AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト(通称SAA)は、Amazon Web Servicesが実施するクラウド認定の中で最も受験者が多い中核的な資格です。サービス名の暗記ではなく、可用性・セキュリティ・コスト最適化の観点から「このシナリオではどの構成が最適か」を選ばせる設計思想の試験で、EC2・S3・VPC・IAM・RDSといった主要サービスを体系的に理解していないと合格ラインには届きません。一方で出題されるサービスの範囲と問われ方には明確な傾向があり、分野ごとの重みを踏まえて対策すればクラウド未経験からでも十分に狙えます。本記事では、出題範囲8分野ごとの学習ポイント、学習スケジュール、公式教材とハンズオンの使い方、つまずきやすいポイントまでを解説します。
AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイトとは
AWS認定は、クラウドプラクティショナー(入門)、アソシエイト(実務)、プロフェッショナル(上級)、専門知識(Specialty)という階層で構成されています。ソリューションアーキテクト アソシエイトはアソシエイトレベルの中心に位置し、「AWS上で可用性が高く、コスト効率がよく、安全でスケーラブルなシステムを設計できること」が問われます。開発者向けのデベロッパー、運用者向けのSysOpsと比べて、設計・アーキテクチャの観点が強いのが特徴です。
出題の中心はシナリオ問題です。「オンプレミスのファイルサーバーを移行したい」「アクセス急増時もサービスを止めたくない」といった状況が数行で提示され、4つの選択肢から最適な構成を選びます。選択肢はどれも技術的には実現可能なことが多く、「動くかどうか」ではなく「要件に対して最も適切か」で判断させられます。取得のメリットは、クラウド設計の共通言語が身につくこと、転職や社内異動で客観的な評価材料になること、上位資格への足がかりになることの3点です。
試験の基本情報
- 試験名:AWS Certified Solutions Architect - Associate
- レベル:アソシエイト(実務レベル)
- 出題形式:択一選択問題および複数選択問題(コンピュータベース試験)
- 受験方式:テストセンター受験またはオンライン監督付き受験
- 試験言語:日本語を含む複数言語に対応
- 採点方式:スケールドスコア方式(一定の基準点以上で合格)
- 有効期間:認定には有効期限があり、期限内の再認定が必要
- 推奨経験:AWSでの設計・運用経験があると有利(必須ではない)
受験料・試験時間・出題数・合格基準といった数値は、試験バージョンの更新に伴って見直されることがあります。申し込み前に必ずAWSの公式認定ページと試験ガイドで最新条件を確認してください。合格率は公式に公表されておらず、ネット上で見かける数字はいずれも推定値です。確かなのは「配点の重い分野を落とさなければ合格圏に入る」という構造であり、そこに学習資源を集中させるのが最短ルートです。
出題範囲8分野と配点の目安
公式の試験ガイドでは出題範囲が4つのドメインに整理されていますが、学習ではサービス群ごとに切り分けたほうが進めやすくなります。ケンテイラボ収録の対策問題は全704問で、これを実務的な区分で8分野に整理しています。
- ① ネットワークとグローバルインフラ:67問(全704問中 約10%)
- ② コンピューティングと関連サービス:141問(約20%・最重要分野)
- ③ ストレージサービス:85問(約12%)
- ④ データベースサービス:85問(約12%)
- ⑤ アイデンティティとセキュリティ:85問(約12%)
- ⑥ アプリケーションサービスと分析・データ転送:81問(約12%)
- ⑦ 運用支援サービス:80問(約11%)
- ⑧ コスト管理とアーキテクチャ設計:80問(約11%)
最大の特徴は②が141問と突出していることです。2位グループ(③④⑤の各85問)のおよそ1.7倍で、単独で全体の約2割を占めます。逆に①は67問と最少ですが、VPCやリージョンの理解は他の全分野の前提になるため、問題数の少なさと重要度は一致しません。③〜⑧は80〜85問前後で横並びなので、極端な捨て分野は作れません。基本戦略は「②で稼ぎ、①で土台を固め、③〜⑧で取りこぼさない」です。
