相続診断士の試験で得点の柱になるのが、相続税と贈与税の基礎計算です。複雑な申告計算までは問われませんが、基礎控除や法定相続分、配偶者の税額軽減といった「核になる数字とルール」を正確に押さえているかが合否を分けます。本記事では、分野横断で「これだけは覚える」要点をチートシート形式で整理します。数値や制度は改正されることがあるため、最新の内容は公式情報で確認してください。
相続税:まず覚える3つの数字
- 基礎控除額:3,000万円+600万円×法定相続人の数
- 生命保険金の非課税枠:500万円×法定相続人の数
- 死亡退職金の非課税枠:500万円×法定相続人の数
基礎控除と保険・退職金の非課税枠は、いずれも「法定相続人の数」が掛け算に入ります。基礎控除は600万円ベース、非課税枠は500万円ベースと数字が異なるので、混同しないように区別して覚えましょう。
法定相続分の早見表
- 配偶者と子:配偶者2分の1・子2分の1(子が複数なら均等に分ける)
- 配偶者と直系尊属(親):配偶者3分の2・親3分の1
- 配偶者と兄弟姉妹:配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1
- 配偶者のみ:すべて配偶者
- 子のみ(配偶者なし):すべて子で均等に分ける
配偶者は相続順位が下がる相手と並ぶほど取り分が増える(2分の1→3分の2→4分の3)と覚えると整理しやすくなります。代襲相続では、本来相続するはずだった子の取り分を孫が引き継ぎます。
相続税計算の流れ(5ステップ)
- ①各人の課税価格を合計する(プラスの財産から債務・葬式費用を控除)
- ②合計から基礎控除を引いて課税遺産総額を出す
- ③課税遺産総額を法定相続分で按分し、各取得分に税率をかけて相続税の総額を計算
- ④相続税の総額を、実際に取得した割合で各相続人に配分する
- ⑤各人ごとに配偶者の税額軽減などの控除を適用して納付税額を確定
覚えておきたい主な控除・特例
- 配偶者の税額軽減:配偶者の取得分が1億6,000万円または法定相続分相当額まで非課税
- 小規模宅地等の特例:居住用・事業用の宅地について一定面積まで評価額を大きく減額
- 未成年者控除・障害者控除:一定の相続人に年齢等に応じた税額控除
- 相次相続控除:短期間に相続が続いた場合の負担を軽減する控除
贈与税:暦年課税と相続時精算課税の対比
- 暦年課税:年間110万円の基礎控除。受贈者ごとに毎年使える
- 相続時精算課税:累計2,500万円の特別控除。超えた分に課税し、相続時に精算する
- 精算課税の対象:原則60歳以上の親・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与で選択可
- 切り替えの注意:相続時精算課税を一度選ぶと、その贈与者からの贈与で暦年課税には戻れない
- 贈与税の配偶者控除:婚姻20年以上の夫婦間で居住用不動産等を贈与した場合の控除
「毎年こつこつ非課税枠を使うのが暦年課税」「まとまった額を渡し相続時に精算するのが精算課税」とキーワードで区別すると、選択肢で迷いにくくなります。教育資金・結婚子育て資金の一括贈与の非課税制度は内容や期限が改正されることがあるため、最新情報を要確認です。
期限のある主な手続き(時系列)
- 死亡届:死亡を知った日から7日以内
- 相続放棄・限定承認:相続を知った時から3か月以内
- 所得税の準確定申告:相続開始を知った日の翌日から4か月以内
- 相続税の申告・納付:相続開始を知った日の翌日から10か月以内
間違えやすいポイント
- 基礎控除は600万円ベース、保険・退職金の非課税枠は500万円ベースと数字が異なる
- 法定相続人の数は、相続放棄があっても放棄がなかったものとして数える(基礎控除等の計算上)
- 養子を法定相続人の数に含める際は人数に制限がある
- 配偶者の税額軽減は「1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか多い方」まで
- 兄弟姉妹には遺留分がない
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