ケンテイラボ

2026/08/02

コンクリートの配合設計を手順で固める|示方配合と現場配合の換算

コンクリート技士の定番計算である配合設計。水セメント比の決定から単位量の算出、示方配合から現場配合への換算まで、手順を固定化して確実に解けるようにする方法を具体的に解説します。

執筆:堀内諒平(ケンテイラボ運営者・資格試験対策アプリ開発者)

コンクリート技士で必ず問われるのが配合設計です。手順が多く、途中で状態や単位を取り違えると答えが合わないため、苦手意識を持たれやすい領域でもあります。しかし出題パターンは安定しており、手順さえ固定化すれば確実に得点できます。本記事では、配合設計の考え方を順を追って整理し、特につまずきやすい示方配合から現場配合への換算を詳しく解説します。

配合設計は何をしているのか

計算手順に入る前に、配合設計が何を決める作業なのかを押さえてください。目的は明快です。「求める性能を満たすコンクリートを作るために、材料をどれだけ混ぜるか」を決めることです。

求める性能は主に3つあります。所要の強度が出ること、必要な耐久性を持つこと、そして現場で施工できる軟らかさであること。この3つを同時に満たす材料の組み合わせを求めるのが配合設計です。

ここで重要なのは、これらが互いに引っ張り合う関係にあることです。水を増やせば軟らかくなって施工しやすくなりますが、強度と耐久性は落ちます。逆に水を減らせば強度は上がりますが、硬くて打ち込めません。この綱引きの中で最適点を探すのが配合設計の本質です。

この構図が頭に入っていると、各ステップで何を決めているのかが分かります。単なる計算手順の暗記ではなく、意味のある判断の連鎖として理解できるようになります。

手順1:水セメント比を決める

最初に決めるのが水セメント比です。これはセメントに対する水の質量比で、コンクリートの性能を最も強く支配する値です。

なぜ支配的なのか。セメントは水と反応(水和)して硬化しますが、反応に必要な量を超えた余分な水は、硬化後に空隙として残ります。水が多いほど空隙が増え、強度は下がり、外部からの物質が侵入しやすくなって耐久性も落ちる——これが水セメント比が効く理由です。

決定にあたっては2つの観点があります。1つは所要の強度から求める方法。もう1つは耐久性の観点から上限が定められる場合です。両方の条件がある場合は、より厳しいほう(小さいほう)を採用します。この「両方チェックして厳しいほうを取る」という判断は、試験でも問われる論点です。

手順2:スランプと粗骨材最大寸法を決める

次に、施工性の観点からスランプと粗骨材の最大寸法を決めます。ここは強度ではなく「打ち込めるかどうか」で判断する部分です。

スランプは軟らかさの指標です。鉄筋が密に配置された部材や、複雑な形状の型枠には、大きめのスランプが必要になります。逆に、単純な形状で締固めがしやすい部位なら小さくてよい。過大なスランプは材料分離を招くため、必要最小限にするのが原則です。

粗骨材最大寸法は、部材の最小寸法、鉄筋のあき、かぶり厚さから制約を受けます。大きすぎると鉄筋の間を通れず、充填不良の原因になるからです。一方、最大寸法が大きいほど単位水量を減らせるという利点もあります。この相反する条件のバランスで決まります。

手順3:単位水量と単位セメント量を求める

スランプと粗骨材最大寸法が決まると、必要な単位水量(コンクリート1立方メートルあたりの水の質量)が定まります。試験では表や条件から与えられることが多い部分です。

単位水量が決まれば、手順1で決めた水セメント比を使って単位セメント量が計算できます。関係は単純で、単位セメント量=単位水量÷水セメント比です。

ここでのポイントは、単位水量はできるだけ少なくするのが原則だという点です。単位水量が多いと、同じ水セメント比を保つためにセメントも増え、コストが上がるうえ乾燥収縮やひび割れのリスクも高まります。AE剤や減水剤を使って単位水量を減らすのは、このためです。

手順4:骨材量を絶対容積で求める

水とセメントの量が決まったら、残りを骨材で埋めます。ここで使うのが絶対容積の考え方です。

コンクリート1立方メートルは、水・セメント・細骨材・粗骨材・空気の容積の合計です。水とセメントの容積は質量を密度で割れば求まり、空気量は設定値から決まります。したがって、全体から水・セメント・空気を引いた残りが、骨材の絶対容積になります。

その骨材容積を、細骨材率に従って細骨材と粗骨材に振り分けます。細骨材率は、骨材全体の絶対容積に占める細骨材の割合です。この値が大きいと軟らかくなりますが単位水量が増え、小さいと材料分離しやすくなります。

最後に、それぞれの絶対容積に密度を掛けて質量に戻せば、単位細骨材量と単位粗骨材量が求まります。ここまでが示方配合です。

手順5:示方配合から現場配合へ換算する

配合計算で最もつまずきやすいのが、この換算です。しかし考え方はシンプルなので、原理を押さえれば機械的に処理できます。

示方配合は、骨材が表乾状態(表面乾燥飽水状態)であることを前提としています。表乾状態とは、骨材内部の空隙は水で満たされているが表面は乾いている状態です。この状態なら、骨材は練混ぜ水を吸いも出しもしません。

