2026/09/08

性と格を最下段に置く — 独検3級の文法を積む順序

冠詞類は4系統を1枚の表に畳み、前置詞は意味ではなく支配する格で束ねる。形容詞の語尾と副文の定動詞後置まで積み上げ、選択式ではない書き取りへの備え方にも触れます。

執筆:ケンテイラボ編集部(資格試験対策アプリ開発・運営)

独検3級(ドイツ語技能検定試験3級)は、公益財団法人ドイツ語学文学振興会が実施する検定です。筆記試験60分と聞き取り試験約25分で、発音・アクセントから接続法まで初級文法のほぼ全域が問われます。出題項目を書き出すと十数個になりますが、それを一覧表にして端から順に潰していく進め方は、ドイツ語ではあまり効率がよくありません。

理由は単純で、ドイツ語の文法項目のあいだには強い依存関係があるからです。名詞の性と格が決まらなければ、冠詞の語尾も、形容詞の語尾も、前置詞のうしろに置く形も、代名詞の形も決まりません。逆に言えば、いちばん下の段さえ固めてしまえば、その上の項目の多くは「同じ表を別の場所で使い回すだけ」に見えてきます。

この記事では、ケンテイラボが独検3級用に収録している648問・13分野を、並列のチェックリストではなく依存関係のある積み木として並べ直します。どの項目を土台に置き、どの項目をその上に乗せるのか。順序という観点から3級対策を設計していきます。

3級が求めるのは「初級文法を運用できる」水準

主催団体は3級の水準を、初歩的な文法規則の運用ができ、日常生活に必要な基本的なドイツ語を理解して簡単な会話ができる程度、と位置づけています。目安として示されているのは、ドイツ語の授業を約120時間以上受講した程度の学習経験、語彙は2000語程度、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)ではA2相当です。

ここで効いてくるのが「運用できる」という言い方です。規則を説明できるかどうかではなく、文の中で正しい形をその場で選べるかどうかが問われます。冠詞の変化表を暗唱できても、空欄に入る語尾を選べなければ得点にはなりません。

  • 主催:公益財団法人ドイツ語学文学振興会(独検事務局)
  • 試験時間:筆記試験60分/聞き取り試験(一部書き取りを含む)約25分
  • 筆記は大問8題。発音・アクセント、文法・語彙の空欄補充が各4問、そのほか読解、会話文の空欄補充、内容一致など
  • 聞き取りは3部構成。会話への応答選択、絵の選択、数字と単語の書き取りを各3〜4問
  • 解答形式:大半が4肢択一のマーク式(聞き取り第3部のみ書き取り)
  • 検定料:7,500円(単願・消費税込み)。併願は4級+3級が12,000円、3級+2級が16,000円

注意したいのは、合格ラインが固定されていないことです。独検では100点満点に換算した合格最低点が回ごとに設定されます。3級では2026年度夏期が60.29点、2025年度は夏期・冬期とも60.29点、2024年度は夏期58.09点・冬期60.29点でした。「何点取れば受かる」と一つの数字で固定して考えるのではなく、6割前後を安定して超えられる状態をつくることが目標になります。

合格率も回ごとに動きます。主催団体が公表している結果によると、3級は2026年度夏期が受験者969名・合格者516名で53.25%、2025年度は夏期65.94%・冬期59.38%、2024年度は夏期38.88%・冬期63.51%でした。4割を切る回もあれば6割を超える回もあり、平均点も併記されています(2026年度夏期の平均点は60.87点)。初級文法をひと通り終えていれば射程に入りますが、回による振れ幅を見込んだ余裕は持っておきたいところです。

いちばん下に置くのは名詞の性と4つの格

積み木の最下段に来るのは、名詞の性と格変化です。男性・女性・中性という三つの性、1格から4格までの格、そして複数形の作り方。この三つがそろって初めて、ほかの項目が動き出します。