分野別の学習ポイント
① ネットワークとグローバルインフラ(67問)
AWSの物理基盤とVPCを中心とした仮想ネットワークを扱う分野です。問題数は最少ですが、可用性設計もセキュリティ設計もこの知識の上に成り立つため最初に着手すべき分野です。サブネット・ルートテーブル・ゲートウェイの関係は、図を描いて理解しないと後で必ず詰まります。
- リージョンとアベイラビリティーゾーン:マルチAZ配置が可用性設計の基本
- パブリック/プライベートサブネットの違いはルートテーブルで決まる
- インターネットゲートウェイとNATゲートウェイ:外向き通信のみ許可ならNAT
- セキュリティグループとネットワークACL:ステートフルとステートレスの違い
- Route 53のルーティングポリシー:加重・レイテンシー・フェイルオーバーなど
- CloudFrontとVPCエンドポイント:配信の高速化と閉域アクセス
② コンピューティングと関連サービス(141問・最重要分野)
EC2を中心にAuto Scaling、ELB、Lambda、コンテナサービスを扱う最大分野です。「スケールアウトさせるか、インスタンスタイプを上げるか」「常時起動が必要か、イベント駆動で足りるか」といった判断が問われます。詳細は次章で掘り下げます。
- EC2のインスタンスタイプ:汎用・コンピューティング最適化・メモリ最適化
- 購入オプション:オンデマンド・リザーブド・Savings Plans・スポット・Dedicated Hosts
- Auto Scalingグループ:起動テンプレート・スケーリングポリシー・ヘルスチェック
- ELBの使い分け:ALB(HTTP/HTTPS)・NLB(低レイテンシー/固定IP)
- AWS Lambda:サーバー管理不要のイベント駆動型、実行時間に上限あり
- ECS/EKSとFargate:コンテナのオーケストレーションとサーバーレス実行基盤
③ ストレージサービス(85問)
S3・EBS・EFSなどデータの置き場所を扱う分野です。「ブロックか、ファイルか、オブジェクトか」の3分類をまず押さえ、そのうえでS3のストレージクラスとライフサイクル管理を深掘りするのが効率的です。コスト最適化の問題と直結するため⑧と一緒に復習すると理解が進みます。
- S3:オブジェクトストレージ、高い耐久性、静的Webサイトホスティングも可能
- S3ストレージクラス:Standard・Intelligent-Tiering・Standard-IA・Glacier系
- ライフサイクルポリシー:期間経過後に低コストクラスへ自動移行・期限切れ削除
- EBS:EC2にアタッチするブロックストレージ、同一AZ内で使用
- EBSボリュームタイプ:汎用SSD・プロビジョンドIOPS SSD・HDD系の使い分け
- EFS:複数のEC2から同時マウントできる共有ファイルストレージ
④ データベースサービス(85問)
RDS・Aurora・DynamoDB・ElastiCacheなどを扱う分野です。リレーショナルかNoSQLかという軸に加え、可用性を高める仕組み(マルチAZ)と読み取り性能を高める仕組み(リードレプリカ)を混同しないことが得点の分かれ目になります。
- RDS:マネージドなリレーショナルDB、パッチ適用やバックアップを自動化
- マルチAZ配置:可用性向上が目的、障害時に自動フェイルオーバー
- リードレプリカ:読み取り負荷の分散が目的、非同期レプリケーション
- Aurora:MySQL/PostgreSQL互換、ストレージが複数AZに分散
- DynamoDB:フルマネージドNoSQL、パーティションキー設計が肝
- ElastiCache:セッション管理や参照系の高速化に使うインメモリキャッシュ
⑤ アイデンティティとセキュリティ(85問)
