ケンテイラボ

2026/03/07

潜水士試験の難易度・合格率は?勉強時間の目安を徹底分析

潜水士試験の難易度・合格率・勉強時間の目安を徹底解説。学科のみの国家試験という特性、4科目それぞれに合格基準がある仕組み、難易度を構成する要素、受験者層の傾向、合格率を上げる5つのコツ、つまずきやすいポイント、他の潜水・海洋系資格との比較までまとめました。

潜水士は、潜水業務に従事するために必要な国家資格で、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が実施する免許試験に合格することで取得できます。「実際の難易度はどれくらいか」「泳げなくても合格できるのか」「どのくらい勉強すればよいのか」といった疑問を持つ方は多いはず。潜水士試験は学科のみで実技がなく、4科目それぞれに合格基準があるという独特の仕組みを持っています。本記事では、試験形式・出題範囲・受験者層・必要な勉強時間など複数の角度から、潜水士試験の難易度を落ち着いて分析します。

結論:学科を科目バランスよく仕上げれば届く標準レベル

結論から述べると、潜水士試験は「4科目をバランスよく学習すれば合格に届く、標準レベル(★★★☆☆)」の国家資格です。最大の特徴は、学科試験のみで実技がなく、泳ぎの得手不得手が合否に直接影響しない点。そのうえで、潜水業務・送気/潜降浮上・高気圧障害・関係法令の4科目それぞれに合格基準があるため、苦手科目を作らないことが合格の鍵になります。

ただし「範囲が広くないから簡単」というわけではありません。水圧や気体の法則といった物理、人体の生理と減圧症などの疾患、潜水器の構造、そして関係法令まで、性質の異なる知識をまんべんなく覚える必要があります。とくに物理の計算や法令の数字は、整理せずに臨むと取りこぼしがちです。「4科目のどれも基準を割らないよう、分野ごとに知識を整理して定着させれば、確実に合格圏に入る」というのが妥当な評価です。

合格率の取り扱い

潜水士試験の合格率については、年度や回によって変動します。本記事では特定の数字を断定せず、傾向として押さえます。学科のみで受験しやすい試験である一方、4科目それぞれに合格基準があるため、準備不足で一部の科目を落として不合格になるケースもあると考えられます。最新の合格状況や合格基準は、必ず安全衛生技術試験協会の公式情報で確認してください。

合格率の数字を気にするよりも、「4科目それぞれで基準を超える実力を、自分の言葉で確認できる状態にする」ことのほうが本質的です。とくに物理計算を含む科目と、暗記量の多い法令科目で安定して得点できるかどうかが、合否を分けるポイントになります。

難易度を構成する4つの要素

要素1:物理・計算問題の存在

水圧・絶対圧力の計算や、ボイル・シャルル・ヘンリー・ダルトンといった気体の法則が出題されます。文系の受験者にとっては、計算や物理の考え方が最初のハードルになりがちです。ただし出題パターンは限られるため、公式に数値を当てはめる練習を積めば得点源にできます。

要素2:人体の生理と疾患の理解

呼吸器・循環器・神経系の仕組みと、減圧症・酸素中毒・炭酸ガス中毒・窒素酔いといった気体による疾患を理解する必要があります。仕組みを理解せずに症状だけを暗記すると混同しやすく、応用問題に対応しにくくなります。

要素3:法令の数字と手続きの多さ

関係法令は、健康診断の頻度・保存年数、潜降速度の制限、予備空気槽の計算、酸素分圧の範囲など、数字と手続きが多い分野です。暗記量が多く、整理が不十分だと似た数字を取り違えやすいのが難所です。

要素4:4科目それぞれに合格基準がある

総得点だけでなく、4科目それぞれに合格基準がある点が最大の特徴です。得意科目で稼いで苦手科目をカバーする戦略が通用しにくく、どの科目も一定水準まで引き上げる必要があります。この「穴を作れない」構造が、体感的な難易度を押し上げます。

必要な勉強時間の目安

物理・生理の基礎がある人:15〜20時間

理系の学習経験があるなど、物理や生理の基礎がある方は、テキストの読み込みと問題演習を中心に15〜20時間ほどで合格圏に入ります。法令の暗記と、減圧症など疾患の整理に時間を配分すれば十分です。

ダイビング経験者・関連業務従事者:20〜30時間

レジャーダイビングの経験者や、水中作業に関わる業務従事者など、潜水に触れたことはあるが体系的には学んでいない方は、20〜30時間が目安。実務・経験で得た感覚を、物理・生理・法令の知識として言語化し直す作業が中心になります。

