医療秘書技能検定2級の難しさを数字で見ようとすると、最初に扱いに困るのが合格率です。一般社団法人 医療秘書教育全国協議会が実施している検定で、級は1級・準1級・2級・3級の4段階、試験は6月と11月の年2回行われています。受験資格の制限はなく「どなたでも受験できます」と案内されているので、入り口そのものは広い試験です。
この記事で使う合格率と平均得点は、機関誌『医療秘書教育全協誌』Vol.24 所収の「MS全協ニュース No.73」に載っている第72回(2024年6月実施)の数値です。協議会のウェブサイトで合格率の一覧ページは見つけられなかったため、確認できた回の数字だけを扱います。第74回(2025年6月実施)以降の結果は今回確認できていないので、以下の数字を最新のものとして読まないでください。
それでも第72回の数値は、この検定の合否がどこで分かれるのかをかなり具体的に示してくれます。以下では、級別の合格率の並び、平均得点と合格ラインの距離、前半と後半で大きく違う時間の配分、そして解答形式の改定が何を変えたのかを順に見ていきます。制度の記述は協議会の試験案内・審査基準・個人受験・受験願書・書籍情報・よくあるお問い合わせの各ページと、2級領域Ⅲの新様式サンプル、機関誌Vol.24・Vol.25によります。分野ごとの内訳はケンテイラボが収録している577問の集計です。
第72回は2級68.9%で、3級56.0%より高い値でした
第72回の2級の結果は、志願者788人・受験者759人・合格者523人・合格率68.9%と報告されています。同じ回の他の級は1級14.0%、準1級48.3%、3級56.0%でした。全級を合わせると受験者1,393人・合格者851人で、2級の受験者759人は全体の半分を超えています。2級がこの検定のいちばん人の多い級だということが、まずこの数字から読み取れます。
並べてみると、級が上がるほど合格率が下がるという順番になっていません。2級の68.9%が3級の56.0%を上回っています。合格基準は全級共通で、領域Ⅰ・Ⅱ・Ⅲに各100点の計300点満点、合計180点以上かつ各領域の正解が60%以上という絶対基準です。級によって合否の線の引き方が変わるわけではないので、この逆転を「2級のほうが易しい」と読むことはできません。
線が同じなら、残る違いは受験する人の集まり方です。この検定は会員校を通じた団体受験が主体で、個人受験の一般会場は会員校の一部に限られます。級ごとの受験者の内訳、たとえば在学中の学生と個人受験者の比率については公表を確認できていないため、ここは断定できません。ただ、3級を最初の挑戦として受ける人と、3級を経てから2級に進む人では、準備の状態が同じではないと推定されます。
一方で、1級14.0%と準1級48.3%の落差は無視できない大きさです。上の級では審査基準の文言そのものが変わり、領域Ⅲで扱うレセプトの重さも上がります。合格率の並びを難易度の序列としてそのまま使うのではなく、2級の68.9%は「2級を受ける段階まで来た人たちの中での通過率」として受け止めるのが妥当なところです。
- 第72回(2024年6月実施)2級は志願者788人・受験者759人・合格者523人・合格率68.9%
- 同じ回の他の級は1級14.0%・準1級48.3%・3級56.0%で、全級合計は受験者1,393人・合格者851人
- 合格基準は全級共通の絶対基準(計300点満点で合計180点以上かつ各領域60%以上)なので、級ごとに線の位置は動かない
- 級別の受験者内訳は公表を確認できていないため、合格率の差をそのまま級の難易度の差として扱わない
平均得点214.1点と、合格ライン180点のあいだの34.1点
難易度を測るもう一つの角度が、平均得点と合格ラインの距離です。第72回2級の領域別平均得点は、領域Ⅰが70.1点、領域Ⅱが76.6点、領域Ⅲが67.4点、合計214.1点でした(各領域100点満点)。合計の合格ラインは180点なので、平均的な答案は合計の条件を34.1点上回っていたことになります。
相対評価の試験であれば平均点の位置にあまり意味はありませんが、この検定は線が固定された絶対基準です。合計180点という線の上に平均があるという状態は、合格率68.9%という結果と素直に整合します。合計点だけを見るかぎり、標準的な準備で手が届かない水準の試験ではない、という読み方ができます。
