エックス線作業主任者 ⑧ 管理2(減弱・遮蔽・防護計算)

物質を通過する際の減弱、半価層や十分の一価層を使った遮蔽の計算、距離の逆二乗則を用いた線量の推定を扱う分野です。厚さが半価層の整数倍であれば2のべき乗で処理できるなど、計算を速く解くための型がいくつも存在します。距離・時間・遮蔽の三要素を組み合わせた総合問題も定番です。出題数は31問と少なめですが、科目ごとに基準が設けられた試験では落とせない領域であり、手順を確実に身につけておきたいところです。

この分野の問題31問を、選択肢・正解・解説つきで掲載しています。まず自分で解答を考えてから「正解と解説を見る」を開いて答え合わせをしてください。

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271半価層と減弱係数μの間に成り立つ関係式はどれか。

  1. Aμh = log10
  2. Bh = μlog2
  3. Ch = μlog10
  4. Dμh = log2
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正解:Dμh = log2

半価層をh、減弱係数をμとすると、μh = log2 = 0.693の関係が成り立つ。

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272エックス線の強さを1/10に弱める物体の厚さ(1/10価層)をHとしたとき、Hと半価層hとの間の近似的な関係はどれか。

  1. AH = 2.3h
  2. BH = 4.3h
  3. CH = 3.3h
  4. DH = 5.3h
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正解:CH = 3.3h

1/10価層Hと半価層hの間には H = (log10 / log2)h ≒ 3.3h の関係がある。

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273エックス線の半価層に影響を与える要因として、正しいものはどれか。

  1. Aエネルギーと原子番号
  2. B線量率とエネルギー
  3. C線量率と原子番号
  4. Dエネルギーと物体の厚さ
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正解:Aエネルギーと原子番号

半価層は入射エックス線のエネルギーと物体を構成する元素の種類(原子番号)によって変化する。

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274連続エックス線が物質を透過する際、実効エネルギーはどのように変化するか。

  1. A物体の厚さの増加に伴い高くなる
  2. B物体の厚さの増加に伴い低くなる
  3. C物体の厚さに関係なく一定である
  4. D透過直後のみ急激に低下する
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正解:A物体の厚さの増加に伴い高くなる

連続エックス線が透過すると低エネルギー成分が優先的に減弱するため、実効エネルギーは高くなる。

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275太い線束のエックス線が物質を透過する場合、細い平行線束の場合と比べて減弱曲線はどのようになるか。

  1. A勾配が急になる
  2. B直線になる
  3. C指数関数的に急減する
  4. D勾配が緩やかになる
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正解:D勾配が緩やかになる

太い線束では散乱線が測定器に入るため、見かけ上の減弱係数が小さくなり、減弱曲線の勾配は緩やかになる。

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276再生係数(ビルドアップ係数)に関する記述として正しいものはどれか。

  1. A1未満になることがある
  2. B照射面積が大きくなると大きくなる
  3. C物体の厚さが厚くなると小さくなる
  4. D線量率の影響を受ける
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正解:B照射面積が大きくなると大きくなる

再生係数は一般に1以上であり、厚さや照射面積が大きくなるほど散乱線が増加するため大きくなる。

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277後方散乱線の空気カーマ率に関する記述として正しいものはどれか。

  1. A散乱角90°のときに最大となる
  2. B管電圧が高くなると減少する
  3. Cアルミニウム板より銅板の方が大きい
  4. D物体の厚さが増すと一定になる
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正解:D物体の厚さが増すと一定になる

後方散乱線の空気カーマ率は物体の厚さがある程度以上になるとほぼ一定になる。

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278単一エネルギーのX線に対する鉄の質量減弱係数が0.5 cm²/g、鉄の密度が7.6 g/cm³であるとき、鉄の半価層(mm)として最も近いものはどれか。(log2=0.69とする)

  1. A1mm
  2. B2mm
  3. C3mm
  4. D4mm
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正解:B2mm

減弱係数μ = 0.5 × 7.6 = 3.8 cm⁻¹。半価層h = 0.69 / 3.8 ≒ 0.18 cm = 1.8 mm。

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279あるX線の半価層が6mmであるとき、1/10価層の値(mm)として最も近いものはどれか。(log2=0.69、log10=2.3とする)