IAMを中心に暗号化・認証・保護サービスを扱う分野です。「最小権限の原則」「認証情報をコードに埋め込まない」「保存時と転送時の暗号化」という3原則が、そのまま正解を選ぶ判断基準になります。EC2からS3へアクセスさせたいときにアクセスキーではなくIAMロールを使う、という発想が身についているかが問われます。
- IAMユーザー・グループ・ロール・ポリシー:ロールは一時的な認証情報を渡す仕組み
- IAMロールとインスタンスプロファイル:EC2にアクセスキーを置かない
- AWS OrganizationsとSCP:複数アカウントの統制と権限の上限設定
- KMS:暗号鍵の管理、S3やEBSの保存時暗号化と連携
- Secrets ManagerとParameter Store:認証情報の安全な保管
- AWS WAFとShield:Webアプリ層の防御とDDoS対策
⑥ アプリケーションサービスと分析・データ転送(81問)
SQS・SNS・Kinesis・API Gateway・Athenaなど、システム同士をつなぐサービスとデータを扱うサービスの分野です。中心テーマは疎結合(デカップリング)で、「処理が詰まると全体が落ちる」構成をキューやトピックで切り離す発想が繰り返し問われます。
- SQS:メッセージキューによる疎結合化、標準キューとFIFOキューの違い
- SNS:パブリッシュ/サブスクライブ型の通知、複数の宛先へ同報
- EventBridge:イベント駆動のルーティングとスケジュール実行
- Kinesis:ストリーミングデータのリアルタイム収集と処理
- API GatewayとStep Functions:APIの受け口とワークフロー管理
- AthenaとGlue:S3上のデータへのクエリとETL
⑦ 運用支援サービス(80問)
作った環境を監視し、記録し、再現するためのサービス群です。監視と監査は目的が異なり、「誰が何をしたか」を追うのはCloudTrail、「メトリクスとログで状態を見る」のはCloudWatch、という役割分担を取り違えないことが重要です。
- CloudWatch:メトリクス・ログ・アラーム、Auto Scalingのトリガーにもなる
- CloudTrail:API呼び出しの記録、監査証跡として利用
- AWS Config:リソース構成の変更履歴とコンプライアンス評価
- CloudFormation:Infrastructure as Code、テンプレートで環境を再現
- Systems Manager:パッチ適用・リモート操作・構成管理
- Elastic Beanstalk:アプリをデプロイすると実行環境が自動構築される
⑧ コスト管理とアーキテクチャ設計(80問)
料金モデルの理解と、Well-Architectedフレームワークに基づく設計思想を扱う分野です。問題文には「最もコスト効率が高い方法は」という条件が頻出し、この一言があるだけで正解が変わります。条件文のキーワードを読み取る訓練としても効果があります。
- Well-Architectedの柱:運用上の優秀性・セキュリティ・信頼性・パフォーマンス効率・コスト最適化・持続可能性
- 購入オプションによる削減:長期利用ならリザーブドやSavings Plans、中断可ならスポット
- Cost ExplorerとBudgets:使用状況の可視化と予算超過アラート
- データ転送料金:アウトバウンド通信とAZ間通信のコストに注意
- 単一障害点の排除:マルチAZ・Auto Scaling・ロードバランサーの組み合わせ
- RTOとRPO:バックアップ/リストア・パイロットライト・ウォームスタンバイ・マルチサイト
最重要分野「② コンピューティングと関連サービス」の攻略法
141問と全体の約2割を占めるこの分野はSAA対策の中核です。ここで安定して7〜8割取れると合格ラインが一気に現実的になり、逆にここが曖昧だと他分野をどれだけ積み上げても届きません。優先度は最高に設定してください。
EC2は「選び方」と「課金モデル」で覚える
試験で問われるのはほぼ「どのインスタンスタイプを選ぶか」「どの購入オプションが最もコスト効率がよいか」の2点です。タイプはCPU重視かメモリ重視かという用途の軸で覚えます。購入オプションは、常時稼働で1年以上続くならリザーブドやSavings Plans、中断されても再実行できるバッチ処理ならスポット、負荷が読めない立ち上げ期ならオンデマンド、と稼働パターンに紐づけると迷いません。
