2026/09/10

不活性ガス・ハロゲン化物・粉末を横に並べる乙種第3類

移動式の水平距離はハロゲン化物だけ20メートルで、噴射ヘッドは3設備とも令第16条を参照する形です。実技の鑑別等はどの免除パターンでも残るため、設備の見分けが直接効いてきます。

執筆:ケンテイラボ編集部(資格試験対策アプリ開発・運営)

消防設備士乙種第3類の免状で扱えるのは、不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備の3つです。1つの免状で3設備という構成は、学習の側から見ると「3つを別々に覚える」のか「まとめて覚える」のかがはっきりしない状態を作ります。

この記事では、その3設備を項目ごとに横並びで見ていきます。条文が3つを同じ扱いにしている箇所と、1つだけ別の数値を置いている箇所を分けて確認するのが目的です。

この整理が合否に直結するのは、実技(鑑別等)の存在があるからです。乙種第3類の科目免除はどのパターンでも実技5問を削れません。写真やイラストを見て「これはどの設備の何か」を言えるかどうかが、最後まで残り続けます。

「不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備」という一行

乙種消防設備士が整備できる設備は、消防法施行規則第33条の3第3項の表で指定区分ごとに決められています。第三類の欄に書かれているのが「不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備」という一行です。3設備がここで束ねられているために、免状も試験も1つになっています。

この3設備は、消防法施行令第36条の2第1項の第五号・第六号・第七号でも並んで登場します。消防設備士でなければ行えない工事・整備の対象として、号を分けたうえで順番に置かれている形です。

なお乙種でできるのは整備までで、工事に当たるには甲種第3類が必要になります。扱える設備の範囲は甲種でも同じ3つで、変わるのは工事ができるかどうかです。

移動式のホース接続口までの距離は、ハロゲン化物だけ20メートル

3設備を横に並べたときに、数値が1つだけ違う箇所があります。移動式の消火設備で、防護対象物の各部分からホース接続口までの水平距離です。

  • 不活性ガス消火設備 15メートル以下(消防法施行令第16条第三号)
  • ハロゲン化物消火設備 20メートル以下(同第17条第二号)
  • 粉末消火設備 15メートル以下(同第18条第二号)

不活性ガスと粉末が同じ値で、ハロゲン化物だけが離れています。3つとも同じだと思い込んでいると1問落とし、3つとも違うと思い込んでいると余計な区別を覚えることになります。数値の並び方そのものを覚えておく箇所です。

条文の番号にも注意しておくと整理しやすくなります。技術上の基準は、不活性ガス消火設備が令第16条、ハロゲン化物消火設備が令第17条、粉末消火設備が令第18条と、3設備が連番で並んでいます。設備名と条文番号を一緒に覚えておくと、どの規定の話をしているのかを取り違えにくくなります。

噴射ヘッドは、条文が「不活性ガス消火設備の例による」と投げている

一方で、3設備が同じ扱いになる箇所もあります。噴射ヘッドの設置です。ハロゲン化物消火設備の令第17条第一号も、粉末消火設備の令第18条第一号も、不活性ガス消火設備の例によると書いて、令第16条を参照する形になっています。

つまり噴射ヘッドについては、不活性ガス消火設備の規定を読んでおけば3設備分がカバーされます。設備ごとに別の条文を探しにいく必要はありません。

ここで押さえておきたいのは、共通で処理される部分と個別に分かれる部分が同じ条文のなかで入り組んでいることです。同じ令第17条のなかで、第一号は不活性ガスを参照し、第二号は独自の20メートルという数値を置いています。条文をまたいで比較するのではなく、号の単位で比較する必要があります。

収録問題は3設備を「ガス側」と「粉末側」の2分野に切っている

ケンテイラボに収録している乙種第3類の559問は、8つの分野に分かれています。このうち消火設備そのものを扱う分野は2つで、不活性ガスとハロゲン化物が1つの分野にまとめられ、粉末が別の分野に置かれています。

  • 消火設備①不活性ガス・ハロゲン化物 87問
  • 消火設備②粉末・各種機器 72問

この切り方には理由があります。不活性ガスとハロゲン化物はどちらもガスを放出する設備で、貯蔵容器・選択弁・起動用ガス容器・放出表示灯といった構成要素が重なります。対して粉末消火設備は、粉体を運ぶために加圧用ガスを使うぶん、機器の顔ぶれが変わります。

