2026/09/12

科目A群で決まる情報処理安全確保支援士、CBT移行後の学び順

2026年度から午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後が科目A-1・A-2・Bに変わりました。科目A群が基準点に届かなければ記述式の科目Bは採点されません。免除の使いどころと収録670問の割り振りを整理します。

執筆:ケンテイラボ編集部(資格試験対策アプリ開発・運営)

情報処理安全確保支援士試験(略号SC)は、「情報処理の促進に関する法律」に基づき経済産業省が実施する国家試験で、試験事務はIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が行っています。共通キャリア・スキルフレームワークでは「テクニカルスペシャリスト」レベル4の前提要件に位置づけられる区分です。受験手数料は7,500円(支援士試験は非課税)です。

2026年度(令和8年度)試験から、この試験はペーパー方式からCBT方式に移行し、区分の呼称も変わりました。令和7年度試験までの午前Ⅰが科目A-1、午前Ⅱが科目A-2、午後が科目Bです。本記事では新しい呼称で通し、旧称に触れるときはその都度いつまでの制度かを添えます。

3科目の時間と問題数は、科目A-1が50分・30問(多肢選択式の四肢択一)、科目A-2が40分・25問(同)、科目Bが150分・4問出題のうち2問選択(記述式)で、合計240分です。科目A-1と科目A-2の間には最長10分の休憩を取れると試験要綱に書かれています。

科目A群が60点に届かないと科目Bは採点されない

この試験は多段階選抜方式を採っています。試験要綱には「科目A-1・科目A-2試験の得点が基準点に達しない場合には,科目B試験の採点を行わずに不合格とする」と明記されています。記述式の答案を書き上げても、その前段の多肢選択式が基準点未満であれば、答案は読まれずに終わります。

配点と基準点はどの科目も同じで、各科目100点満点・基準点60点です。合格するには3科目すべてが60点以上である必要があります。採点は素点方式で、項目反応理論(IRT)を用いるのはITパスポート試験・情報セキュリティマネジメント試験・基本情報技術者試験の3区分だけです。

問題別の配点割合を見ると、この構造の意味がはっきりします。科目A-1は30問で各3.4点、科目A-2は25問で各4点、科目Bは解答する2問が各50点です。科目A-2は1問4点なので、25問中10問を落とすと60点に届きません。

したがって学習の順序は、記述式の対策から入るのではなく、まず科目A群を基準点に乗せるところから始めるのが理にかなっています。科目Bだけを磨いても、そこに到達しなければ得点として計上されないからです。

科目A-1の免除を使うかどうかで対策の総量が変わる

科目A-1は全試験区分の共通問題で、出題範囲はテクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の全9大分類・23中分類です。基礎理論からプロジェクトマネジメント、経営戦略、企業と法務までが対象になります。セキュリティの勉強と重ならない範囲が広く、ここを素で受けるかで準備の総量が変わります。

免除制度は次の3つのいずれかを満たすと、その後2年間、科目A-1の受験が免除されるというものです。

  • 応用情報技術者試験に合格する
  • いずれかの高度試験または支援士試験に合格する
  • いずれかの高度試験または支援士試験の科目A-1(令和7年度試験までの午前Ⅰ)で基準点以上の成績を得る

注意したいのは、免除が自動では適用されないことです。受験申込み時に「一部免除申請番号」を入力して申請します。上の1つ目と2つ目は合格証書番号、3つ目は午前Ⅰ通過者番号(科目A-1通過者番号)です。入力し忘れれば当日は科目A-1から受けることになります。

支援士試験には、他の高度試験にはない科目A-2の免除制度もあります。IPA認定を受けた学科等の卒業(修了)者または卒業(修了)見込み者で、履修計画を修了したことの認定を受けた者が対象で、修了認定をIPAに報告した日から2年間に受験する試験に適用されます。学科等の認定有効期間は4年、認定は年2回(4月1日と10月1日)です。

免除が使える人は、持ち時間の全部をセキュリティの専門知識と記述式に振り向けられます。使えない人は、23中分類ぶんの復習を別枠で確保する必要があります。学習計画を立てる前に、自分がどちらなのかを確定させてください。

150分・4問中2問という科目Bの選択の余地

科目Bが現在の形になったのは、令和5年度秋期試験(2023年10月)からです。それまでは午後Ⅰ(90分・3問中2問)と午後Ⅱ(120分・2問中1問)に分かれており、合計210分・解答3問でした。これが統合されて150分・4問中2問となり、令和8年度からは科目Bという呼称でこの形が続いています。