ただし注意したいのは、合計180点が3領域平均でちょうど6割にあたることです。合計の条件が「平均6割」で、領域ごとの条件も「6割」なので、二つの条件が同じ高さに並んでいます。得意な領域で稼いだ分が苦手な領域の不足を埋めてくれる構造になっていないため、合計点の34.1点の余裕は、そのまま安心材料にはなりません。
- 第72回2級の領域別平均は領域Ⅰ70.1点・領域Ⅱ76.6点・領域Ⅲ67.4点で、合計214.1点
- 合計の合格ライン180点に対して、平均はその34.1点上にあった
- 相対評価ではなく絶対基準なので、平均点の位置と合格率は連動して動く
- 領域Ⅲの明細書部分は問31〜38が各2点・問39〜46が各3点と公表されているが、設問1や領域Ⅰ・Ⅱの配点は確認できない
領域Ⅲの平均67.4点から、60点の壁までは7.4点
領域別に見ると、余裕の大きさが3領域でそろっていません。各領域60%以上という条件は、100点満点の各領域で60点という意味です。第72回の平均から60点までの距離は、領域Ⅰが10.1点、領域Ⅱが16.6点、領域Ⅲが7.4点でした。
領域Ⅲだけが7.4点の幅に収まっているということは、平均と足切りの差が他の領域より薄いということです。得点分布や領域別の60点未満者数は公表されていないので、答案がどう散らばっているかまでは分かりません。この検定で合否が分かれる場所を1か所だけ挙げるなら、第72回の数字が示しているのは領域Ⅲです。合計点で200点を超えていても、領域Ⅲが59点なら不合格になります。
領域Ⅲの中身は医療事務で、診療報酬点数表の理解と、レセプト(診療報酬明細書)の作成にあたる部分です。2級ではこの領域が軽度な入院事例を扱う水準に設定されており、診断群分類別包括支払制度と「厚生労働大臣が別に定める施設基準」の基本的な知識も範囲に入ります。収録577問のうち「施設基準」に言及する問題は2問、「包括」に言及する問題は4問で、一問一答の形で数をこなすより、算定の手順の中で扱う内容だと分かります。
対照的に、領域Ⅱの76.6点には形式の変化が関係しています。機関誌Vol.24では検定委員長が、領域Ⅱの76.6点は過去4回で最高であり、漢字問題が選択式になったことを要因として推測していると述べています。同じ回の中で、形式の改定によって平均が上がった領域と、足切りのすぐ上に平均が来ている領域が並んでいたことになります。
- 各領域60%以上は100点満点で60点。第72回2級の平均からの距離は領域Ⅰ10.1点・領域Ⅱ16.6点・領域Ⅲ7.4点
- 平均がもっとも低いのは領域Ⅲの67.4点で、合計点が足りていても領域Ⅲが60点未満なら不合格になる
- 2級の領域Ⅲは軽度な入院事例のレセプト作成水準。包括支払制度と施設基準の基本的な知識も含まれる
- 領域Ⅱの76.6点は過去4回で最高で、機関誌では漢字問題が選択式になったことが要因と推測されている
第73回の前半は100問を55分、新様式の後半は46問を60分
時間の配分も難易度の一部です。2級の試験時間帯は15時00分から17時00分ですが、その中身は問題①「医療秘書実務」から「医療関連知識」まで(領域Ⅰ・Ⅱ)が55分、問題②「医療事務」(領域Ⅲ)が60分の2部構成です。これは機関誌Vol.24に掲載された第73回(2024年11月10日実施)2級の問題冊子の表紙に明記されています。
同じVol.24には第73回2級の問題本体も掲載されており、問番号から構成が分かります。問題①は【医療秘書実務】が10問、【医療機関の組織・運営、医療関連法規】が40問で領域Ⅰが計50問、【医学的基礎知識・医療関連知識】が50問で領域Ⅱが50問という並びでした。合わせて100問を55分で処理する計算になり、単純に割れば1問あたり33秒です。
後半は別のペースになります。協議会が公開した2級領域Ⅲの新様式サンプルでは、設問1が診療報酬算定の正誤判定10問、設問2が診療録から診療報酬明細書を完成させて解答番号を選ぶ問11〜問46の36問で、計46問です。60分で46問なら1問あたり約1分18秒で、前半の約33秒の2倍強にあたります。前半が判断の速さを問う時間、後半が1件の診療録を読み込んで組み立てる時間という配分です。なお前半の100問は第73回(旧様式)の問題冊子から数えた実測で、協議会は出題問題数を公表していません。
