独で左右する6問を残り時間で処理することになります。
試験問題と正答肢は、試験実施日の翌日13時から1年間、全国建設研修センターのホームページで公表されます。令和8年度であれば令和8年9月7日13時からです。どの問題が応用能力にあたるかは資料の側に書かれているので、過去の出題を見るときは正答肢のPDFまで開くと配置が確認できます。
「正解を全てぬりつぶしてください」。前半23問とは解答の仕方が変わる
試験問題Bは、途中で解答の仕方が切り替わります。問題1〜23は正解が一つしかない形式で、1から4のうち該当する数字を一つぬりつぶします。これに対して問題24〜29には「正解を全てぬりつぶしてください」という指示が付きます。
そのうえで、試験問題Bの注意書きには「正解の数字を全てぬりつぶしてないものや、正解でない数字までぬりつぶしてあるものは得点になりません」と書かれています。正解を一つ落としても、余計に一つ塗っても、その問題は得点になりません。1問ごとに、得点になるかならないかのどちらかに決まる形です。
正解が一つの四肢択一であれば、選択肢を二つまで絞れば当たる見込みが残ります。複数解答では、そもそも正解がいくつあるのかを自分で決めることになるため、絞り込みが同じようには働きません。6問中2問という基準は数字の上では低く見えますが、1問あたりの取りこぼしやすさは形式のぶんだけ上がります。
解答はマークシート方式で、HBの黒鉛筆またはシャープペンシルを使います。万年筆やボールペンは機械が読み取らないため使えません。複数の数字を塗る問題では、塗った数がそのまま得点の有無に効くので、筆記具は手引の指定どおりにそろえておくことになります。
30%は造園だけの水準。同じ1級でも土木・建築は60%が要る
応用能力の基準値は、施工管理技術検定の種目によって違います。国土交通省「令和8年度技術検定の合格基準について」では、1級の第一次検定における施工管理法(応用能力)の基準が種目ごとに定められており、造園はその中で最も低い水準に置かれています。なお施工管理技術検定は7種目あり、そのうち建設機械施工管理の1級第一次検定だけは全体60%以上のみで、応用能力の基準が設けられていません。下の一覧は、基準が置かれている6種目です。
- 土木施工管理(1級)・建築施工管理(1級):全体60%以上/応用能力60%以上
- 管工事施工管理(1級)・電気工事施工管理(1級):全体60%以上/応用能力50%以上
- 電気通信工事施工管理(1級):全体60%以上/応用能力40%以上
- 造園施工管理(1級):全体60%以上/応用能力30%以上
全体60%以上という条件は7種目に共通で、違いは応用能力の側にだけあります。土木と建築は全体と同じ60%を応用能力にも課しているのに対し、造園は半分の30%です。
とはいえ、基準が低いことと外しにくいことは別の話です。造園の応用能力は6問しかないため、2問という実数がそのまま線になります。設問数が多い種目なら1問の失点が割合に与える影響は小さくなりますが、6問ではその緩衝がありません。
なぜ種目ごとに水準が違うのかについては、理由を説明した資料を今回参照した範囲では確認できませんでした。国土交通省の合格基準の資料は種目ごとの数値を並べているだけで、その値に決めた根拠までは書かれていません。造園の応用能力が6問であることも、令和8年度の正答肢の記載から分かる事実であって、問題数を定めた規定として示されているわけではありません。
検定基準は応用能力を「監理技術者補佐として」必要な能力と書いている
なぜこの6問だけが別枠で数えられるのかは、検定科目の基準の書き方に手がかりがあります。受検の手引の〔施工管理法〕には二つの項目が並んでいます。1は「監理技術者補佐として、造園工事の施工の管理を適確に行うために必要な施工計画の作成方法及び工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理方法に関する知識を有すること」、2は「監理技術者補佐として、造園工事の施工の管理を適確に行うために必要な応用能力を有すること」です。