なぜ土台なのかは、実際の形を見ると分かります。「Ich gebe dem Kind das Buch.」で dem という形が出てくるのは、das Kind が中性名詞で、この文では3格に置かれているからです。冠詞の語尾も、形容詞の語尾も、代名詞の形も、前置詞のうしろに来る形も、すべて「性・数・格」という三つの情報の関数になっています。関数の入力が出せないうちは、出力の表をいくら覚えても使えません。

日本語話者にとっての関門は、名詞に性がないことと、格が助詞ほど明示的でないことです。二つの軸を同時に処理する必要があるため、名詞は単語だけで覚えず、der Tisch / die Tische のように冠詞と複数形をセットで頭に入れるのが結局は近道になります。

同じ段には人称代名詞と疑問詞も置きます。mir と mich、ihm と ihn を反射的に出せること、wer・wessen・wem・wen の四つを区別できることです。「Wen lädst du ein?」なら動詞 einladen が4格を求めるので wen、「Wem gehört das Buch?」なら gehören が3格を求めるので wem。疑問詞の格を動詞から決める、という手順そのものが土台の運用練習になります。

冠詞類は4系統をまとめて1枚の表に畳む

土台の上に最初に乗せるのが冠詞類です。定冠詞類、不定冠詞類、所有冠詞、否定冠詞 kein と、名前だけ見ると四つの項目に見えますが、実際に覚える変化表は二つしかありません。

  • 定冠詞 der・die・das と、定冠詞類 dieser・welcher・jeder・aller は同じ語尾をとる
  • 不定冠詞 ein と否定冠詞 kein は同じ語尾をとる(kein は複数形にも使える点だけが違う)
  • 所有冠詞 mein・dein・sein・ihr・unser も不定冠詞と同じ語尾をとる
  • つまり覚える表は「定冠詞型」と「不定冠詞型」の2枚だけ
  • しかも2枚の差は、男性1格・中性1格・中性4格の3か所で語尾が落ちるかどうかだけ

この畳み方をしておけば、所有冠詞が出てきても新しい表を覚え直す必要はありません。所有冠詞で迷うのは語尾ではなく、持ち主で語幹が決まり、修飾する名詞の性・数・格で語尾が決まる、という二段構えの処理のほうです。

否定の kein と nicht の使い分けも、この段で片づけます。不定冠詞つきの名詞や無冠詞の名詞を打ち消すのが kein、それ以外を打ち消すのが nicht です。「Ich habe kein Auto.」と「Das Auto ist nicht neu.」を並べれば違いは明らかで、判断の分かれ目は名詞に冠詞が付いているかどうかにあります。日本語の「〜ない」を一律に当てはめる癖がそのまま誤答になる、典型的な出題ポイントです。

前置詞は意味ではなく「支配する格」で束ねる

次の段が前置詞です。前置詞は日本語の助詞と一対一で対応させようとすると必ず行き詰まります。覚える単位は意味ではなく、支配する格です。

  • 3格支配:mit、nach、bei、von、zu、aus、seit
  • 4格支配:für、ohne、um、durch、gegen
  • 3・4格支配:in、an、auf、über、unter、vor、hinter、neben、zwischen
  • 融合形:zu dem→zum、zu der→zur、in dem→im、an das→ans

3・4格支配のグループだけは、格が文脈で切り替わります。原則は「場所を表すなら3格、移動の方向を表すなら4格」です。「Ich wohne in der Stadt.」は町の中にいるので3格、「Ich fahre in die Stadt.」は町へ向かうので4格。どこにいるかを言っているのか、どこへ行くかを言っているのかで見分けます。zu Hause(家にいる)と nach Hause(家へ帰る)のような慣用表現も、この対比の延長で覚えられます。