この落差が、難しさの感じ方を人によって大きく分けます。知識の想起が速い人は前半で余裕を作れますが、その余裕を後半に持ち越すことはできません。問題①と問題②は綴じ合わせになっており、問題①の時間中に問題②を開くと答案が全部無効になるためです。前半55分と後半60分は、実質的に別々の試験として設計されていると考えたほうが実態に合います。
- 2級は問題①55分(領域Ⅰ・Ⅱ)と問題②60分(領域Ⅲ)の2部構成で、試験時間帯は15時00分から17時00分
- 第73回2級の問題①は領域Ⅰ50問(実務10問+組織・運営と医療関連法規40問)と領域Ⅱ50問の計100問
- 新様式サンプルの領域Ⅲは正誤判定10問と明細書の完成36問で計46問
- 1問あたりに使える時間は前半が約33秒、後半が約1分18秒と2倍以上違う
選択式にすれば速くなる、とはならなかった
解答形式は2024年から2025年にかけて続けて改定されました。2024年6月実施の第72回から領域Ⅱの記述解答問題がマークシート解答形式になり、2025年6月実施の第74回から領域Ⅲの診療報酬請求明細書の記述解答(設問A〜J)もマークシート形式に改められています。対象は2級と3級です。
記述が消えれば時間に余裕が出ると考えるのが自然なところですが、機関誌Vol.25の研修会報告では領域Ⅲのチーフ検定委員が別のことを書いています。記述式廃止で試験時間に余裕が出るという予想もあったものの、実際には選択解答方式に慣れていないと時間がかかる結果が出ている、という報告です。形式が易しくなったから所要時間が短くなる、という関係ではなかったことになります。
同じ報告では、明らかに間違っている解答選択肢をいち早く消していくことも大事であり、それは医療現場における点検業務に通じるとも指摘されています。並んだ候補の中から正しい組み合わせを選ぶ作業は、白紙に書き込む作業とは別の速さを要求します。難しさの質が「書けるかどうか」から「見分けられるかどうか」に寄った、という整理ができます。
なお新様式の設問1には、①または②のみにマークする機械的な回答は該当する全ての設問を0点とするという規定があります。正誤判定を片側で埋めて確率に頼る解き方は成立しません。マークシートになったこと自体を難易度が下がった証拠として受け取るのは早い、というのがこのあたりの読み方です。
- 領域Ⅱのマークシート化は第72回(2024年6月実施)から、領域Ⅲは第74回(2025年6月実施)から
- 領域Ⅲでは答案用紙がマークシート部分のみになり、明細書部分の解答選択肢は問題冊子から分離した設問用紙として配られる
- 検定委員は「選択解答方式に慣れていないと時間がかかる」と報告している
- 新様式の正誤判定には、片側だけを機械的にマークした場合に該当設問を全て0点とする規定がある
解体新書と医療法の条文が、同じ100点のなかに同居しています
領域Ⅰの難しさは、内容の深さよりも範囲の遠さにあります。領域Ⅰは「医療秘書実務」と「医療機関の組織・運営、医療関連法規」の2科目で構成され、第73回2級ではこの領域だけで50問が出ていました。医療法の定義や人員配置の基準といった法規の知識と、接遇や院内外文書の実務、さらに医学史や医療統計が、同じ100点の中に同居します。
この広がりは、ケンテイラボが収録している問題の内訳にも表れます。収録577問のうち「医療法」に言及する問題は20問で、そのうち19問が③医療機関の組織運営と医療法規の分野です。同じ分野には、解体新書・杉田玄白・シーボルト・華岡青洲・野口英世のいずれかに言及する問題が10問含まれます。収録問題では医事統計の国際比較にも触れており、「保有台数」「OECD」「経済協力開発機構」のいずれかに言及する問題が4問あります(協議会の審査基準は領域Ⅰに「一般的な医事統計についての知識」を挙げており、国際統計を指すとは書かれていません)。
基準の数値そのものを問う形もあります。収録577問のうち「人員配置」「標準」「面積」のいずれかに言及する問題は11問で、③が7問、④医療保険制度と保険給付が3問、①医療秘書実務・接遇と患者応対が1問という分かれ方です。条文の数値と、歴史上の人物や国際比較の統計が隣り合っているのが領域Ⅰの姿だと言えます。
法規や統計の反対側には、窓口と院内で判断する実務の知識が並びます。収録577問のうち「認知症」に言及する問題は9問で、①医療秘書実務・接遇と患者応対が4問、⑥循環器・脳神経・呼吸器・感覚器の疾患が3問、⑦消化器・代謝・感染症の疾患が2問と、応対の分野と疾患の分野にまたがっています。「席次」に言及する問題は5問で、すべて②医療秘書実務・院内外文書とファイリングです。同じ領域Ⅰの中に、条文の数値と、患者や上司への振る舞いを問う設問が併存していることになります。
