2026/09/12

第一種・第二種冷凍機械責任者、講習修了証で残る科目は法令だけ

高圧ガス保安協会の講習と検定に通ると保安管理技術と学識が免除され、国家試験で解くのは択一20問の法令だけになります。令和7年度の第一種は全科目受験50.2%、免除96.1%。21時間の講習と費用も並べます。

執筆:ケンテイラボ編集部(資格試験対策アプリ開発・運営)

第一種冷凍機械責任者と第二種冷凍機械責任者には、国家試験を3科目とも受ける道と、先に講習を受けてから国家試験に臨む道の2つがあります。後者を通ると、国家試験の当日に受ける科目は「法令」1つだけになります。

この仕組みは、高圧ガス保安協会(KHK)が実施する科目免除講習と、その後の検定試験で成り立っています。免除の根拠は高圧ガス保安法第31条第3項で、講習を修了して検定に合格すると講習修了証が交付され、これに基づいて国家試験を申請すると試験科目が一部免除されます。

本記事は、この講習と科目免除だけを扱います。免除の範囲、講習の時間数と費用、そして免除者と全科目受験者に分けて公表されている合格率を並べます。数値はKHKの国家試験の概要、令和8年度受験案内書(電子申請用)、講習(冷凍)のページ、年度ごとの合格率一覧表、およびe-Gov法令検索の冷凍保安規則によります。

「講習を受けて検定に通る」と国家試験の科目が減る

KHKの説明では、科目免除講習を受講して検定に合格すると、国家試験の試験科目が一部免除されます。順番は、講習を受ける、講習後の検定試験に合格する、講習修了証が交付される、その修了証に基づいて国家試験を申請する、という流れです。

この修了証による科目免除に有効期限はなく、失効しません。講習を修了した年に国家試験を受けられなかった場合でも効力は残ります。ただし、修了証の原本は保管しておく必要があります。

免除されるのは保安管理技術と学識で、級によって範囲は変わらない

第一種冷凍機械責任者も第二種冷凍機械責任者も、試験科目は「法令」「保安管理技術」「学識」の3つです。講習修了証で免除されるのは、このうち保安管理技術と学識の2科目です。

高圧ガス保安協会の科目免除制度のページにある一覧表でも、第一種冷凍機械・第二種冷凍機械のいずれも、法令は受験、保安管理技術は免除、学識は免除と整理されています(受験案内書の別紙では、免除科目=保安管理技術と学識、受験科目=法令という書き方になっています)。級によって免除の範囲が違うわけではありません。

  • 第一種(全科目受験):法令=択一式20問/保安管理技術=択一式15問/学識=記述式5問
  • 第二種(全科目受験):法令=択一式20問/保安管理技術=択一式10問/学識=択一式10問
  • 第一種(講習修了証による免除後):法令=択一式20問のみ
  • 第二種(講習修了証による免除後):法令=択一式20問のみ

第一種の学識は記述式5問で、第二種は3科目すべてが択一式です。免除を受けると、第一種の受験者は国家試験の当日に記述式の科目を解かないことになります。第一種のほうが免除で減る負担が大きくなる形です。

試験時間は級ではなく科目ごとに定められていて、法令は9時30分から10時30分までの60分です。科目免除者は受験する科目の時間帯のみ受験するため、法令だけの受験なら午前中で終わります。

講習は21時間、検定試験で課されるのは2科目だけ

高圧ガス製造保安責任者講習(冷凍)は、第一種・第二種とも21時間です。内訳は科目ごとに7時間ずつで、法令も講義としては受けます。

  • 法令=7時間
  • 保安管理技術=7時間
  • 学識=7時間
  • 合計21時間(第一種・第二種とも同じ時間数)

一方、講習後の検定試験で実施されるのは保安管理技術と学識の2科目だけで、法令の検定試験はありません。ただし、法令を含むすべての講習科目を受講しないと検定試験を受検できません。法令は、講義としては受けるが検定では問われず、国家試験で問われる、という配置になっています。

受講受検料は第一種が28,100円、第二種が24,200円で、令和7年4月1日から改定された額です。使用テキストは共通の「冷凍関係法規集」と、第一種・第二種とも「上級 冷凍受験テキスト」で、テキスト代は受講受検料に含まれません。

開催回数は、第一種が年1回で4月から5月頃、第二種が年2回で2月頃と6月頃と案内されています。具体的な日程と申込受付期間はKHKの年間スケジュール側に置かれているため、受講を検討する場合はそちらで確認することになります。なお、検定試験そのものの合格基準や合格率は、今回参照した講習のページでは確認できませんでした。

合格率は免除の有無で分けて公表されている(令和7年度)

KHKは合格率を、全科目受験と科目免除に分けて公表しています。第一種は経済産業大臣試験、第二種は都道府県知事試験なので、一覧表そのものも別々です。令和7年度の数字は次のとおりです。