まったくの初学者:30〜40時間

潜水にも物理・生理にも縁がなかった初学者は、30〜40時間を見込むと安心です。気体の法則や水圧の計算、人体の仕組み、法令の数字まで段階的に積み上げる必要があるため、計画的に学習しましょう。

受験者層の傾向

潜水士試験の受験者は、水中土木・サルベージ・港湾工事などの建設業関係者、漁業・養殖の従事者、水中調査・点検に関わる技術者、消防・救助関係者、そしてレジャーダイビングから業務潜水へステップアップしたい人など、幅広い層にわたります。

業務で潜水に関わる方は、器具や現場の感覚がある分、潜水器や事故対処の分野を吸収しやすい傾向があります。一方で、物理の計算や法令の暗記は経験だけではカバーしにくく、ここをどれだけ丁寧に学習するかが合否を分けます。いずれの層も、4科目の穴を作らないことが共通の課題です。

合格までの学習ロードマップ

4科目それぞれに合格基準がある潜水士試験は、「どの科目も基準を超える」ことを軸に計画を立てると見通しが立ちます。難易度をやみくもに恐れるより、次の4段階で進めましょう。

第1段階:物理・気体の法則を土台にする

水圧と絶対圧力、ボイル・シャルル・ヘンリー・ダルトンの各法則をまず固めます。とくにヘンリーの法則は減圧症の理解に直結する重要事項です。計算問題は公式に数値を当てはめる練習を繰り返し、ここが揺らがないようにします。

第2段階:潜水器と送気の仕組みを理解する

潜水器の分類(送気式・自給気式、定量式・応需式)と各部の器具、送気系統の並び順を図でイメージして覚えます。器具名と役割を結びつけ、ヘルメット式と全面マスク式の違いも押さえておきます。

第3段階:高気圧障害を症状と対処でセットにする

人体の生理を押さえたうえで、減圧症・酸素中毒・炭酸ガス中毒などを「原因・症状・対処」のセットで整理します。減圧症の1型・2型の区別や再圧治療、救急処置の手順も、混同しないよう一覧化します。

第4段階:法令を暗記し、問題演習で仕上げる

関係法令の数字・手続きを表にまとめて暗記し、最後に分野別の演習で4科目のバランスを確認します。特定の科目だけ正答率が低くないかをチェックし、弱い科目はテキストに戻って補強。間違えた問題を繰り返すサイクルで仕上げます。

この4段階を、試験日から逆算して配分すれば、無理なく合格レベルに到達できます。どの科目も基準を割らないよう、演習で穴を早めに見つけて埋めることが最大のポイントです。

合格率を上げる5つのコツ

コツ1:4科目の正答率を可視化する

科目ごとに合格基準がある以上、どの科目が弱いかを把握することが最優先です。分野別に問題を解いて正答率を記録し、基準に届いていない科目を集中的に補強しましょう。全体の得点だけを見ていると、特定科目の穴を見落とします。

コツ2:気体の法則を1対1で結びつける

「ボイル=圧力と体積」「シャルル=温度と体積」「ヘンリー=溶ける気体の量」「ダルトン=分圧の和」と、法則名と関係する量をセットで覚えましょう。名前が似ていて混同しやすいため、対比表にしておくと計算問題でも迷いません。

コツ3:疾患は『原因・症状・対処』をセットで覚える

減圧症・酸素中毒・炭酸ガス中毒などは、原因・症状・対処をワンセットで整理します。減圧症なら「不活性ガスの気泡化→1型・2型の症状→再圧治療」と流れで覚えると、応用問題にも対応できます。

コツ4:法令の数字は理由とセットで暗記

健康診断の保存年数や潜降速度の制限などは、単なる丸暗記より「なぜその数字なのか」を安全上の理由と結びつけると記憶に残ります。一覧表を作り、似た数字を並べて比較しながら覚えるのも有効です。

コツ5:問題演習で出題形式に慣れる

知識をインプットするだけでなく、問題演習でアウトプットすることが大切です。ケンテイラボの334問のような問題で、分野別に弱点を洗い出し、繰り返し解くことで本番形式への対応力が高まります。

