2026/09/10

合格ラインが試験のあとで決まる観光英語検定2級

基準点は事前に固定されておらず、作問委員が正答率を分析してから筆記とリスニングそれぞれに設定します。第51回は33点と24点でした。目標点をどこに置くべきかを考えます。

執筆:ケンテイラボ編集部(資格試験対策アプリ開発・運営)

観光英語検定試験2級の第51回(令和8年6月28日実施)は、志願者236人・受験者224人・合格者137人でした。合格率は対受験者61.2%、対志願者58.1%です。数字だけを見れば6割が通る試験に見えます。

ただしこの試験は、何点取れば合格なのかが受験の時点では決まっていません。難易度を考えるうえで、まずここを押さえる必要があります。

基準点は作問委員が試験のあとに決めている

協会が公開している検定試験の自己評価シートには、試験終了後に作問委員が問題内容と正答率を分析し、筆記とリスニングそれぞれの合格基準点を決定する、と書かれています。決まった値は回ごとに合格率のページで公表されます。

第51回の2級は、筆記が50点満点中33点以上、リスニングが40点満点中24点以上でした。公式ページの見出し自体が「第51回の合格基準点について」となっていて、回ごとに設定される前提が読み取れます。

作問委員会は前回試験などと比較検討して合格基準が変わらないよう対応しているとされています。とはいえ、受験する側から見れば目標点を基準点ちょうどに置けません。前回が33点だったから今回も33点、という保証がないからです。

難易度の実感としては、「6割強を取れば通る」ではなく「6割強では回によって落ちうる」と捉えるほうが安全です。7割を安定して超える状態まで持っていけば、基準点が多少動いても影響を受けません。

筆記66%・リスニング60%という要求の非対称

第51回の基準点を割合に直すと、筆記が66%、リスニングが60%です。同じ6割ではありません。しかも公式には「各級とも、筆記・リスニング両科目がそれぞれ合格基準点以上の場合のみ合格とします。合計点によるものではありません」と明記されています。

90点満点という数字は集計上のものであって、合否の判定には使われません。筆記が50点満点でもリスニングが23点なら不合格です。片方の貯金がもう片方を助けない構造になっています。

同じ回の3級は筆記29点(58%)・リスニング22点(55%)でした。2級のほうが要求は高く、その差は筆記で8ポイント、リスニングで5ポイントです。級が上がると満点は変わらないまま要求だけが上がります。

3級との差は約2,000語と、単独で処理できるかどうか

公式が示す級別の到達レベルは、3級が約3,000語の語彙力と基本的な文法・構文(高等学校中等学年程度の学習内容)、2級が約5,000語の語彙力と適切な文法・構文(高等学校修了程度)です。語彙で見れば約2,000語の差になります。

到達目標のほうがより具体的です。3級は「海外グループ旅行の時、少数の同僚と一緒に英語を使って行動することが出来る」「国内で外国人に道案内やパンフレット類を英語で説明出来る」。2級は「海外で個人旅行の旅程を組み、乗り物やホテルを予約し、単独で観光・買物を英語で対処できる」「国内で外国人に観光地や名所旧跡を英語で紹介できる」です。

誰かと一緒に行動できる水準から、単独で処理できる水準へ。この差が、語彙の量よりも2級の難しさを説明していると思います。予約を取る、トラブルに対処する、名所を説明するといった場面では、決まり文句を知っているだけでは足りません。

2級の出題範囲には「(3級の範囲を含む)」と公式に明記されています。3級の内容が消えるわけではなく、その上に積む形です。

英語力だけでなく、文化・地理・歴史も問われる

協会の説明では、出題傾向は空港・交通・ホテル・観光・ショッピング等の実際の場面を想定したものに加えて、観光に必須の文化(国内外・異文化)・地理・歴史の知識も問われるとされています。

英語の資格試験として準備していると、この部分が抜けます。名所旧跡を英語で紹介できることが到達目標に入っている以上、紹介する中身の知識も測られます。英語の運用能力が十分でも、日本の年中行事や建築様式を英語で言えなければ答えられません。

難易度を左右するのは、この二方向を同時に積む必要があることです。一般的な英語学習の教材には出てこない語彙が範囲に入っているので、観光英検向けの教材で補うほうが早くなります。

1級とは断絶があり、2級が実質の上限になる

2級と3級は筆記+リスニングの4択マークシートで、年2回、第52回(秋)は札幌から沖縄まで9ブロックで実施されます。これに対し1級は令和2年度の改定で「筆記(記述式)10分+ネイティブとの面接約10分」に変わり、実施は秋の回だけ、会場も東京・大阪の2会場に限られます。

第51回の1級は志願者22人・受験者19人・合格者1人で、合格率は対受験者5.3%でした。2級の61.2%とは様相がまったく違います。1級の到達レベルは約8,000語の語彙力と、専修学校修了以上の学習内容または最低2〜3年以上の業務経験です。

受験資格はどの級にもありません。1級についても協会の改定案内に「受験資格 特になし。どなたでも受験いただけます。」と明記されています。それでも形式と水準を踏まえると、マークシートで到達できる実質的な上限は2級だと考えたほうが計画は立てやすいはずです。

受験規模は20年で10分の1以下になっている

公式サイトに残る第18回(平成18年10月29日実施)の2級は、志願者2,459人・受験者2,260人・合格者1,068人で、合格率は対受験者47.3%でした。第51回は志願者236人・受験者224人・合格者137人で61.2%です。

受験者は約10分の1になり、合格率のほうは上がっています。協会自身も自己評価シートで、少子化等の社会環境の変化により会員校数と各会員校の学生数が減少し、組織の規模は縮小していると記載しています。

受験者数が少ないということは、市販の対策教材や受験者の情報も限られるということです。難易度そのものというより、準備のしやすさに影響してきます。公式の回次別解説書が実質的な過去問になるのは、この事情と無関係ではありません。

当日の作りが取りこぼしを生みやすい

2級は筆記(10時15分から11時15分)に続けて、同じ席でリスニング(11時15分から11時50分頃)を受けます。公式の受験上の注意には「試験開始後の中途退出はできません。(リスニング試験が受けられなくなります。)」とあります。

リスニングは解答用紙への転記時間が別に設けられていません。放送中にマークまで終える必要があります。あとでまとめて写す前提で解いていると間に合いません。また辞書・参考書の持ち込みは全面的に禁止されています。

リスニングは教室ごとにCDプレーヤー等を用いる全体放送方式です。手元の機器で自分のペースで聞くのとは条件が違います。ここに慣れていないと、実力どおりの点が出ません。会場で流れた音源が付く公式の回次別解説書が対策として意味を持つのは、この点です。

ケンテイラボには2級の対策問題を413問収録しています。筆記側の語彙と読解の確認に使えますが、リスニングは音声を伴うため代替できません。筆記とリスニングが別勘定である以上、進捗も分けて測ることになります。

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