  • 令和7年度・第一種(全科目受験):受験者646人/合格者324人/合格率50.2%
  • 令和7年度・第一種(保安管理技術免除及び学識免除):受験者541人/合格者520人/合格率96.1%
  • 令和7年度・第一種(合計):受験者1,187人/合格者844人/合格率71.1%
  • 令和7年度・第二種(全科目受験):受験者1,694人/合格者647人/合格率38.2%
  • 令和7年度・第二種(保安管理技術免除及び学識免除):受験者680人/合格者598人/合格率87.9%
  • 令和7年度・第二種(合計):受験者2,374人/合格者1,245人/合格率52.4%

どちらの級でも、免除を受けている人の合格率が全科目受験を大きく上回り、令和7年度でいえば第一種が約1.9倍、第二種が約2.3倍です。免除者が国家試験で受けるのは法令だけなので、この差は受ける科目数の差がそのまま表れたものと読めます。

受験者の内訳では、第一種は1,187人のうち541人、第二種は2,374人のうち680人が免除での受験で、第一種のほうが免除ルートの比率が高くなっています。

年度をまたいで動くのは全科目受験のほう

同じ区分を年度を変えて並べると、振れ幅の違いがはっきりします。級・年度・受験区分をそろえないと比較にならないため、区分名まで書き出します。

  • 令和6年度・第一種(全科目受験):受験者599人/合格者147人/合格率24.5%
  • 令和6年度・第一種(保安管理技術及び学識免除):受験者553人/合格者452人/合格率81.7%
  • 令和6年度・第二種(全科目受験):受験者1,692人/合格者481人/合格率28.4%
  • 令和6年度・第二種(科目免除):受験者593人/合格者453人/合格率76.4%
  • 令和4年度・第一種(参考):全科目受験36.6%/保安管理技術及び学識免除93.7%
  • 令和3年度・第二種(参考):全科目受験36.7%/科目免除85.2%

第一種の全科目受験は令和6年度が24.5%、令和7年度が50.2%で、1年で倍以上動いています。第二種の全科目受験も28.4%から38.2%へ動きました。これに対して免除区分は、第一種が81.7%から96.1%、第二種が76.4%から87.9%で、参考に挙げた年度も含めて高い水準に収まっています。

令和5年度の一覧表は、KHKが掲載期間を当年度2月上旬から翌年度試験実施日の1週間前までとしているため、現在は参照できません。公表がないのではなく掲載期間が終了したもので、年度をまたいで比べるときは、手元の資料がどの年度のどの区分かを先に確かめることになります。

合格基準は総合点ではなく「各科目とも満点の60パーセント程度」

受験案内書の合格基準は「各科目とも満点の60パーセント程度です。」という表記です。試験全体の合計点ではなく、科目ごとに基準が置かれています。

この形だと、全科目受験では法令・保安管理技術・学識のそれぞれに基準が置かれているため、合計点で苦手な科目を埋める形にはなっていない、と読めます。第一種なら、記述式の学識を含めた3科目それぞれで6割程度を確保することになります。

講習ルートでは、この基準を満たす対象が法令だけになります。免除者の合格率が高い水準に並ぶ背景には、科目ごとに基準を置くという合格の決め方があると読めます。

なお、前年度に基準を満たした科目を翌年度に持ち越す仕組みについては、公式資料で確認できた免除の根拠が講習修了証と上位資格・他区分の免状等の2系統のみで、今回参照した範囲では記載が見当たりませんでした。

法令だけは誰も免除されない。収録624問のうち155問がその範囲

ここまでの整理ではっきりするのは、どちらのルートを選んでも法令は必ず自分で受けるということです。講習では法令を7時間受講しますが検定試験では課されず、国家試験でも免除の対象になりません。

ケンテイラボの第一種・第二種冷凍機械責任者は624問を収録しています。このうち法令にあたるのは「⑦ 高圧ガス保安法の目的・定義と事業」の81問と「⑧ 保安・容器・指定設備」の74問で、合わせて155問です。分野ごとの収録数と構成比は次の表のとおりです。

収録問題8分野の内訳と比重

ケンテイラボでは第一種・第二種冷凍機械責任者の収録問題を8の分野に分けて整理しています (学習しやすさを優先した本サイト独自の区分で、実施団体が公表している 出題区分そのものではありません)。収録している624問を分野別に集計すると、 最も問題数が多いのは「① 冷凍サイクルと圧縮機」の92問(全体の14.7%)、 最も少ないのは「⑤ 冷媒配管と制御機器・付属機器」の73問(同11.7%)です。上位3分野だけで全体の40.2%を占めるため、 ここを先に固めるかどうかが得点の土台になります。