  1. A10mm
  2. B15mm
  3. C25mm
  4. D20mm
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正解:D20mm

1/10価層Hは近似的に3.3 × hであり、3.3 × 6 = 19.8 mmとなる。

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280管電圧150kVのエックス線管から発生するX線の最短波長(nm)として最も近いものはどれか。

  1. A0.008nm
  2. B0.005nm
  3. C0.01nm
  4. D0.02nm
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正解:A0.008nm

デュエンーハントの法則 λmin = 1.24 / V より、1.24 / 150 ≒ 0.00827 nm。

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281放射線防護の3原則に含まれないものはどれか。

  1. A線量率
  2. B遮へい
  3. C距離
  4. D時間
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正解:A線量率

放射線防護の3原則は「遮へい、距離、時間」である。

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282遮へい体として用いられる物質の遮へい効果について、同じ厚さで比較した場合に最も効果が大きいものはどれか。

  1. A
  2. B
  3. Cコンクリート
  4. Dアルミニウム
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正解:B

原子番号が大きく密度が高い物質ほど遮へい効果が大きく、鉛は鉄やコンクリートよりも効果が高い。

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283距離の逆2乗則において、距離を2倍にした場合、線量率はどうなるか。

  1. A1/2になる
  2. B2倍になる
  3. C1/4になる
  4. D4倍になる
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正解:C1/4になる

線量率は距離の2乗に反比例するため、距離が2倍になると線量率は1/4になる。

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284エックス線装置の管電圧を上げた場合、発生する連続エックス線の性質の変化として正しいものはどれか。

  1. A全強度は管電圧に比例して増加する
  2. B最短波長は短くなる
  3. C最大エネルギーは低くなる
  4. D最高強度を示す波長は長くなる
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正解:B最短波長は短くなる

管電圧を上げると、全強度は電圧の2乗に比例して増加し、最大エネルギーは高くなり、最短波長は短くなる。

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285管電流を増加させた場合、発生する連続エックス線の性質の変化として正しいものはどれか。

  1. A最短波長は短くなる
  2. B最高強度を示す波長は短くなる
  3. Cスペクトルの形状が変化する
  4. D全強度は管電流に比例して増加する
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正解:D全強度は管電流に比例して増加する

管電流を増加させると全強度は電流に比例して増加するが、最大エネルギーや最短波長などのスペクトル分布は変化しない。

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286原子番号が大きい元素をターゲットとして用いた場合、連続エックス線の発生について正しいものはどれか。

  1. A最短波長が長くなる
  2. B最大エネルギーが低くなる
  3. C全強度は原子番号に比例して増加する
  4. D全強度は原子番号に関係しない
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正解:C全強度は原子番号に比例して増加する

全強度はターゲットの原子番号に比例して増加する。

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287連続エックス線の全強度Iと管電流i、管電圧V、原子番号Zの関係を表す式はどれか。(kは比例定数)

  1. AI = kiVZ
  2. BI = ki²VZ
  3. CI = kiV²Z
  4. DI = kiV²Z²
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正解:CI = kiV²Z

連続エックス線の全強度は管電流に比例、管電圧の2乗に比例、原子番号に比例する。

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288単一エネルギーの細い線束のエックス線が物質を透過する際の減弱の式として正しいものはどれか。ただしI0は入射強度、μは減弱係数、xは厚さとする。

  1. AI = I0・exp(μx)
  2. BI = I0・exp(-μx)
  3. CI = I0・exp(-x/μ)
  4. DI = I0・exp(x/μ)
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正解:BI = I0・exp(-μx)

物質を透過した後の強度は、I = I0・exp(-μx) で表される。

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289コンプトン効果において、反跳電子と共に放出されるものはどれか。

  1. A光子
  2. B陽電子
  3. C中性子
  4. Dアルファ粒子
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正解:A光子

コンプトン効果では、入射光子が電子と衝突し、電子(反跳電子)を弾き出し、散乱光子が発生する。

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290光電効果に関する記述として正しいものはどれか。

  1. A主に原子の外殻電子と相互作用する
  2. B入射した光子は消滅する
  3. C散乱光子が発生する
  4. D物質の原子番号に依存しない
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正解:B入射した光子は消滅する

光電効果では、入射光子のエネルギーが軌道電子に吸収され、光子は消滅し光電子が放出される。

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291電子対生成が起こるために必要な入射エックス線のエネルギーの最小値はどれか。