前置詞にはもう一つ、動詞との決まった結びつきという顔があります。sich interessieren für、warten auf、denken an、sich freuen auf/über のように、動詞ごとに使う前置詞と格が決まっている組み合わせです。ここは意味から類推が効かないので、「Ich interessiere mich für Musik.」のように文ごと、熟語として丸暗記するほかありません。再帰動詞では再帰代名詞が3格か4格かで意味が変わるものもあるため、sich の格まで含めて覚えます。

動詞は現在人称変化から接続法まで一本の階段

動詞まわりは項目数が多く見えますが、実際は一本の階段です。現在人称変化を最初の段に置き、その上に分離動詞と話法の助動詞、さらに上に現在完了と過去、いちばん上に受動と接続法が乗ります。

第一段の現在人称変化では、規則変化の語尾 -e/-st/-t/-en に加えて、arbeiten 型の口調上の e、fahren→du fährst、sprechen→du sprichst のように幹母音が変わる不規則変化、そして sein・haben・werden の特殊な形を押さえます。命令形は du・ihr・Sie の三つを使い分けます。主語に応じて動詞を変える習慣が薄いと、du の形と er の形を取り違えたまま先へ進んでしまうので、ここは急がずに固めます。

第二段の分離動詞と話法の助動詞は、別々の項目に見えて、実は同じ「枠構造」という一つの発想でつながっています。「Ich stehe um sechs Uhr auf.」では分離した前つづり auf が文末に、「Ich muss heute arbeiten.」では本動詞の不定詞 arbeiten が文末に置かれます。定形は2番目、相棒は文末という枠さえ体に入れば、両方まとめて処理できます。müssen の否定が「〜しなければならない」の否定ではなく「〜する必要がない」になる点、werden + 不定詞が未来だけでなく推量も表す点は、意味の面で取り違えやすい箇所です。

第三段の現在完了と過去も、同じ枠の上に乗ります。「Ich habe das Buch gelesen.」「Ich bin nach Berlin gefahren.」のように、助動詞が2番目、過去分詞が文末という形は変わりません。学習の負荷は語順ではなく暗記量のほうにあります。完了の助動詞に sein をとるのは場所の移動や状態の変化を表す自動詞と sein・bleiben などであること、過去分詞に ge- が付かない例外(-ieren で終わる動詞や非分離動詞)があること、そして不規則動詞の三基本形。ここが3級対策でいちばん時間を食う作業になります。

最上段が zu 不定詞・受動・接続法です。受動は werden + 過去分詞で「Das Haus wird gebaut.」、動作主は von や durch で示し、sein + 過去分詞の状態受動と区別します。zu 不定詞句は「Ich habe keine Zeit, das Buch zu lesen.」のような用法に加えて、um…zu(目的)、ohne…zu、statt…zu、sein + zu 不定詞まで。分離動詞では zu が前つづりと基礎動詞のあいだに入って anzufangen となる点も押さえます。接続法は3級では第2式が中心で、「Ich hätte gern einen Kaffee.」のような丁寧表現や、würde を使った言い回しを押さえます。

階段と呼んでいる理由は、上の段が下の段の上にしか成り立たないからです。受動も完了も接続法も、過去分詞と枠構造という同じ部品を使い回しています。三基本形が曖昧なまま上へ進むと、三つの分野が同時に崩れます。逆に三基本形さえ固めれば、上の三段は一気に軽くなります。

形容詞の語尾は冠詞の有無で決まる最後の関門

形容詞が名詞の前に置かれるときの語尾は、多くの学習者が最後まで残す項目です。定冠詞類の後、不定冠詞類の後、冠詞なしの三系列で語尾が変わるため、表を三枚覚える項目に見えます。

しかし der alte Mann/ein alter Mann/alter Wein と並べると、貫いている原則が見えます。冠詞が性と格をはっきり示しているときは形容詞は控えめな語尾でよく、冠詞が示していないときは形容詞が代わりにその情報を担う、という原則です。ein には男性1格を示す語尾がないので、形容詞のほうが -er を引き受ける。この見方で整理すると、三枚の表が一つの考え方に畳めます。