収録問題を見ると、⑦には、高圧ガスの定義(圧縮ガスは常用の温度で1メガパスカル以上、圧縮アセチレンガスは0.2メガパスカル以上など)、冷凍能力3トン未満・5トン未満で分かれる適用除外、可燃性ガス・毒性ガス・不活性ガスの区分、冷凍能力の算定式といった、定義と数値の線引きが集まっています。

⑧のほうは、危害予防規程の届出、従業者への保安教育、冷凍保安責任者とその代理者の選任、保安検査と定期自主検査、危険時の応急措置と届出先、帳簿の保存期間といった手続きの側です。条文の数値と、手続きの主体・時期を分けて押さえる範囲になります。

分野ごとに、数値を含む問題の割合と問題文の平均文字数を集計すると次のようになります。免除の対象になる技術系の分野と、誰も免除されない法令の2分野で、問題文の性格の違いを見る材料になります。

分野別の学習タイプ(収録624問の集計)

ケンテイラボに収録している第一種・第二種冷凍機械責任者の問題を分野別に集計し、 「問題文または選択肢に数値が登場する問題の割合」と「問題文の平均文字数」を出しました。 数値の割合が高い分野は具体的な数字の暗記が得点を左右しやすく、 低い分野は用語の理解や文章の読み取りが中心になる傾向があります。

この試験でもっとも数値の比率が高いのは「⑦ 高圧ガス保安法の目的・定義と事業」で67%、 もっとも低いのは「④ 圧縮機・熱交換器の保守管理」で18%でした。 また問題文がもっとも長いのは「① 冷凍サイクルと圧縮機」の平均53字で、 設問を読み解く負担が大きい分野といえます。

  • ① 冷凍サイクルと圧縮機92問/数値を含む問題 51%/問題文 平均53
  • ② 伝熱理論と熱交換器76問/数値を含む問題 24%/問題文 平均36
  • ③ 制御機器・冷媒・材料と圧力容器74問/数値を含む問題 34%/問題文 平均37
  • ④ 圧縮機・熱交換器の保守管理78問/数値を含む問題 18%/問題文 平均40
  • ⑤ 冷媒配管と制御機器・付属機器73問/数値を含む問題 27%/問題文 平均49
  • ⑥ 安全装置・圧力試験・据付けと試運転76問/数値を含む問題 47%/問題文 平均32
  • ⑦ 高圧ガス保安法の目的・定義と事業81問/数値を含む問題 67%/問題文 平均50
  • ⑧ 保安・容器・指定設備74問/数値を含む問題 34%/問題文 平均37

数値の比率が高い分野は、数字を単独で覚えるより 「どの制度の・何の基準か」とセットで整理すると定着しやすくなります。 比率が低い分野は、似た用語同士の違いを説明できる状態を目指すと得点が安定します。

法令の出題は、令和8年4月1日現在施行されている法令に基づきます。トン数や圧力の数値、届出の相手方は改正で動きうる部分なので、教材の版と条文の時点を確かめて読むことになります。

費用と日程、そして免状を取ったあとに要る経験年数

ルートを決める材料を費用の側から並べます。国家試験の受験手数料は、第一種が電子申請17,300円・書面申請17,800円、第二種が電子申請11,100円・書面申請11,600円で、いずれも非課税です。書面申請は500円高く、受付期間も電子申請より短く設定されています。

講習ルートでは、これに受講受検料(第一種28,100円、第二種24,200円)とテキスト代が加わります。国家試験は年1回で令和8年度の試験日は11月8日、講習は第一種が年1回・第二種が年2回なので、受講の機会を逃すと次の国家試験までの組み立て方が変わります。

合格発表の時期も級で違います。第一種は経済産業大臣試験、第二種は都道府県知事試験で、令和8年度の合格者番号の公表日は第二種が令和8年12月18日、第一種が令和9年1月26日と、約1か月ずれています。

最後に、免状を取ったあとの条件です。受験資格は年齢・学歴・性別・経験を問わず誰でも受けられますが、実際に冷凍保安責任者として選任されるには、冷凍保安規則第36条が定める経験が別に必要です。

  • 1日の冷凍能力300トン以上:第一種冷凍機械責任者免状/1日の冷凍能力100トン以上の製造施設を使用してする高圧ガスの製造に関する1年以上の経験
  • 1日の冷凍能力100トン以上300トン未満:第一種または第二種の免状/1日の冷凍能力20トン以上の製造施設での1年以上の経験
  • 1日の冷凍能力100トン未満:第一種・第二種・第三種のいずれかの免状/1日の冷凍能力3トン以上の製造施設での1年以上の経験

免状の取得と選任の要件は切り離されています。講習ルートで国家試験を法令1科目に絞るかどうかは試験の通り方の話であり、選任に必要な経験年数はどちらのルートを選んでも変わりません。

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