領域Ⅰで6割を確保するというのは、この性質の違う知識をひととおり取りこぼさない状態を作ることを意味します。第72回の領域Ⅰの平均は70.1点で、60点までの距離は10.1点でした。一つのテーマを深く掘るよりも、抜けを作らないことが効いてくる領域だと読めます。
- 収録577問のうち「医療法」に言及する問題は20問(③が19問、①が1問)
- 解体新書・杉田玄白・シーボルト・華岡青洲・野口英世のいずれかに言及する問題は10問で、すべて③
- 「保有台数」「OECD」「経済協力開発機構」のいずれかに言及する問題は4問で、すべて③
- 「人員配置」「標準」「面積」のいずれかに言及する問題は11問(③7問・④3問・①1問)
数字を覚える分野と、用語を見分ける分野に割れています
同じ「6割」を取る作業でも、分野によって必要な負荷の種類が違います。次の表は、ケンテイラボに収録している577問を8つの分野に分け、分野ごとの問題数、問題文または選択肢に数値が登場する問題の割合、問題文の平均文字数を並べたものです。どの分野が数字の暗記寄りで、どの分野が読み取りや判別寄りなのかを確かめる材料として見てください。
分野別の学習タイプ(収録577問の集計)
ケンテイラボに収録している医療秘書技能検定2級の問題を分野別に集計し、 「問題文または選択肢に数値が登場する問題の割合」と「問題文の平均文字数」を出しました。 数値の割合が高い分野は具体的な数字の暗記が得点を左右しやすく、 低い分野は用語の理解や文章の読み取りが中心になる傾向があります。
この試験でもっとも数値の比率が高いのは「③ 医療機関の組織運営と医療法規」で40%、 もっとも低いのは「⑧ 検査・画像診断・薬剤・医学英語」で4%でした。 また問題文がもっとも長いのは「③ 医療機関の組織運営と医療法規」の平均47字で、 設問を読み解く負担が大きい分野といえます。
- ① 医療秘書実務・接遇と患者応対:76問/数値を含む問題 5%/問題文 平均35字
- ② 医療秘書実務・院内外文書とファイリング:65問/数値を含む問題 34%/問題文 平均31字
- ③ 医療機関の組織運営と医療法規:68問/数値を含む問題 40%/問題文 平均47字
- ④ 医療保険制度と保険給付:57問/数値を含む問題 32%/問題文 平均42字
- ⑤ 人体の解剖生理:75問/数値を含む問題 4%/問題文 平均36字
- ⑥ 循環器・脳神経・呼吸器・感覚器の疾患:88問/数値を含む問題 10%/問題文 平均31字
- ⑦ 消化器・代謝・感染症の疾患:74問/数値を含む問題 7%/問題文 平均27字
- ⑧ 検査・画像診断・薬剤・医学英語:74問/数値を含む問題 4%/問題文 平均29字
数値の比率が高い分野は、数字を単独で覚えるより 「どの制度の・何の基準か」とセットで整理すると定着しやすくなります。 比率が低い分野は、似た用語同士の違いを説明できる状態を目指すと得点が安定します。
数値を含む問題の割合は、③医療機関の組織運営と医療法規が40%、②医療秘書実務・院内外文書とファイリングが34%、④医療保険制度と保険給付が32%と高く、⑤人体の解剖生理と⑧検査・画像診断・薬剤・医学英語はいずれも4%です。割合が高い3分野は領域Ⅰの範囲に近く、低い2分野は領域Ⅱの範囲に近い並びです。ただし④医療保険制度と保険給付は、領域Ⅰの社会保障制度と領域Ⅲの保険各法の両方にかかるので、自社の分野区分と協議会の領域区分は1対1には対応しません。領域による性格の違いが、収録問題の側からも確認できる形です。
問題文の平均文字数も③が47字で最も長く、⑦消化器・代謝・感染症の疾患は27字です。領域Ⅰ側は条件つきの数値を読み取る設問が多く、領域Ⅱ側は用語や疾患名を1対1で判別する設問が多い、という差として現れています。学習時間を「この検定に何時間」とまとめて見積もるのではなく、領域ごとに別に測ったほうが実態に近くなります。
資料を持ち込める領域が、いちばん平均の低い領域でした
ここで改めて確認しておきたいのが、領域Ⅲの受験条件です。領域Ⅲにあたる問題②に限って、電卓・ノート・参考書等の持ち込みが自由で、診療報酬点数表は必携とされています。薬価は問題に添付または記載されるため覚える対象ではなく、電子機器の使用は認められていません。一方の問題①では参考書等を持ち込めません。