IPAはこの変更について、問題選択の幅と時間配分の自由度を拡大し、試験時間が短くなることで受験しやすさが高まる、と説明しています。あわせて、問う知識・技能の範囲そのものに変更はないとしています。短くなったのは拘束時間であって、守備範囲が狭まったわけではありません。

4問から2問を選べるということは、2問ぶんは捨てられるということです。ただし、どの2問を捨てられるかは当日の出題を見るまで分かりません。得意分野を1つだけ作って残りを放置すると、その分野が4問中1問しか出なかったときに逃げ場がなくなります。少なくとも3つの大分類は答案が書ける状態にしておくと、選択肢が残ります。

1問あたりの持ち時間は、2問で150分なので単純平均75分です。選ぶ段階で時間を使いすぎると後半が苦しくなります。最初の数分で4問に目を通し、設問の形と自分が書けそうかどうかで決める、という配分の練習が要ります。

収録670問の8分野と、科目A-2・科目Bの範囲の対応

科目A-2は専門知識を問う科目で、支援士試験では中分類11「セキュリティ」が重点分野(レベル4)に指定されています。一方の科目Bは、次の4つの大分類から出題されます。

  • 1 情報セキュリティマネジメントの推進または支援(方針の策定、リスクアセスメント、リスク対応、情報セキュリティ監査など)
  • 2 情報システムの企画・設計・開発・運用におけるセキュリティ確保の推進または支援(アーキテクチャの設計、セキュアプログラミング、脆弱性診断やペネトレーションテストなど)
  • 3 情報および情報システムの利用におけるセキュリティ対策の適用の推進または支援(暗号利用と鍵管理、マルウェア対策、ログの取得と分析、アカウント管理など)
  • 4 情報セキュリティインシデント管理の推進または支援(管理体制の構築、インシデントへの対応、デジタルフォレンジックスなど)

ケンテイラボに収録している支援士試験の対策問題670問は、この範囲を8つの分野に割って整理しています。次の表は収録問題の分野別の内訳です。本試験の配点そのものではありませんが、どこにどれだけ手を動かせるかの目安になります。

収録問題8分野の内訳と比重

ケンテイラボでは情報処理安全確保支援士試験の収録問題を8の分野に分けて整理しています (学習しやすさを優先した本サイト独自の区分で、実施団体が公表している 出題区分そのものではありません)。収録している670問を分野別に集計すると、 最も問題数が多いのは「⑤ メール・HTTPセキュリティ」の101問(全体の15.1%)、 最も少ないのは「⑧ 注目の技術」の80問(同11.9%)です。上位3分野だけで全体の39.7%を占めるため、 ここを先に固めるかどうかが得点の土台になります。

収録問題では⑤メール・HTTPセキュリティが101問で最も多く、次いで⑦攻撃手法2が83問、②認証技術と⑥攻撃手法1がそれぞれ82問です。残る4分野は80問から81問で、大きな偏りのない配分になっています。

8分野のうち①から④と⑧は、用語と仕組みを正確に答える科目A-2向きの素材です。⑤から⑦の攻撃手法系は、科目Bの大分類3・4と地続きになります。攻撃の名前を覚えるだけでなく、その攻撃が成立する条件と、どの対策がどこで効くのかを言葉で説明できる状態にしておくと、記述式の答案に転用できます。

なお、この8分野の分け方はケンテイラボ側の整理であり、IPAの出題区分そのものではありません。範囲を厳密に確認するときは試験要綱とシラバスを見てください。

2026年度のCBT化で変わったこと、変わらないこと

令和8年度(2026年度)から、応用情報技術者試験・高度試験8区分・情報処理安全確保支援士試験がペーパー方式からCBT方式に移行しました。パソコン画面に表示される問題を、キーボードとマウスで解答します。IPAは、問う知識・技能の範囲、出題形式、出題数および試験時間に変更はないと説明しており、科目A-2が40分25問、科目Bが150分4問中2問という骨格はそのままです。

変わったのは受け方です。従来の春期・秋期の一斉実施から、一定期間内に複数日で実施する方式になり、受験者は全国の試験会場から日時を選べるようになりました。支援士試験では、科目A群(科目A-1・科目A-2)と科目Bを別日に受験します。1日で全科目を終える試験ではなくなりました。