つまずきやすいポイントと対策

パターン1:物理計算を苦手意識で避ける

文系の受験者は物理計算を後回しにしがちですが、出題パターンは限られています。水圧・絶対圧力・気体の法則の典型問題を数題解けば、解き方が身につきます。避けずに早めに触れることが、苦手意識の解消につながります。

パターン2:特定科目を捨てて総得点で稼ごうとする

4科目それぞれに合格基準があるため、苦手科目を捨てて得意科目で稼ぐ戦略は通用しません。「関係法令は暗記だから後で」と丸ごと後回しにすると、その科目の基準を割って不合格になりかねません。全科目を一定水準まで引き上げましょう。

パターン3:疾患の症状を丸暗記して混同する

減圧症・酸素中毒・窒素酔いなどを症状だけで覚えると、似た症状で混乱します。人体の生理と原因メカニズムを理解したうえで症状を紐づけると、区別しやすくなります。仕組みから入る順序が効果的です。

パターン4:法令の数字を直前まで放置する

法令の数字は暗記量が多く、直前に詰め込もうとすると取りこぼします。学習の中盤から少しずつ表にまとめ、繰り返し見返して定着させましょう。短時間の反復を重ねるほうが、一気の暗記より記憶に残ります。

分野別の難易度ランキング

  • ★★★★☆ ① 水中での物理的作用:計算問題を含み、文系には最初の山場
  • ★★★★☆ ⑤ 潜降・浮上と減圧理論:酸素中毒の計算や減圧の考え方がやや複雑
  • ★★★☆☆ ⑥⑦ 高気圧障害:疾患の種類が多く、症状と対処の整理が必要
  • ★★★☆☆ ⑧⑨ 関係法令:数字・手続きの暗記量が多い
  • ★★★☆☆ ④ 送気系統と給気計算:系統図と計算の理解が必要
  • ★★☆☆☆ ② 潜水器の種類:器具名と役割を図で覚えやすい
  • ★★☆☆☆ ③ 潜水事故の要因と対処法:現象の仕組みが直感的で理解しやすい

難易度を見ると、物理計算を含む①や、酸素中毒の計算・減圧を扱う⑤が受験者を悩ませやすい分野です。一方で潜水器や事故対処は、器具や現象をイメージしやすく得点源にしやすい部分です。「計算系を早めに攻略し、器具・事故で確実に取り、法令の暗記を仕上げる」のが効率的な戦略になります。

本番で差がつく『計算と暗記』のバランス

潜水士試験の問題は、水圧や気体の法則を使う計算問題と、疾患・法令などの知識問題が混在します。「水深20mの絶対圧力は何気圧か」「慢性的に暴露される酸素分圧の目安はいくつか」といった計算と、「健康診断の保存年数は何年か」といった暗記が、同じ試験の中で問われます。

計算問題は一度解き方を身につければ安定して得点でき、暗記問題は反復で確実に積み上がります。どちらか一方に偏らず、計算は典型問題で練習し、暗記は表で反復する——この両輪で進めることが、本番での安定した得点につながります。とくに計算を捨てないことが、合格ラインを超えるうえで効いてきます。

また、減圧症のように「物理(ヘンリーの法則)+生理(気泡化)+対処(再圧治療)」が組み合わさるテーマもあります。こうした分野横断のテーマは、科目をまたいで理解しておくと、どの角度から問われても対応できるようになります。

学習を継続するための工夫

潜水士試験は物理・生理・法令と性質の異なる知識を扱うため、学習が単調に感じられることがあります。挫折せずに続けるために、いくつかの工夫を取り入れましょう。

  • 現象をイメージする:吹き上げや潜水墜落を、実際の潜水の場面で思い描く
  • 計算は少しずつ:気体の法則の計算を、毎日1〜2問だけでも触れ続ける
  • 疾患は1つずつ:高気圧障害を一気に覚えず、1疾患ずつ整理する
  • 法令は表で見える化:数字・手続きを一覧表にして繰り返し見返す
  • 演習で達成感:問題を解いて科目別の正答率の伸びを実感する

潜水の安全に直結する知識を学んでいるという実感は、学習を続ける支えになります。資格対策としてだけでなく、実際の潜水業務で身を守るための学びと捉えることで、無理なく継続できます。

他の潜水・海洋系資格との難易度比較

  • 潜水士:業務潜水の国家資格・★★★☆☆・学科のみ、4科目に合格基準
  • レジャーダイビングのCカード(民間):趣味の潜水・★★☆☆☆〜・実技講習が中心
  • 小型船舶操縦士(国家資格):船の操縦・★★☆☆☆〜・学科+実技
  • 海技士(国家資格):船舶職員・★★★★☆〜・専門性が高く難易度も上がる