ただし、この原則が使えるのは「その名詞が何格か」を自分で出せることが前提です。形容詞の語尾でつまずいたときの原因は、たいてい形容詞ではなく土台のほうにあります。語尾が出てこないと感じたら、表を眺め直すより先に、性と格の判断に戻るほうが早く直ります。

同じ段には比較と数詞も置きます。比較級は -er、最上級は -st を基本に、alt→älter、gut→besser のような不規則形と am …sten の形。数詞は基数の読み方、序数(der dritte)と日付、金額や時刻の表現までが実用の範囲です。これらは単独で語尾を問われるより、読解や聞き取りの中で正確に読めるかどうかで効いてきます。

副文は「定動詞後置」ひとつで関係代名詞までつながる

語順の分野は、接続詞の種類を分けるところから始めます。und・aber・oder・denn のような並列接続詞は語順を変えませんが、weil・dass・wenn・obwohl・ob のような従属接続詞は定動詞を文末へ送ります。「Ich weiß, dass er heute kommt.」の kommt が文末に来るのがその形です。

この規則には続きがあって、副文が先に来ると主文が倒置になります。「Wenn ich Zeit habe, komme ich.」のように、副文全体が文の一番目の要素として数えられ、主文の動詞がそのすぐ後ろに来ます。ここは書くときも聞くときも崩れやすい箇所で、副文が終わったところで主文の動詞を置き忘れる誤りが典型です。

関係代名詞も同じ語順の上に乗ります。「Der Mann, der dort steht, ist mein Lehrer.」のように関係文でも定動詞は文末です。形の決め方は二段階で、性と数は先行詞から、格は関係文の中での役割から決まります。dessen・deren という2格の形まで含めて、ここでも土台の性と格が効いてきます。wenn と wann の使い分けや、nicht nur A, sondern auch B のような相関表現も、この段でまとめて確認しておきます。

聞き取り試験には選択式ではない「書き取り」がある

聞き取り試験は3部構成で、会話への応答を選ぶ問題、絵を選ぶ問題、第3部の書き取りが各3〜4問という形です。前二つは選択式ですが、第3部は会話文を聞いて数字と単語を書き取るため、ここだけ要求される精度の質が変わります。

選択式なら「なんとなく聞こえた」で正解できることもありますが、書き取りではつづりが一字でも違えば減点対象になります。名詞の頭を大文字で書くこと、ウムラウト(ä・ö・ü)とエスツェット(ß)を正しく書き分けることまで含めて、書ける状態にしておく必要があります。読めるが書けない、という状態はここで表面化します。

数字の聞き取りにはドイツ語特有の難しさがあります。einundzwanzig のように一の位を先に読む語順があるため、日本語の順で聞き取ろうとすると取り違えます。価格・時刻・日付の言い回しとあわせて、数詞の分野と同じタイミングで音の面から練習しておくと効率がよくなります。

発音・アクセントの分野は筆記の第1問の対策であると同時に、聞き取りの土台でもあります。ei と ie の読み分け、ch の二通りの音、語末の -ig、外来語のアクセント位置。ローマ字読みに引きずられたまま覚えた単語は、音で出てきたときに認識できません。

収録648問を13分野に分けた内訳

以下は、ケンテイラボが独検3級用に収録している648問を13の分野に分けた内訳です。ここで注意していただきたいのは、この13分野は本サイト独自の学習用の区分だということです。公式の出題区分は筆記の大問8題と聞き取りの3部で、そちらは出題形式による分け方です。一方この13分野は文法項目による分け方で、軸が異なります。分野名を試験の大問と読み替えないようにしてください。

