無人航空機操縦士(一等・二等)の学科試験で、最も配点が大きく合否を左右するのが航空法と飛行カテゴリーです。範囲が広く、似たルールが多いため混乱しやすい分野でもあります。本記事では、飛行禁止空域・承認が必要な飛行方法・飛行カテゴリーⅠ〜Ⅲ・許可承認の枠組みを、覚え方のコツとともに体系的に整理します。数値や制度は改正されることがあるため、最新の内容は公式情報で確認してください。
まず押さえる2つの軸:「空域」と「飛行方法」
航空法のルールは、大きく『どこを飛ぶか(空域)』と『どう飛ぶか(飛行方法)』の2つの軸に分けて考えると整理しやすくなります。この2軸を切り分けるだけで、混同による失点を大きく減らせます。
- 空域の規制=『どこ』:許可が必要になる飛行禁止空域
- 飛行方法の規制=『どう』:承認が必要になる飛行のやり方
- 両方に該当する飛行は、それぞれの許可・承認が必要になる
許可が必要な飛行禁止空域(どこを飛ぶか)
- 空港等の周辺の空域(航空機の安全に影響する範囲)
- 地表または水面から150m以上の高さの空域
- 人口集中地区(DID)の上空
- 緊急用務空域(災害時など、別途飛行が原則禁止される空域)
覚え方は「空港・高さ150m・DID」を基本セットにすること。これらは飛行するために許可が必要な空域です。緊急用務空域は災害発生時などに指定される特別な空域で、原則として飛行できない点に注意しましょう。
承認が必要な飛行方法(どう飛ぶか)
- 夜間(日中以外)の飛行
- 目視外飛行(目視で機体を常時確認しない飛行)
- 人または物件との距離が30m未満となる飛行
- 催し場所の上空での飛行
- 危険物の輸送
- 物件の投下
これらは飛行のやり方に関する制限で、行うには承認が必要です。「夜間・目視外・30m・催し・危険物・投下」の6つをセットで覚えましょう。逆に言えば、日中・目視内・人や物件から30m以上離れた飛行で、催し場所や危険物・投下を伴わなければ、飛行方法の承認は不要という整理になります。
飛行カテゴリーⅠ〜Ⅲの覚え方
飛行カテゴリーは、リスクの度合いに応じてⅠ〜Ⅲに区分されています。『第三者の上空を飛ぶか』『立入管理措置を講じるか』という2つの観点で考えると理解しやすくなります。
- カテゴリーⅠ:特定飛行に該当しない飛行(許可・承認が不要な範囲の飛行)
- カテゴリーⅡ:特定飛行のうち、立入管理措置を講じて第三者の上空を飛ばない飛行
- カテゴリーⅢ:立入管理措置を講じず、第三者の上空で行う最もリスクの高い飛行(レベル4飛行に対応)
- 覚え方:数字が大きいほどリスクが高く、より高度な要件(技能証明・機体認証等)が求められる
レベル1〜4飛行との関係
- レベル1:目視内での手動操縦による飛行
- レベル2:目視内での自動・自律飛行
- レベル3:無人地帯での目視外飛行
- レベル4:有人地帯(第三者上空)での目視外飛行=一等技能証明と機体認証が前提
レベル4飛行は、立入管理措置を講じない有人地帯上空での目視外飛行であり、カテゴリーⅢに対応する最もリスクの高い飛行です。一等の技能証明が必要になるのはこのレベル4を見据えているためだと理解すると、一等と二等の違いも腑に落ちます。
技能証明・機体認証と手続きの簡略化
- 技能証明:操縦者の技能を国が証明する制度(一等・二等)
- 機体認証:機体の安全性を国が認証する制度(第一種・第二種)
- 技能証明と機体認証を組み合わせることで、一部の飛行で許可・承認の手続きが簡略化される
- カテゴリーⅢ飛行は、一等技能証明・第一種機体認証など高い要件が必要
航空法以外も忘れずに
航空法の許可・承認を得ても、別の法令や条例で規制される場合があります。航空法だけで判断しないよう注意しましょう。
- 小型無人機等飛行禁止法:国の重要施設・外国公館などの周辺での飛行制限
- 電波法:操縦・映像伝送に使う無線設備の取り扱い(技適マーク等)
- 民法・道路交通法:土地所有権や道路上空の扱い
- 都道府県・市町村の条例:公園など独自に飛行を制限している場合がある
間違えやすいポイント
- 「空域(どこ)」と「飛行方法(どう)」を取り違えない
- 150mは『高さの空域』、30mは『人・物件との距離(飛行方法)』と区別する
- DIDの上空は許可が必要な空域、催し場所の上空は承認が必要な飛行方法
- カテゴリーは数字が大きいほどリスクが高く要件も厳しくなる
- 緊急用務空域は原則飛行禁止で、許可で飛べる空域とは扱いが異なる
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