2026/09/12

情報処理安全確保支援士、登録に19,700円と3年ごとの講習

合格しただけでは名称を使えず、登録して初めて登録セキスペになります。登録日は4月1日と10月1日の年2回で、締切は2月15日と8月15日。更新手数料は無料でも、講習を修了していないと更新申請ができません。

執筆:ケンテイラボ編集部(資格試験対策アプリ開発・運営)

情報処理安全確保支援士試験(SC)は、情報処理の促進に関する法律に基づいて経済産業省が実施する国家試験で、試験事務はIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が行っています。ただしこの試験は、合格したところが終点になっていません。合格者が国家資格「情報処理安全確保支援士」の資格保持者になるには、そのあとに所定の登録手続きが要ります。

法律上の名称は「情報処理安全確保支援士」、通称は登録セキスペ(登録情報セキュリティスペシャリスト)、英語表記はRISS(Registered Information Security Specialist)です。2016年10月に情報処理の促進に関する法律が改正されて誕生した国家資格で、IPAは試験事務だけでなく登録・講習の事務も担当しています。

本記事は、試験の出題内容ではなく、合格したあとの登録と、その登録を3年ごとに維持していく仕組みだけを扱います。金額と日程はIPAの登録・講習の案内ページ、義務と罰則の内容はIPAの「情報処理安全確保支援士の権利と義務」のページで確認しました。

合格通知は「名乗ってよい」までは渡してくれない

IPAの試験区分のページは、合格者は所定の登録手続きを行うことで国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」の資格保持者となることができる、と説明しています。裏返せば、手続きをしていない合格者は資格保持者ではありません。

権利と義務のページには、登録していない者が「情報処理安全確保支援士」の名称を使用すると、情報処理の促進に関する法律第78条により罰則の対象になる旨が書かれています。登録が失効したあとに名称を使用した場合も同じ扱いだとされています。名称を使えるのは登録した者に限られる、という形の資格です。

この試験の合格は、名称を使う資格そのものではなく、登録を申請できる立場を得るものと位置づけられています。合格と登録は別々の事実なので、どちらの段階にいるのかを意識して読み進める必要があります。

新規登録で納める19,700円の内訳

IPAの新規登録の案内によると、新規登録では次の2つを納めます。

  • 登録免許税 9,000円 — 収入印紙で納付する
  • 登録手数料 10,700円 — 銀行振込で納付する

合計19,700円です。受験手数料7,500円(支援士試験は非課税)とは別に、登録の段階で改めてかかる費用になります。片方は国に納める税、もう片方は手数料で、納め方も収入印紙と銀行振込に分かれています。

性質の違う2つがそろって初めて登録の申請が成り立つため、IPAの案内でも別々の項目として示されています。金額を見積もるときは、受験までの費用と登録の費用を分けて数えておくと混同しません。

登録日は4月1日と10月1日しかない

IPAの登録の案内では、登録日は年2回と決まっています。受付期限は登録日よりかなり前に置かれています。

  • 4月1日登録分 — 受付期限は2月15日まで(当日消印有効)
  • 10月1日登録分 — 受付期限は8月15日まで

受付期限から登録日までは1か月半ほど空きます。申請した時点で登録されるのではなく、次の登録日を待つ仕組みです。期限に間に合わなければ、登録日は半年先に動きます。

ペーパー方式で実施された直近の2回を見ると、令和7年度秋期の合格発表日は2025年12月25日、令和7年度春期の合格発表日は2025年7月3日でした。いずれも、次に来る受付期限までは1か月以上の間がありました。

ただし2026年度(令和8年度)からは、応用情報技術者試験や高度試験8区分とともに支援士試験もCBT方式へ移行しました。春期・秋期の一斉実施から、前期・後期それぞれの実施期間の中で会場と日時を選ぶ方式に変わっています。合格の時期と登録の受付期限との間隔は、自分が受ける回の日程で確かめることになります。

有効期限は3年、更新手数料は無料でも申請できないことがある

IPAの更新の案内には、登録の有効期限は登録日または更新日から起算して3年になると書かれています。起点が登録日なので、4月1日に登録した人は3年後の同じ時期に、10月1日に登録した人は10月を軸に更新が回ってきます。

更新そのものに手数料はかかりません。新規登録のときに納めた登録免許税や登録手数料に相当するものは、更新では発生しないとされています。

ただし同じ案内には、更新申請を行うには受講が義務付けられている講習をすべて修了する必要がある、とも書かれています。手数料が無料であることと、更新が軽い手続きであることは別です。講習が終わっていなければ、申請そのものができません。

費用は更新の手続きにではなく、その前の3年間に受ける講習のほうへ集まっている、という作りになっています。更新の時期だけを見ていると、この配分を見落とします。

登録すると負う3つの義務(法第21条〜第23条)