収録問題13分野の内訳と比重

ケンテイラボでは独検(ドイツ語技能検定試験)3級の収録問題を13の分野に分けて整理しています (学習しやすさを優先した本サイト独自の区分で、実施団体が公表している 出題区分そのものではありません)。収録している648問を分野別に集計すると、 最も問題数が多いのは「⑤ 人称代名詞・指示代名詞・疑問詞」の56問(全体の8.6%)、 最も少ないのは「⑧ 分離動詞・話法の助動詞・未来」の42問(同6.5%)です。上位3分野だけで全体の25.4%を占めるため、 ここを先に固めるかどうかが得点の土台になります。

内訳を見ると、突出して多い分野がありません。最少の分野でも42問、最多でも56問の範囲に収まっています。これは本試験の配点比率を再現したものではなく、初級文法の全域を漏れなく練習できるように配分したものです。本試験では読解・会話文・聞き取りに配点が集まりますが、そこで得点するために必要な文法は結局この13項目に散らばっているため、練習段階では均等に回すほうが穴が残りません。

分野別の学習負荷を収録問題から集計する

次の表は、収録している問題そのものから集計した学習負荷の目安です。分野ごとに「数値を含む問題の割合」と「問題文の平均文字数」を出しています。数値を含む割合が高い分野は数字や番号を扱う設問が多く、平均文字数が長い分野は例文や状況説明を読ませる設問が多い、という読み方ができます。

分野別の学習タイプ(収録648問の集計)

ケンテイラボに収録している独検(ドイツ語技能検定試験)3級の問題を分野別に集計し、 「問題文または選択肢に数値が登場する問題の割合」と「問題文の平均文字数」を出しました。 数値の割合が高い分野は具体的な数字の暗記が得点を左右しやすく、 低い分野は用語の理解や文章の読み取りが中心になる傾向があります。

この試験でもっとも数値の比率が高いのは「① 発音・アクセント・つづり」で56%、 もっとも低いのは「⑧ 分離動詞・話法の助動詞・未来」で0%でした。 また問題文がもっとも長いのは「⑩ 接続詞・副文・関係代名詞」の平均69字で、 設問を読み解く負担が大きい分野といえます。

  • ① 発音・アクセント・つづり50問/数値を含む問題 56%/問題文 平均34
  • ② 動詞の現在人称変化・命令形44問/数値を含む問題 14%/問題文 平均29
  • ③ 名詞の性と格変化・定冠詞類・不定代名詞46問/数値を含む問題 26%/問題文 平均41
  • ④ 所有冠詞・否定(kein/nicht)55問/数値を含む問題 29%/問題文 平均36
  • ⑤ 人称代名詞・指示代名詞・疑問詞56問/数値を含む問題 5%/問題文 平均50
  • ⑥ 前置詞(格支配・融合形)50問/数値を含む問題 14%/問題文 平均52
  • ⑦ 動詞と前置詞の結びつき・再帰動詞51問/数値を含む問題 0%/問題文 平均39
  • ⑧ 分離動詞・話法の助動詞・未来42問/数値を含む問題 0%/問題文 平均45
  • ⑨ 現在完了・過去50問/数値を含む問題 4%/問題文 平均44
  • ⑩ 接続詞・副文・関係代名詞54問/数値を含む問題 2%/問題文 平均69
  • ⑪ zu不定詞・受動・接続法51問/数値を含む問題 8%/問題文 平均68
  • ⑫ 形容詞の格変化・比較・数詞49問/数値を含む問題 41%/問題文 平均47
  • ⑬ 会話文・読解文・掲示/略語・基本単語200050問/数値を含む問題 2%/問題文 平均38

数値の比率が高い分野は、数字を単独で覚えるより 「どの制度の・何の基準か」とセットで整理すると定着しやすくなります。 比率が低い分野は、似た用語同士の違いを説明できる状態を目指すと得点が安定します。

この数字は学習時間の配分に使えます。平均文字数が長い分野は1問あたりに時間がかかるため、まとまった時間を取れるときに回すのが向いています。逆に短い分野は反復回数で伸びるので、細切れの時間に回すほうが効率的です。同じ「1日30問」でも、どの分野を選ぶかで必要な時間は変わります。