Auto ScalingとELBはセットで理解する
最も頻出する構成が、複数AZにまたがるAuto Scalingグループの前段にロードバランサーを置く形です。ロードバランサーは健全なインスタンスにのみ振り分け、Auto Scalingは異常なインスタンスを終了して新しいものを起動し台数を需要に合わせます。片方だけでは役割が欠けると説明できるかが分かれ目です。パスやホストで振り分けたいならALB、低レイテンシーや固定IPが必要ならNLBという判断軸を持ちましょう。
サーバーレスは「管理をどこまで手放すか」で並べる
EC2、ECS/EKS on EC2、Fargate、Lambdaを、サーバー管理の責任が重い順に並べて覚えると混乱しません。OSのパッチ管理まで自分でやるのがEC2、実行基盤は任せるがコンテナ設計は自分でやるのがFargate、コードだけ置くのがLambdaです。「運用負荷を最小に」ならサーバーレス側、「既存アプリをそのまま動かしたい」ならEC2側という対応になります。
「ステートレス」を設計の前提に据える
インスタンスが増減する構成では、特定のインスタンスにセッションやファイルが保存されていると終了時にデータが失われます。だからセッションはElastiCacheやDynamoDBへ、共有ファイルはEFSやS3へ外出しするのが標準解です。この筋を理解すると②だけでなく③④⑥も同じ論理で解けます。
学習スケジュールのモデルケース
学習期間はITの予備知識とAWS経験の有無で変わります。AWSに触れたことがあるなら3〜4週間、IT実務はあるがクラウド未経験なら2ヶ月前後、完全な初学者なら3ヶ月程度が現実的です。
【1ヶ月短期集中コース】1日1.5〜2時間
- 1週目:①を固め、②の前半(EC2・購入オプション)まで進む
- 2週目:②の後半(Auto Scaling・ELB・Lambda・コンテナ)を集中学習
- 3週目:③④⑤を一気に通し、分野別演習で弱点を洗い出す
- 4週目:⑥⑦⑧を仕上げ、全704問のランダム演習と間違い直しを繰り返す
AWSに業務で触れている方、他クラウド経験がある方向け。合計45〜60時間程度。ハンズオンは最小限に絞り、残りは問題演習と解説の読み込みに充てるのが効率的です。
【2ヶ月標準コース】1日1時間
- 1〜2週目:①でVPCとネットワークの土台を作り、簡単なハンズオンで手を動かす
- 3〜4週目:②を2週かけて丁寧に学習(最重要分野なので時間を厚く配分)
- 5週目:③④を学び、S3ストレージクラスとRDSの冗長化を整理
- 6週目:⑤⑦を学習し、IAMロールとCloudWatch/CloudTrailを区別
- 7週目:⑥⑧を学び、疎結合とコスト最適化の考え方を固める
- 8週目:ランダム演習と通し演習、間違えた問題の再演習
IT実務経験はあるがクラウドは初めて、という方に最も適した標準コース。合計60時間前後です。②に2週間を割り当てている点がポイントで、ここを厚くすると後半が理解しやすくなります。平日は座学と演習、週末はハンズオンという配分にすると定着が加速します。
【3ヶ月じっくりコース】1日30〜40分
- 1〜3週目:クラウドの基本概念とAWSのグローバルインフラ、①を理解
- 4〜7週目:②を4週かけて学習、EC2・Auto Scaling・ELB・サーバーレスを1週ずつ
- 8〜9週目:③④を用途別の比較表を作りながら学習
- 10〜11週目:⑤⑥⑦を学び、権限設計・疎結合・監視の役割分担を整理
- 12週目:⑧とWell-Architectedの6つの柱を通しで復習
- 13週目:全704問を通しで2周、正答率85%以上を目標に総仕上げ
完全初学者・IT実務経験が浅い方向け。合計45〜60時間。長期間に分散すると用語と概念が深く定着します。ペースが落ちやすいので、週に1度は必ず問題演習を挟んで抜けを確認しながら進めてください。
効率的な学習ステップ
ステップ1:AWSの全体像をざっと通す(所要2〜3日)