潜水士は、趣味の潜水を証明する民間のCカードと異なり、業務潜水の前提となる国家資格である点が特徴です。実技がない分、取り組みやすさはありますが、物理・生理・法令の知識を4科目まんべんなく問われる点で、Cカードより学科の負担は大きめです。なお比較の難易度はあくまで目安で、各資格の最新情報は公式サイトで確認してください。

レジャーダイビングのCカードを持つ方が、業務潜水へ進むために潜水士を取得するケースもあります。趣味で身につけた水中感覚に、業務レベルの物理・生理・法令の知識を上乗せすることで、潜水を仕事として安全に行う土台ができます。自分のキャリアや目的に合わせて、この国家資格をどう位置づけるかを考えると、学ぶ意義がより明確になります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 実技試験はありますか?

A. 潜水士試験は学科試験のみで、実技試験はありません。泳ぎや潜水の技能は合否に直接関係しないため、学科の知識をしっかり身につけることが合格への道です。ただし取得後の実務では水中技能が必要になります。

Q2. 合格率は公表されていますか?

A. 合格率は年度や回によって変動します。本記事では具体的な数字を断定しません。学科のみで受験しやすい一方、4科目それぞれに合格基準があるため、準備不足だと一部の科目で基準を割ることがあります。最新情報は公式サイトで確認してください。

Q3. 文系・未経験でも合格できますか?

A. 合格できます。物理計算に苦手意識があっても、出題パターンは限られており、練習すれば得点できます。気体の法則や水圧の計算から丁寧に固め、疾患と法令を整理して覚えれば、未経験者でも十分に合格レベルに到達できます。

Q4. どのくらいの勉強時間が必要ですか?

A. 物理・生理の基礎がある方なら15〜20時間、完全初学者なら30〜40時間が目安です。重要なのは時間の長さより、4科目をバランスよく仕上げ、問題演習で定着させるという学習の質です。

Q5. 取得後はどんな場面で活かせますか?

A. 水中土木・サルベージ・港湾工事、漁業・養殖、水中調査・点検など、潜水業務を伴う仕事に就くための前提として活かせます。国家資格として就業要件になるため、潜水を仕事にしたい方には必須の資格です。

Q6. 物理の計算が苦手です。コツはありますか?

A. 計算問題は出題パターンが限られています。水圧(水深10mで0.1MPa増)、絶対圧力(大気圧+水圧)、ボイル・シャルルの法則の典型問題を数題解けば、解き方が身につきます。避けずに早めに触れ、公式に数値を当てはめる練習を繰り返しましょう。

Q7. どの科目から勉強すればよいですか?

A. 「潜水業務」に含まれる物理(①水中での物理的作用)から始めるのがおすすめです。水圧や気体の法則は、後の減圧理論や高気圧障害の理解の土台になります。物理を固めてから潜水器・生理・法令へ進むと、全体がつながって理解しやすくなります。

受験を迷っている人へ

潜水士は業務潜水の前提となる国家資格で、学科のみで受験できるとはいえ、幅広い知識が求められます。受けるべきか迷う方もいるでしょう。判断の目安として、次のような方には取得の価値が高いと言えます。

  • 水中土木・サルベージ・港湾工事など、潜水業務を伴う仕事に就きたい人
  • 漁業・養殖・水中調査など、水中での作業に関わる、または関わりたい人
  • レジャーダイビングの経験を、業務潜水へステップアップさせたい人
  • 潜水の安全に関わる物理・生理・法令を、体系的に学びたい人

実技がなく学科のみで挑戦できるため、泳ぎに自信がなくても取得を目指せます。4科目のバランス学習という壁はありますが、分野ごとに整理して積み上げれば、未経験からでも合格は十分に狙えます。潜水を仕事にしたい、あるいは潜水の安全を深く理解したいという思いがあるなら、前向きに検討する価値は十分にあります。

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難易度は標準レベルですが、物理計算の存在と法令の暗記量、そして4科目に合格基準がある構造が取りこぼしの原因になりがちです。本記事の「合格率を上げる5つのコツ」と「つまずきやすいポイントと対策」を意識しながら334問を反復すれば、性質の異なる知識を確実な得点力へと変えられます。潜水の安全を支える国家資格を目指して、ぜひ挑戦してください。

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