2026/09/10

観光英語検定3級の合格率59.1%を分解する

第51回は受験者296人のうち175人が合格しました。基準点は筆記29点・リスニング22点で、要求される割合は2級より低くなります。どこで落ちるのかを制度と出題の両面から見ます。

執筆:ケンテイラボ編集部(資格試験対策アプリ開発・運営)

観光英語検定試験3級の第51回(令和8年6月28日実施)は、志願者324人・受験者296人・合格者175人でした。合格率は対受験者59.1%、対志願者54.0%です。受験率は志願者に対して91.4%でした。

同じ回の2級が対受験者61.2%なので、3級と2級の合格率はほとんど変わりません。数字だけを比べても級の差が見えないので、本記事では基準点と出題範囲の側から難しさを見ていきます。

3級の基準点は筆記58%・リスニング55%だった

第51回3級の合格基準点は、筆記が50点満点中29点以上、リスニングが40点満点中22点以上です。割合に直すと筆記58%、リスニング55%になります。

同じ回の2級は筆記33点(66%)・リスニング24点(60%)でした。満点は級によらず同じで、要求される点数だけが上がる形です。3級と2級で合格率が近いのは、この基準点の差が受験者層の差を吸収しているためだと考えられます。

ただし基準点は事前に固定されていません。協会の自己評価シートには、試験終了後に作問委員が問題内容と正答率を分析して筆記とリスニングそれぞれの合格基準点を決定する、と書かれています。29点・22点はあくまで第51回の値です。

したがって「6割取れば通る」という目安は、この試験では持てません。回によって線が動く前提で、余裕を持った水準を目標にする必要があります。

合計90点でも、片方が届かなければ落ちる

公式には「各級とも、筆記・リスニング両科目がそれぞれ合格基準点以上の場合のみ合格とします。合計点によるものではありません」と明記されています。筆記50点満点とリスニング40点満点で合計90点満点ですが、この合計は合否に使われません。

第51回の3級であれば、筆記で50点を取ってもリスニングが21点なら不合格です。逆にリスニングが40点満点でも筆記が28点なら落ちます。英語が得意でリスニングだけ苦手、という人がつまずきやすい構造です。

3級では筆記58%・リスニング55%と、要求される割合はリスニング側のほうがわずかに低くなっています。とはいえ55%は半分を超える水準です。聞き取りをまったく捨てることはできません。

範囲が観光の場面に閉じていることは、有利にも不利にも働く

公式の出題の基本方針では、3級の範囲は「曜日、時刻、数字(単位含む)、英語の掲示やパンフレット、地名、世界と日本の観光名所、日本の祭りや年中行事また民芸品、あいさつ等、観光・旅行に必要となる初歩的な英語および英語による日常会話」とされています。

範囲が観光の場面に絞られているぶん、出てくる語彙は限られます。到達レベルの目安も約3,000語の語彙力と基本的な文法・構文(高等学校中等学年程度の学習内容)で、英語そのものの水準は高くありません。ここは有利に働く部分です。

一方で、日本の祭り・年中行事・民芸品が範囲に入っている点は見落とされがちです。これらは一般的な英語学習では出てきません。英語力があっても、この語彙を持っていなければ答えられない問題があります。

協会の説明でも、出題は空港・交通・ホテル・観光・ショッピング等の実際の場面を想定したものに加え、観光に必須の文化(国内外・異文化)・地理・歴史の知識も問われるとされています。英語の試験としてだけ準備すると、この部分で取りこぼします。

リスニングは聞き直せない全体放送

受験案内には、リスニング試験は受験者一人ひとりにICプレーヤー等を配布する個別音源方式ではなく、各試験教室ごとにCDプレーヤー等を用いる全体放送方式で実施する、と明記されています。

3級のリスニングは40問を14時00分から14時35分頃までの一斉放送で受けます。止めることも戻すこともできず、解答用紙への転記時間も別に設けられていません。放送中にマークまで終える必要があります。

手元の機器で自分のペースで聞く練習しかしていないと、この条件で実力どおりの点が出ません。過去問題集や、会場で流れた音源が同梱される公式の回次別解説書を使って、止めずに通す形で練習しておく必要があります。

また、筆記(13時00分から14時00分)に続けて同じ席でリスニングを受けます。試験中はスマートフォンや腕時計型の情報端末を時計代わりに使うことも禁止されているため、腕時計の持参が案内されています。

科目免除がなく、毎回2科目とも受ける

3級には科目免除・一部免除の制度がありません。筆記とリスニングを毎回受け、両方で基準点を取る必要があります。前回リスニングだけ届かなかった、という場合でも筆記からやり直しです。

救済措置としては、公共交通機関の事故等で欠席となった場合に、事故証明書などの提出があったときに限り次回の試験を無料で受けられる制度があります。一方、台風・大雪等の悪天候や災害で試験が実施できなかった場合の後日実施・再試験・受験料返金はありません。

試験は年2回で、3級は両回とも実施されます。令和8年度は第51回が令和8年6月28日、第52回が令和8年10月25日でした。落ちた場合、次は約4か月後になります。

受験者数の少なさが準備のしにくさになる

第18回(平成18年10月29日実施)の3級は志願者4,070人・受験者3,693人・合格者2,118人でした。第51回は志願者324人・受験者296人・合格者175人です。合格率は57.4%から59.1%(いずれも対受験者)とほぼ変わらないまま、受験者数だけが約12分の1になっています。

協会自身も自己評価シートで、少子化等の社会環境の変化により会員校数と各会員校の学生数が減少し、組織の規模は縮小していると記載しています。

難易度そのものというより、対策情報の少なさとして影響します。市販教材の選択肢が限られ、公式の教材と過去問題集が実質的な軸になります。ケンテイラボには3級の対策問題を465問収録しているので、筆記側の語彙と読解の確認に使ってください。

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