個別サービスの詳細に入る前に、リージョンとアベイラビリティーゾーン、責任共有モデル、主要サービスの分類という骨格を頭に入れます。細かい暗記は不要で、地図を手に入れるつもりで進めてください。
ステップ2:VPCとネットワークの土台を作る(所要3〜5日)
VPC・サブネット・ルートテーブル・ゲートウェイ・セキュリティグループの関係を、必ず自分の手で図に描きます。「パブリックサブネットとは、ルートテーブルにインターネットゲートウェイ向きの経路があるサブネットのこと」を図とセットで理解できれば十分です。
ステップ3:最重要の②を厚く学ぶ(所要2〜4週間)
全体の約2割を占める②に、学習時間の4分の1以上を投下します。購入オプションは表にまとめ、Auto ScalingとELBは構成図で覚え、Lambdaとコンテナは管理の重さで一列に並べる。この3つの整理が終われば②の得点は安定します。
ステップ4:サービスを比較表で整理する(所要1〜2週間)
③〜⑧は単体で覚えるより「似ているものを並べて違いを書く」ほうが効率的です。S3ストレージクラス、EBSボリュームタイプ、ALBとNLB、SQSとSNS、CloudWatchとCloudTrailとConfig、マルチAZとリードレプリカ。この6枚の比較表を自作するだけで正答率が上がります。
ステップ5:分野別演習で弱点を特定する(所要1〜2週間)
知識が一通り入ったら分野別に解いて正答率を測ります。7割を切る分野はテキストに戻って復習。ケンテイラボの704問は8分野に整理されているため、どこが弱いかを数字で把握できます。間違えた問題は「なぜその選択肢が不正解なのか」まで説明できるようにしましょう。
ステップ6:ランダム演習で本番形式に慣れる(所要直前1週間)
最後は分野をシャッフルした状態で通し演習を行います。SAAの問題は分野の境目が曖昧で、1問にコンピューティングとストレージとコストの論点が同居することも珍しくありません。論点を瞬時に判断する訓練を最低2〜3回は積んでおきましょう。
公式教材・ハンズオンの活用法
対策書籍は多数ありますが、出題範囲の正本はAWSが公開している試験ガイドです。まず試験ガイドを入手し、出題ドメインと配点比率、対象サービス一覧に目を通してください。ここに載っていないサービスの深掘りは優先度を下げて構いません。最新版かどうかは公式サイトで確認しましょう。
- 試験ガイド:出題ドメインと対象サービスの正本。学習範囲の線引きに使う
- 公式サンプル問題:問われ方の癖(シナリオの長さ・条件文の書き方)を掴む
- AWS Skill Builder:公式のオンライン学習コンテンツ、無料の講座もある
- AWSドキュメントのFAQページ:サービスごとの制約や上限が簡潔にまとまっている
- Well-Architectedフレームワークのホワイトペーパー:⑧の設計思想の出典
- 無料利用枠(AWS Free Tier):実際にアカウントを作って手を動かす
ハンズオンは「最小限は必須」と考えてください。座学だけだとVPCとサブネットの関係やIAMロールの付与が抽象的なままになり、シナリオ問題で判断できません。以下の5本に絞れば数時間で試験に効く実感が得られます。
- VPCを作り、パブリックサブネットとプライベートサブネットを1つずつ用意する
- パブリックサブネットにEC2を起動し、セキュリティグループでアクセス元を絞る
- S3バケットを作成し、ストレージクラスとライフサイクルルールを設定してみる
- EC2にIAMロールを付与し、アクセスキーなしでS3へアクセスできることを確認する
- ALBとAuto Scalingグループを作り、インスタンスを手動終了して自動復旧を観察する
作成したリソースは学習後に必ず削除してください。EC2やNATゲートウェイ、Elastic IPは起動したままだと課金が続きます。この体験自体が⑧コスト管理の理解にもつながります。
受験者がつまずきやすいポイント
つまずき1:サービス名は覚えたのに問題が解けない