しかし現場の骨材は違います。多くの場合、表面に水が付着した湿潤状態です。この表面の水を表面水と呼びます。表面水があると何が起きるか——2つのことが同時に起きます。

  • 計量した骨材の質量には表面水の分が含まれる → 骨材を増やさないと必要量に足りない
  • 表面水が練混ぜ水として作用する → 加える水を減らさないと水が多くなる

つまり「骨材は増やす、水は減らす」という補正になります。この方向さえ間違えなければ、計算自体は難しくありません。骨材の増分は表面水率から計算し、水の減分は骨材から持ち込まれる水の総量になります。

もう1つの補正が粒度による調整です。現場の骨材が示方配合の前提と粒度分布が異なる場合、細骨材と粗骨材の量を調整する必要があります。ただし表面水による補正のほうが試験では頻出です。

含水状態の4区分を図で押さえる

換算を確実にするには、骨材の含水状態を正確に理解する必要があります。4つの状態を必ず図で整理してください。

  • 絶対乾燥状態(絶乾):内部の空隙も表面も完全に乾いている
  • 空気中乾燥状態(気乾):表面は乾き、内部の空隙に一部水がある
  • 表面乾燥飽水状態(表乾):内部の空隙は満水、表面は乾いている
  • 湿潤状態:内部は満水で、表面にも水が付いている

骨材の断面を描き、内部の空隙と表面の水を模式的に表現した図を1枚作ってください。絶乾から湿潤へ向かって水が増えていく様子が視覚化されます。

この図があれば、吸水率と表面水率の違いも明確になります。吸水率は絶乾状態から表乾状態になるまでに吸う水の割合、表面水率は表乾状態を超えて表面に付いている水の割合です。基準となる状態が違うだけで、どちらも「どれだけ水を持っているか」を表しています。

配合計算で使うのは表乾状態が基準です。示方配合が表乾を前提としているため、そこからのズレを補正するという構図になります。

手順を紙に固定化する

配合計算を安定させる最も確実な方法は、手順を紙に書き出して固定化することです。毎回考え直していると、時間もかかりミスも増えます。

推奨する固定化の形は次のとおりです。1枚の紙に手順を番号付きで書き、各ステップで「何を求めるか」「何を使うか」を明記します。

  • 1. 水セメント比を決める(強度条件と耐久性条件の厳しいほう)
  • 2. スランプと粗骨材最大寸法を決める(施工条件から)
  • 3. 単位水量を決める(表・条件から)
  • 4. 単位セメント量=単位水量÷水セメント比
  • 5. 骨材の絶対容積=1000 −(水+セメント+空気)の容積
  • 6. 細骨材率で細骨材と粗骨材に分割
  • 7. 絶対容積×密度で質量に変換(ここまで示方配合)
  • 8. 表面水による補正(骨材は増やす、水は減らす)

この8ステップを手元に置いて、同じ形式の問題を5問続けて解いてください。3問目あたりから紙を見なくても手が動くようになります。そこまで来れば、本番でも安定して解けます。

よくあるミスと防ぎ方

配合計算で頻発するミスと、その防ぎ方を整理します。

  • 補正の方向を逆にする → 「骨材は増やす、水は減らす」を紙に大きく書いておく
  • 質量と容積を混同する → 各ステップで単位を明記する習慣をつける
  • 空気量を忘れる → 絶対容積の計算式に空気を含める形で固定化する
  • 水セメント比の条件を1つしか見ない → 強度と耐久性の両方を必ずチェックする
  • 細骨材率を質量比だと思う → 絶対容積の比であることを明記しておく

特に最後の細骨材率は取り違えやすい論点です。細骨材率は骨材全体の絶対容積に占める細骨材の絶対容積の割合であり、質量の比ではありません。密度が違う以上、容積比と質量比は一致しないためです。

実務との接続

配合設計は試験のための計算ではなく、実務そのものです。生コン工場では日々この計算に基づいて製造が行われ、建設現場では発注する配合を決める判断材料になります。

特に表面水による補正は、実際の製造で毎日行われている作業です。骨材の表面水率は天候や置き場の状態で変わるため、その都度測定して補正しなければ、狙った水セメント比のコンクリートは作れません。試験で問われるこの計算は、品質管理の中核そのものなのです。

この接続を意識すると、学習の意味が変わります。単なる受験勉強ではなく、日常業務の理論的な裏づけを学んでいるという実感が、記憶の定着を助けてくれます。

ケンテイラボで配合計算を反復する

ケンテイラボのコンクリート技士対策は全627問を13分野に整理して収録しており、そのうち⑦配合・調合設計が46問を占めます。分野別に解けるため、配合計算だけを抜き出して集中的に反復できます。

おすすめは、自分で作った手順表を手元に置きながら解くことです。間違えたらどのステップでつまずいたかを特定し、手順表に注意書きを足す。この往復を繰り返すと、手順表が自分専用の資料に育ちます。

あわせて②骨材(48問)も解いてください。含水状態や密度、吸水率の理解が曖昧だと、配合計算はいつまでも安定しません。材料の理解と計算の練習は往復させるのが効率的です。登録不要・完全無料なので、スキマ時間の反復にも使えます。

実際に問題を解いて知識を定着させよう

ケンテイラボではコンクリート技士の問題を無料で練習できます。

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