1が知識、2が応用能力という並びで、どちらにも「監理技術者補佐として」という限定が付いています。第一次検定に合格すると1級造園施工管理技士補になり、そのうち主任技術者の資格を持つ人は監理技術者補佐として職務を行えます。応用能力の足切りは、この職務に直結する部分だけを単独で測る仕組みだと読めます。
一方、〔土木工学等〕と〔法規〕の基準は「一般的な知識を有すること」という書き方で、「監理技術者補佐として」という限定は付いていません。科目別の下限が応用能力にだけ置かれていることと、基準文の書き分けは対応しています。
この基準は、「第一次検定のみ」で申し込んだ場合も、「第一次検定・第二次検定」で申し込んだ場合も同じです。第一次検定の受検資格は年齢要件だけで、令和8年度は年度中における年齢が19歳以上であれば学歴も実務経験も問われません。現場での経験を前提にできない受検者にも、監理技術者補佐を想定した応用能力の6問がそのまま課される形になります。
不合格通知は「39問に届かなかった」のか「6問で落ちた」のかを書き分ける
手引は、個人の成績の通知について「全体の結果のみとし、設問ごとの得点等については通知しません」としています。そのうえで、不合格者への通知の書き方が二通り示されています。
- 全体の得点が合格基準未満の場合:「第一次検定 ○○問 正解」
- 全体の得点が合格基準以上で、応用能力問題の得点が合格基準未満の場合:「第一次検定 ○○問 正解/施工管理法(応用能力)問題の得点が合格基準未満のため不合格」
後者は、65問のうち39問以上を正解していながら不合格になった人に届く文面です。全体の正解数だけを見れば条件を満たしているのに、6問のうち2問に届かなかったために結果が変わった、ということが通知の文言そのものから読み取れる形になっています。落ち方が2種類あり、通知はそれを区別して書くわけです。
合格発表は全国建設研修センターのホームページで行われ、令和8年度は令和8年10月8日の9時から10月22日までが公表期間とされています。番号による発表とは別に、受検者には通知が届きます。応用能力の一文が入っているかどうかで、次に何を直せばよいかの見当の付き方が変わります。
一方、合格者に対しては成績の通知が行われません。何問正解したのかも、応用能力の6問で何問取れていたのかも知らされないままです。通知から自分の得点構成を確かめる手立てはないので、答え合わせをするなら公表された試験問題と正答肢を自分で突き合わせることになります。
収録664問で応用能力の範囲に近いのは⑦と⑧の170問
ケンテイラボの1級造園施工管理技術検定 第一次検定は664問を収録しています。科目ごとの出題数の内訳を示した公式資料は確認できなかったため、応用能力の6問が収録問題のどれに対応するかを一対一で示すことはできません。ただし〔施工管理法〕の検定基準に並ぶ施工計画・工程管理・品質管理・安全管理という言葉に近いのは、「⑦ 施工計画・建設機械・工程管理」の80問と「⑧ 品質管理・安全管理」の90問です。
この二つを合わせると170問で、収録664問の25.6%にあたります。分野ごとの収録数と構成比は次の表のとおりです。
収録問題8分野の内訳と比重
ケンテイラボでは1級造園施工管理技術検定(第一次検定)の収録問題を8の分野に分けて整理しています (学習しやすさを優先した本サイト独自の区分で、実施団体が公表している 出題区分そのものではありません)。収録している664問を分野別に集計すると、 最も問題数が多いのは「⑥ 測量・契約・設計図書・関連法規」の90問(全体の13.6%)、 最も少ないのは「⑤ 建築・バリアフリー・造園技法」の72問(同10.8%)です。上位3分野だけで全体の40.2%を占めるため、 ここを先に固めるかどうかが得点の土台になります。