最も多いつまずきです。原因はサービスを「単語」として覚えていて「使いどころ」として覚えていないこと。対策は、サービス名を見たら「どんな課題を解決するためのものか」を1文で言えるようにすること。SQSなら「送り手と受け手を切り離し、負荷の急増でシステムが壊れないようにするもの」。この1文が出ればシナリオ問題で選べます。
つまずき2:マルチAZとリードレプリカを混同する
頻出の引っかけです。マルチAZ配置は可用性のための仕組み、リードレプリカは読み取り性能を上げるための仕組みで、それ自体は自動フェイルオーバーを提供しません。「障害時のダウンタイムを最小化したい」ならマルチAZ、「読み取りが多くて重い」ならリードレプリカ。口に出して言えるまで反復してください。
つまずき3:セキュリティグループとACLの違いが曖昧
セキュリティグループはインスタンス単位・ステートフル(戻りの通信は自動許可)・許可ルールのみ。ネットワークACLはサブネット単位・ステートレス(戻りも明示的に許可が必要)・拒否ルールも書けます。「単位」「ステートフル性」「拒否ルールの可否」の3点で表にすると一発で整理できます。
つまずき4:選択肢がどれも正しく見える
選択肢には「技術的には可能だが最適ではない」ものが混ざっています。鍵は問題文の条件語です。「最もコスト効率が高い」「運用負荷を最小限に」「既存アプリを変更せずに」といった一言が正解を一意に決めています。読むときは条件語に印をつける習慣をつけましょう。
つまずき5:範囲が広すぎて学習が終わらない
AWSのサービス数は膨大で、すべて網羅しようとすると終わりません。試験ガイドの対象サービスに範囲を限定し、それ以外は「名前と一言の役割」だけで十分と割り切ってください。深掘りすべきは②と、③④⑤の主要サービスです。
つまずき6:複数選択問題を落とす
「2つ選びなさい」では、1つは選べてももう1つで迷いがちです。まず明らかに要件を満たさない選択肢を消し、残った候補に「これを追加しないと要件が満たせないか」を自問します。単に良いことが書いてあるだけの選択肢は不正解であることが多くなります。
受験当日の流れとテクニック
AWS認定はテストセンター受験とオンライン監督付き受験のどちらかを選べます。テストセンターは環境が安定している一方で移動が必要、オンラインは自宅で受けられる一方で部屋の環境チェックが厳格です。オンラインは机上に物を置けない等の要件があるため、事前に公式の受験要件を必ず確認してください。当日の手順や本人確認書類の要件は変更されることがあるので、受験予約時の案内を最優先の情報源としてください。
- 問題文は最後の1文(何を問われているか)から読むと、長文でも論点を掴みやすい
- 「最もコスト効率が高い」「運用負荷が最小」などの条件語に必ず注目する
- サーバー管理を減らしたい要件では、マネージド/サーバーレス寄りが正解になりやすい
- 「単一AZのみ」「アクセスキーを埋め込む」「手動で運用する」選択肢はまず疑う
- 迷った問題は見直しフラグを立てて先へ進み、全問一巡してから戻る
- 見直しでは、条件語の読み落としが見つかった場合のみ解答を変更する
- 残り時間が少なくなっても未解答は作らない(減点方式ではないため必ず何かを選ぶ)
合格後の進路・次に取るべき資格
合格するとデジタルバッジが発行され、認定者向けの特典を利用できます。認定には有効期限があるため、期限内に再認定を受けるか上位資格を取得して維持していく形になります。次の一歩としては以下の選択肢があります。
- AWS認定ソリューションアーキテクト プロフェッショナル:SAAの正統な上位資格
- AWS認定デベロッパー アソシエイト:開発者視点でのAWS活用
- AWS認定SysOpsアドミニストレーター アソシエイト:運用・監視・自動化に重点
- AWS認定セキュリティ - 専門知識:⑤の分野をさらに深掘りしたい方向け
- AWS認定高度なネットワーキング - 専門知識:①の領域を極める方向け
- 他クラウドの資格:AzureやGoogle Cloudの同等資格でマルチクラウド対応力を示す
マルチAZ構成・IAMロール・S3のライフサイクル管理といった知識は、そのまま現場の設計判断に使えます。取得後は小規模なシステムを実際にAWS上で設計・構築してみるのが、知識を実力に変える最短ルートです。
よくある質問(FAQ)