粉末側にしか出てこない機器を、先に切り離しておく

粉末消火設備の収録問題には、他の2設備の問題には出てこない語が並びます。定圧作動装置、クリーニング弁、排気弁、加圧用ガスといったものです。

問われ方も、機器の名前を答えさせるだけでは終わりません。収録問題には、加圧式の粉末消火設備に定圧作動装置が設けられている理由を選ばせるもの、消火剤が放出される直前の各弁の開閉状態を答えさせるもの、クリーニング操作で加圧用ガスを貯蔵タンクを経由させずに配管へ送り込む理由を問うものが含まれています。

動作の順番と、その順番になっている理由がセットで問われる形です。粉末は消火剤が粉体なので、放出後に配管へ残るぶんの手当てが要る、という性質が背景にあります。この一群は不活性ガスやハロゲン化物の学習とは切り離して、粉末専用の項目として抱えておくほうが混ざりません。

ガス側は、防護区画にいる人をどう逃がすかが一緒についてくる

不活性ガスとハロゲン化物の収録問題では、機器そのものより「放出する前後に何が起きるか」を問うものが目立ちます。防護区画の出入口に設ける放出表示灯の役割、起動時に鳴動する音響警報装置の目的、防護区画に隣接する部分への漏洩に対する安全対策、放出前の退避指令の放送を示す標識の内容といったものです。

複数の防護区画で貯蔵容器を共用する場合に必要な機器を答えさせる問題や、選択弁を設置する場所の条件を問う問題もあります。1つの容器群から複数の区画へ送るという構成が、機器の配置と安全対策の両方に効いてくる形です。

放出表示灯は粉末側の収録問題にも出てきます。共通する機器と、片側にしかない機器を分けておくと、実技で写真を見たときの絞り込みが速くなります。

放出方式ごとに、選べる消火剤の幅が違う

消火設備には全域放出方式・局所放出方式・移動式という区分があります。収録問題には、局所放出方式が適用できる消火剤を選ばせる問題、全域放出方式と局所放出方式の両方が認められている消火剤を選ばせる問題、移動式の不活性ガス消火設備として認められている消火剤を選ばせる問題が並んでいます。

つまり「どの消火剤でも3方式すべてが使える」わけではない、という前提で問いが作られています。設備名だけを縦に覚えていると、この形式の問題で手が止まります。消火剤と方式を掛け合わせた表の形で持っておくのが安全です。

局所放出方式については、防護空間の範囲を問うもの、面積方式で必要消火剤量の計算の基礎になる数値を問うもの、噴射ヘッドの設置上の注意点を問うものも収録しています。方式ごとに考え方が変わる箇所です。

鑑別等で問われるのは「どの設備の何か」を言い当てる力

実技(鑑別等)は、写真・イラスト・図面等による記述式です。四肢択一ではないので、名前が思い出せないと空欄になります。しかも乙種第3類では、科目免除をどう積んでも鑑別等5問は残ります。

消防試験研究センターが公開している乙種の過去問題には、粉末消火設備(全域放出方式)の配管構成を何形式と言うかを問い、さらにその構成にする理由を書かせるものがあります。設備名・方式・部位・理由が一続きで問われる形です。

この出題は配管を扱っている点でも第3類らしいものです。消防法施行令第36条の2第1項では、屋内消火栓設備などについて電源・水源・配管の部分が除かれるのに対し、第五号から第七号の3設備で除かれるのは電源の部分だけです。配管が消防設備士の範囲に入っているので、配管の構成が実技で問われます。

3設備が混ざっていないかを確かめる解き方

3設備を横並びで扱うときに効くのは、項目を先に決めてから設備を当てはめる順番です。移動式の水平距離、噴射ヘッドの根拠条文、放出方式の可否、専用の機器という項目を立て、そこへ3設備を入れていきます。設備ごとに章を分けて覚えると、共通部分を3回覚え直すことになります。

確認のときは、答えられたかどうかだけでなく「なぜその設備だと判断したか」を言葉にしてみてください。放出表示灯のように3設備に共通する要素で判断していると、鑑別等で設備を取り違えます。定圧作動装置やクリーニング弁のように片側にしかない要素を根拠にできているかどうかが分かれ目です。

ケンテイラボの乙種第3類は559問を分野別に解けます。ガス側の分野と粉末側の分野を続けて解いて、同じ項目で答えが入れ替わっていないかを確かめる、という使い方ができます。

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