⑦に収録しているのは、直接仮設と間接仮設の区別、施工計画書に載せる項目、建設機械の作業効率や土量換算係数を使った作業量の算定、建設リサイクル法の特定建設資材と対象規模、廃棄物処理法にもとづくマニフェストの保存期間といった内容です。⑧は、公共用緑化樹木等品質寸法規格基準の樹姿と樹勢、樹高・幹周・枝張の測り方、ヒストグラムやX-R管理図の読み方、足場の作業床や地山の掘削勾配の基準が中心になります。
収録問題では、⑦にネットワーク式工程表を扱う問題が8問あり、最早開始時刻や最遅完了時刻からトータルフロートを出す設問、クリティカルパスの読み取りが含まれます。⑧では移動式クレーンに触れる問題が9問、レディーミクストコンクリートの受入れ検査に触れる問題が11問です。いずれも、正しい記述を一つ選ぶ形でも数値の線引きを問われる範囲になります。
もう一つ、収録664問のうち「不適当なものはどれか」と逆向きに問う設問は6問あり、その6問はすべて⑧に入っています。正しいものを選ぶのか誤っているものを選ぶのかを読み違えると、内容が分かっていても落とします。設問がどちらを求めているかを先に確かめる手順は、複数解答の6問でも変わりません。
6問ぶんの2問は、ほかの分野の1問では代えられない
分野ごとに、数値を含む問題の割合と問題文の平均文字数を集計すると次のようになります。応用能力に近い⑦・⑧と、それ以外の分野とで、問題文の性格の違いを見る材料になります。
分野別の学習タイプ(収録664問の集計)
ケンテイラボに収録している1級造園施工管理技術検定(第一次検定)の問題を分野別に集計し、 「問題文または選択肢に数値が登場する問題の割合」と「問題文の平均文字数」を出しました。 数値の割合が高い分野は具体的な数字の暗記が得点を左右しやすく、 低い分野は用語の理解や文章の読み取りが中心になる傾向があります。
この試験でもっとも数値の比率が高いのは「④ 運動・遊戯・水景・給排水・電気施設」で67%、 もっとも低いのは「① 造園の歴史・造園材料」で13%でした。 また問題文がもっとも長いのは「⑧ 品質管理・安全管理」の平均51字で、 設問を読み解く負担が大きい分野といえます。
- ① 造園の歴史・造園材料:80問/数値を含む問題 13%/問題文 平均37字
- ② 植栽施工・植物管理:85問/数値を含む問題 31%/問題文 平均40字
- ③ 敷地造成・コンクリート・舗装:81問/数値を含む問題 58%/問題文 平均44字
- ④ 運動・遊戯・水景・給排水・電気施設:86問/数値を含む問題 67%/問題文 平均40字
- ⑤ 建築・バリアフリー・造園技法:72問/数値を含む問題 44%/問題文 平均37字
- ⑥ 測量・契約・設計図書・関連法規:90問/数値を含む問題 44%/問題文 平均39字
- ⑦ 施工計画・建設機械・工程管理:80問/数値を含む問題 31%/問題文 平均40字
- ⑧ 品質管理・安全管理:90問/数値を含む問題 59%/問題文 平均51字
数値の比率が高い分野は、数字を単独で覚えるより 「どの制度の・何の基準か」とセットで整理すると定着しやすくなります。 比率が低い分野は、似た用語同士の違いを説明できる状態を目指すと得点が安定します。
全体60%のほうは65問の積み上げで作れます。得意な分野で多めに取れば、苦手な分野の失点をそこで埋められます。これに対して応用能力の2問は、6問の中でしか作れません。ほかの分野でどれだけ上積みしても、この2問の代わりにはならないという関係です。
逆向きも同じで、応用能力で6問すべてを取っても、全体が39問に届かなければ合格にはなりません。二つの基準は独立していて、片方の余りをもう片方に回すことはできません。仕上げの段階では、全体の正解数と応用能力の6問を別々に見ることになります。
第一次検定の合格に有効期限はなく、一度通れば以降は期間や回数の制限なく第二次検定から受検できます。年1回しかない試験で、その一度きりの判定にこの6問が単独で効く、という構造です。試験問題も正答肢も公表されているので、どのような聞かれ方をする6問なのかは、受ける前に自分の目で確かめておける部分でもあります。