Q. クラウド未経験でも合格できますか?
A. 可能です。ただしいきなりシナリオ問題に取り組むと用語で挫折しやすいため、まずリージョンやVPCとサブネットといった基礎概念を図で理解する期間を確保してください。完全初学者なら3ヶ月程度を見込むと無理がありません。
Q. クラウドプラクティショナーを先に取るべきですか?
A. 必須ではありません。AWS認定に受験順序の制約はなく、いきなりSAAから受験できます。IT実務経験がある方は直接取り組んで問題ありません。クラウドという概念自体が初めての方は、先にプラクティショナーで用語に慣れておくとスムーズです。
Q. 合格率はどのくらいですか?
A. AWSは試験ごとの合格率を公式に公表していません。ネット上の数値はいずれも推定値で根拠は明確ではありません。合格率を気にするより、分野別の正答率を自分で測り、7割を切る分野を潰していくほうが確実です。
Q. 受験料や試験時間はいくらですか?
A. 受験料・試験時間・出題数・合格基準は、試験バージョンの更新や地域によって変わる可能性があります。AWSの公式認定ページと試験ガイドで、申し込み前に必ず最新情報を確認してください。本記事では意図的にこれらの数値を断定していません。
Q. 日本語で受験できますか?
A. SAAは日本語での受験に対応しています。ただし訳がやや読みにくい問題に当たることもあります。主要サービス名は英語のまま出てくるので、サービス名は英語表記でも認識できるようにしておくと安心です。
Q. 一番時間をかけるべき分野はどこですか?
A. ②コンピューティングと関連サービスです。ケンテイラボ収録の704問のうち141問(約2割)を占め、他分野との関連も最も深い領域です。EC2の購入オプション、Auto ScalingとELBの組み合わせ、Lambdaとコンテナの使い分けの3点を確実に押さえてください。
ケンテイラボでの実力チェック方法
ケンテイラボでは、AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト対策問題を全704問・無料で公開しています。出題範囲を8分野に整理しているため、どの領域で落としているのかを数字で把握できます。
- 学習初期:分野別演習で①〜⑧を1周し、正答率の低い分野を特定する
- 学習中期:最大分野の②(141問)を集中的に周回し、7割以上で安定させる
- 学習中期:復習モードで比較系(マルチAZとリードレプリカなど)の混同を潰す
- 学習後期:分野をまたいだランダム出題で、条件語を読み取る力を鍛える
- 直前期:全704問を通しで2〜3周し、正答率85%以上を目安に仕上げる
登録不要・完全無料で利用できるため、公式教材やハンズオンと並行して、通勤時間などのスキマ時間に演習を積み重ねられます。弱い分野を数字で見つけ、そこだけをテキストに戻って埋める。この往復を繰り返せば、範囲の広いSAAでも合格ラインは着実に近づきます。