IPAの権利と義務のページは、登録セキスペの義務として次の3つを挙げています。

  • 信用失墜行為の禁止(法第21条)— 情報処理安全確保支援士は、情報処理安全確保支援士の信用を傷つけるような行為をしてはならない
  • 秘密保持(法第22条)— 正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない
  • 講習の受講(法第23条)— 経済産業省令で定めるところにより、機構の行うサイバーセキュリティに関する講習を受けなければならない

義務に違反した場合の扱いも同じページに示されています。登録の取消し、又は登録セキスペ名称の使用禁止とされ、秘密保持義務の違反については一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金という定めが置かれています。

3つのうち、はじめの2つは行為についての義務で、守っているかぎり費用は生じません。費用と時間がかかるのは3つ目の講習で、しかもこれが更新の要件を兼ねています。次の節で見るのはその中身です。

オンライン講習3回と実践講習1回で、3年に14万円程度から

IPAの講習の案内によると、3年の期限までに修了しなければならない講習は2種類あります。

  • オンライン講習 — 1年に1回、3年間で3回。受講料は1回20,000円(非課税)
  • 実践講習 — 3年に1回。IPA又は民間事業者等が行うものを受講する

IPAが行う実践講習の受講料は次のとおりです。民間事業者等が行う実践講習の受講料は、各実施機関が定めるとされています。

  • 実践講習A(標準9時間)・実践講習B(標準10時間)・実践講習C(標準10時間)— いずれも8万円(非課税)
  • 業界別サイバーレジリエンス強化演習(CyberREX、標準14時間・2日間)— 8万円
  • 制御システム向けサイバーセキュリティ演習(CyberSTIX、標準11時間・1.5日間)— 16万円(非課税)

IPAが講習ごとに示しているこれらの金額を足し合わせると、3年間の維持費はオンライン講習20,000円の3回分に実践講習8万円を加えた14万円程度からになります。合計額そのものはIPAのページに書かれていないので、自分が選ぶ講習の組み合わせで計算し直す数字です。実践講習にCyberSTIXを選べば、同じ3年でも金額は変わります。

同じ案内には、受講が義務付けられている講習を受講期限までに修了しなければ、情報処理安全確保支援士としての義務に違反することになる、とも書かれています。受けなければ更新できないというだけでなく、義務違反として扱われる位置づけです。時間のほうも、実践講習は標準で9時間から14時間と幅があります。

2026年4月に新設された実務経験者に対する講習制度

IPAは2026年4月から「実務経験者に対する講習制度」を新設しました。一定の実務経験を認定申請できる制度で、申請手数料は1回あたり3,500円(非課税)とされています。

認定申請の対象になる実務経験として示されているのは、次のようなものです。

  • ITSS+のセキュリティ領域の実務における従事期間が6か月以上または1年以上
  • 中小企業向けのマネジメント指導における支援業務件数が3件以上
  • 実践講習の講師としての登壇回数が2回以上

最初の申請受付期間は2026年10月1日から12月28日18時15分までで、対象は登録日が2024年10月1日・2021年10月1日・2018年10月1日の登録者とされています。10月1日に登録した人のうち、更新の周期が近い層から順に対象になる形です。

始まったばかりの制度なので、自分の登録日が対象の回に入るかどうか、申請に必要な資料は何かといった点は、そのつどIPAの案内で確かめる必要があります。実務経験の内容についても、期間・件数・回数という数え方が要件ごとに違います。

登録するかどうかを、3年単位で見積もる

ここまでに出た金額と条件を、判断の材料として並べ直すと次のようになります。

  • 登録する年 — 登録免許税9,000円+登録手数料10,700円=19,700円
  • そこからの3年間 — オンライン講習20,000円の3回分に実践講習8万円からを加えて14万円程度から
  • 更新の手続き自体 — 手数料はかからない。ただし義務の講習をすべて修了していることが条件
  • 登録しない場合 — 「情報処理安全確保支援士」の名称は使用できない(法第78条)

費用の重心は、登録の入口ではなく登録を続けるための講習にあります。名称を使う場面があるかどうかで、この見積もりの意味は大きく変わります。逆に、名称を使わないなら、19,700円の手前で立ち止まるという選び方も制度上は成り立ちます。

制度の側も動いています。登録セキスペ制度は2016年10月の法改正で生まれ、2026年4月には実務経験者に対する講習制度が加わりました。試験のほうも2026年度からCBT方式へ移り、科目の呼び方が午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後から科目A-1・科目A-2・科目Bへ変わっています。登録を検討する時点の案内を読み直す前提で見ておくのが無難です。なお、ここに挙げた金額や期限はIPAの案内の記載を整理したものであり、個別の申請が要件を満たすかどうかの判断はIPAの窓口が行います。

ケンテイラボの情報処理安全確保支援士試験は、暗号技術から攻撃手法、注目の技術まで8分野で670問を収録しています。登録の話は合格したあとの段階ですが、受かれば毎年講習が続く資格だと先に知っておくと、試験勉強で覚える範囲の扱い方も決めやすくなります。

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