つまり第72回の数字は、「何も見られない領域Ⅰ・Ⅱより、資料を見ていい領域Ⅲのほうが平均が低かった」という形になっています。領域Ⅰ70.1点・領域Ⅱ76.6点に対して領域Ⅲが67.4点です。この検定の難しさが記憶量だけで決まっていないことを、これほど分かりやすく示す数字はありません。
持ち込みが許される試験で点が伸びない理由は、答えが資料のどこにあるかを探す作業に時間がかかることと、探した内容を明細書の欄へ正しく結び付ける手順が別に必要なことです。前の見出しで見たとおり、後半は46問に60分ですが、その中で診療録を読み、算定の可否を判断し、欄ごとの解答番号を選ぶところまで進めることになります。点数表を持っているかどうかではなく、引ける状態になっているかどうかが結果に出る領域です。
教材の版も影響します。領域Ⅲでは点数算定の基準日が回ごとに問題冊子で明示され、第73回2級では「2024年10月1日現在で施行されている法令・通知により算定すること」と示されていました。手元の資料が古い点数のままだと、探す作業自体は同じでも答えが合いません。2026年度に適用される基準日の告知は今回見つけられなかったため、受験する回の基準日は当日の冊子で確認することになります。
- 問題②(領域Ⅲ)に限り電卓・ノート・参考書等の持ち込みが自由で、診療報酬点数表は必携。問題①は持ち込み不可
- それでも第72回の平均は領域Ⅲが67.4点で、持ち込み不可の領域Ⅰ70.1点・領域Ⅱ76.6点を下回っていた
- 薬価は問題に添付または記載されるため暗記の対象ではなく、電子機器の使用は認められていない
- 領域Ⅲは点数算定の基準日が回ごとに問題冊子で明示される(第73回2級は2024年10月1日現在で施行されている法令・通知)
絶対基準の試験なので、回ごとの体感差は残ります
最後に、ここまでの数字の扱い方を整理しておきます。この検定の合否は、合計180点以上かつ各領域60%以上という固定された条件で決まります。受験者の出来に応じて線が動く仕組みではないので、合格率は出題の内容と、その回に受けた人たちの準備の状態によって上下します。第72回の68.9%を「この検定の合格率」として固定的に扱うことはできません。
数字を探した範囲も書いておきます。協議会のウェブサイトでは、試験案内・審査基準・個人受験・団体受験・受験願書・書籍情報・よくあるお問い合わせ・お知らせバックナンバー・協議会概要の各ページと、機関誌のバックナンバー一覧を確認しましたが、試験結果や合格率をまとめた統計のページは見つけられませんでした。回次別の数値は機関誌の中で報告されている形で、Vol.24 所収の「MS全協ニュース No.73」に第72回の級別結果と領域別平均得点が載っています。ほかの号では同じ形の結果表を見つけられなかったため、毎号必ず載るとも言えません。
したがって難易度の見積もりとしては、第72回の数字から読める構造の部分を使うのが現実的です。合計点の条件は平均的な答案なら超えている水準にあり、詰まるのは領域別の6割、とくに平均が60点まで7.4点しかなかった領域Ⅲである、というのがその構造です。前半100問を55分で判断し、後半は資料を引きながら46問を組み立てるという時間の非対称も、体感の難しさに直結します。
受験する級の選び方にも、この構造が関わってきます。受験資格の制限はないので、3級を受けずに2級から挑戦することも、時間割が連続する隣接級として「2級・3級」を併願することもできます。ただし審査基準では、領域Ⅲのレセプト作成レベルが3級で平均的な外来診療(在宅医療を含む)例、2級で軽度な入院事例と分かれています。第72回の領域Ⅲの平均が足切りまで7.4点だったことを踏まえると、外来の算定を扱った経験がないまま2級の領域Ⅲに向かう場合は、そこにいちばん時間がかかると見ておくのが無理のない見積もりです。
なお本記事は公表資料の範囲での整理です。診療報酬の算定や医学的な内容の解釈は実務と臨床の判断が関わる部分なので、最終的な確認は協議会の案内、検定指定テキスト、および最新の点数表で行ってください。ケンテイラボが収録している577問は、領域Ⅰ・Ⅱ側の知識がどこまで残っているかを確かめる用途に向いています。足切りに近いのはどの領域かという見当をつけたうえで、演習の配分を決める材料にしてください。