ペーパー方式は、身体の不自由等によりコンピュータを用いる方式で受験できない場合に、前期と後期それぞれの実施期間の中で選べるという例外として残っています。記述式をキーボードで解答することになるため、字数感覚を手書きで身につけたあと、仕上げでは画面と入力で答案を作る練習を挟んでおくと安全です。

前期10月・後期2月の日程と、別日受験の組み立て

試験は年2回、前期と後期に実施されます。2026年度前期は、申込受付期間が10月6日から10月24日、試験実施期間が10月17日から11月23日です。受付期間の途中で試験期間が始まる並びになっています。

2026年度後期は、申込受付期間が2027年1月27日から2月27日、試験実施期間が2027年2月20日から3月28日です。前期の試験期間が終わってから後期の申込までは2か月あまりで、次の機会は比較的近いところにあります。

科目A群と科目Bが別日である以上、日程は2回ぶん押さえることになります。科目A群を先に受けるなら、その日までに多肢選択式を仕上げ、そこから科目Bの日までの期間を記述の詰めに充てるという組み方ができます。ただし多段階選抜で採点されるかどうかは結果が出るまで分からないので、科目A群の手応えだけで科目Bの準備を止めない判断が要ります。

合格率は回次ごとに振れる(直近3回で15.1%から22.3%)

ペーパー方式で実施された直近の3回を並べると、令和6年度秋期が受験者17,324人・合格者2,615人で合格率15.1%、令和7年度春期が受験者16,526人・合格者3,134人で19.0%、令和7年度秋期が受験者18,816人・合格者4,199人で22.3%です。同じ試験でも回次によって7ポイント以上の開きがあります。

年度でまとめると、令和7年度は受験35,342人・合格7,333人で20.7%、令和6年度は受験31,666人・合格5,384人で17.0%、令和5年度は受験27,110人・合格5,678人で20.9%でした。令和7年度秋期の合格者平均年齢は34.4歳です。

回次ごとの数字を1つ取り出して難易度を判断すると見誤ります。目安にするなら年度合計のほうが安定しています。試験要綱には難易差に応じて基準点を変更することがあると書かれており、合格率は受験者層と問題の両方で動く数値です。

なお、令和8年度前期はCBT方式での最初の実施回にあたり、この記事の執筆時点では統計を確認できていません。CBT化後の合格率はIPAの統計情報ページで確認してください。

合格しただけでは名乗れない登録制と、その先の費用

この試験には、合格したあとにもう一段あります。試験合格者は所定の登録手続きを行うことで、国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」の資格保持者になれます。登録していない者がこの名称を使用すると、「情報処理の促進に関する法律」第78条により罰則の対象になります。

新規登録には、登録免許税9,000円(収入印紙)と登録手数料10,700円(銀行振込)で合計19,700円がかかります。登録日は年2回で、4月1日登録分は2月15日まで、10月1日登録分は8月15日までが受付期限です。

登録の有効期限は3年で、更新するには法第23条に基づく講習をすべて修了している必要があります。3年の期限までにオンライン講習を1年に1回(3年間で3回)、IPAまたは民間事業者等が行う実践講習を3年に1回受講します。オンライン講習の受講料は20,000円(非課税)、IPAが行う実践講習は実践講習A・B・Cがいずれも8万円(非課税)です。

収録670問を科目A群から回す

以上を踏まえると、準備の順序は「科目A-1を免除で消すかどうかを決める」「科目A-2を基準点に乗せる」「科目Bの4大分類のうち3つ以上を書ける状態にする」という並びになります。収録670問は、まず分野別に解いて科目A-2の穴を特定する使い方に向いています。

攻撃手法の⑥と⑦、それに⑧注目の技術は、解いたあとに「なぜその対策が効くのか」を一言で書き足しておくと、科目Bの答案の材料になります。選択肢から選べる状態と白紙から説明できる状態の差を埋める作業が、記述式の対策そのものです。

数値や制度は変更されることがあります。受験日や手数料、免除申請の方法、講習の受講料といった実務的な情報は、申し込む前にIPAの公式ページで確認してください。

実際に問題を解いて知識を定着させよう

ケンテイラボでは情報処理安全確保支援士試験の問題を無料で練習できます。

問題を解く →
← 記事一覧へ戻る