  1. A0.51MeV
  2. B1.53MeV
  3. C2.04MeV
  4. D1.02MeV
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正解:D1.02MeV

電子対生成は、電子の静止質量の2倍に相当する1.02MeV以上のエネルギーが必要である。

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292光電効果が生じる確率は、入射エックス線のエネルギーが増大するとどうなるか。

  1. A増大する
  2. B一定である
  3. C低下する
  4. D急激に増大する
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正解:C低下する

光電効果の発生確率はエックス線エネルギーの約3.5乗に反比例するため、エネルギーが増大すると急激に低下する。

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293レイリー散乱に関する記述として正しいものはどれか。

  1. A散乱光子の波長が変化する
  2. B波長が変化しない弾性的衝突である
  3. C電子が放出される
  4. D光子が消滅する
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正解:B波長が変化しない弾性的衝突である

レイリー散乱は衝突の前後でエネルギー(波長)が変化しない弾性的衝突である。

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294放射線装置室の測定点の高さとして適切なものはどれか。

  1. A約1.0m
  2. B約0.5m
  3. C約1.5m
  4. D約2.0m
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正解:A約1.0m

法令および規定において、測定点の高さは作業床面上約1mの位置とされている。

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295X線管の内部が高度の真空状態である主な理由はどれか。

  1. Aエックス線の波長を短くするため
  2. Bターゲットの融点を上げるため
  3. C管電圧を安定させるため
  4. D熱電子の移動を妨げないため
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正解:D熱電子の移動を妨げないため

内部に気体分子があると熱電子の移動を妨げ、X線の発生効率が低下するため高度の真空が必要である。

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296ある管理区域において、作業者が立ち入る区域の1cm線量当量率の測定結果を算出する際、あらかじめ測定しておくべき値はどれか。

  1. Aバックグラウンド値
  2. B最大線量当量率
  3. C実効エネルギー
  4. D半価層
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正解:Aバックグラウンド値

測定結果は、測定値からバックグラウンド値を差し引いた値とする必要がある。

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297X線の作業主任者が行うべき測定方法として適切なものはどれか。

  1. A線量率の高い箇所から低い箇所へ測定する
  2. B線量率の低い箇所から高い箇所へ測定する
  3. C測定器を装着せずに測定する
  4. D一度の測定で評価を完了する
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正解:B線量率の低い箇所から高い箇所へ測定する

測定は、あらかじめ予想される1cm線量当量等の低い箇所から逐次高い箇所へと行っていく。

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298連続エックス線のスペクトルが線スペクトル(特性エックス線)と混在するものとなる条件はどれか。

  1. A管電圧が励起電圧を下回る
  2. B管電流を減少させる
  3. C管電圧が励起電圧を超える
  4. Dターゲットを交換する
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正解:C管電圧が励起電圧を超える

管電圧がターゲット元素に固有の励起電圧を超えると、特性エックス線が発生し、連続スペクトルと混在する。

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299X線管の焦点から1mの地点で線量率が12mSv/hであるとき、同じ方向の2mの地点での線量率はいくつか。

  1. A4mSv/h
  2. B6mSv/h
  3. C3mSv/h
  4. D24mSv/h
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正解:C3mSv/h

距離の逆2乗則により、1/2² = 1/4倍となり、12 / 4 = 3mSv/h となる。

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300コンプトン効果において、入射X線のエネルギーが高くなるとどうなるか。

  1. A後方に散乱されやすくなる
  2. B散乱されなくなる
  3. C前方に散乱されやすくなる
  4. D波長が短くなる
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正解:C前方に散乱されやすくなる

エネルギーが高くなると、コンプトン散乱線はより前方に散乱されやすくなる。

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301X線防護の3原則に基づき、被ばくを低減する方法として正しいものはどれか。

  1. A遮へい体を利用し、距離を保ち、時間を短縮する
  2. B遮へい体を利用し、距離を縮め、時間を長くする
  3. C遮へい体を避け、距離を保ち、時間を短縮する
  4. D遮へい体を避け、距離を縮め、時間を長くする
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正解:A遮へい体を利用し、距離を保ち、時間を短縮する

被ばくを低減には、遮へい、距離(離れる)、時間(短縮)が有効である。

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