積む順序から逆算した学習スケジュールのモデル

ここまでの順序をまとめると、名詞の性と格・代名詞を最下段に置き、その上に冠詞類・前置詞・動詞との結びつき、さらに上に動詞の階段、いちばん上に形容詞語尾・副文・受動と接続法が乗ります。発音と語彙2000語は段ではなく、全期間を通して並行させる項目です。以下は目安のモデルで、必要な期間は前提知識と1日に取れる時間によって変わります。

ドイツ語が初めての場合

3級の目安が授業120時間以上の学習経験とされていることを考えると、独学で始める場合はまとまった期間を見込むほうが現実的です。最初の時期は名詞の性と格、そして人称代名詞に集中します。ここを急いで通り過ぎると、後で必ず戻ることになります。名詞を覚えるときは必ず冠詞と複数形をセットにする、という習慣づけもこの時期に済ませます。

土台が動くようになったら、冠詞類・前置詞・動詞と前置詞の結びつきへ進みます。この段階で「格を決める」という作業を繰り返すことになるので、土台の定着も同時に進みます。続いて動詞の現在人称変化から現在完了までの階段を上り、最後に形容詞語尾・副文・受動と接続法という上の段に取り組みます。発音と語彙は初日から毎日並行させ、直前期はまとめて増やそうとしないのが無難です。

仕上げの時期には、本番と同じ形式で時間を計ります。筆記は60分で大問8題を処理するため、知識があっても配分を誤ると読解と会話文で時間が足りなくなります。

4級から進む場合

4級で扱った範囲、つまり現在人称変化や基本的な格、よく使う前置詞は済んでいるはずなので、差分は上の段に集中します。具体的には現在完了と過去、副文と関係代名詞、zu不定詞・受動・接続法、形容詞の格変化、そして語彙です。土台をもう一度最初から積み直すより、上の段で詰まったときにだけ下へ戻る進め方のほうが効率的です。

4級から進む人がとくに落としやすいのは、形容詞の語尾、副文での定動詞後置、そして不規則動詞の三基本形の三つです。いずれも4級の範囲では出番が少なく、3級で急に必要量が増えます。学習を始めた最初の段階でこの三つに手を付けておくと、後半が楽になります。

なお独検には併願制度があり、4級と3級を同じ回に受ける場合は12,000円、3級と2級なら16,000円という設定です。日程の都合で選択肢に入りますが、級によって求められる水準は明確に違うので、併願する場合も3級の到達点から逆算して準備することに変わりはありません。

648問・13分野をどう使って仕上げるか

問題演習も、積む順序に合わせて開けていくのが基本です。最初から13分野を通しで解くのではなく、名詞の性と格・人称代名詞の分野から始め、冠詞類・前置詞へ、そして動詞の階段へと、下から順に分野を開けます。土台が固まっていない段階で上の分野を解いても、間違いの原因が分野そのものにあるのか土台にあるのか切り分けられません。

2周目は逆向きに使います。形容詞の語尾で間違えたら性と格の分野へ、受動や完了で間違えたら三基本形へ戻る、という具合です。上の段での誤答は「下の段が緩い」サインであることが多く、戻り先を決めておくと復習が速くなります。

3周目は分野を混ぜて解きます。本試験では問題に文法項目のラベルが付いていないので、どの規則を使う場面なのかを判断すること自体が問われます。分野ごとに解いているうちは、その判断を問題集の側が肩代わりしてくれている状態です。混ぜて解けるようになって初めて、運用できる水準に近づきます。

合格最低点は回ごとに設定され、近年の3級は60点前後で推移しています。ぎりぎりを狙うと回による振れで足をすくわれるので、13分野すべてで安定して7割を超える状態を目指しておくと安心です。土台から順に積み、上で詰まったら下へ戻る。この往復を繰り返すことが、独検3級の対策としてはもっとも素直な道筋になります。

実際に問題を解いて知識を定着させよう

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